851年~
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どれだけ人を殺しただろうか。無我夢中で敵を切り伏せているうちに刃は消耗し、最後の2本ももう替え時だ。
「…あ、ジャン!」
「!はいっ!っえ!?」
「私はいいから、敵を撃ち続けて!」
ジャンを狙う敵にブレードを投げつけ、私はアンカーをジャンの真横に打ち込み一直線に飛んだ。
「超硬質ブレード…貰っていくね。」
着地と同時に手首を返し、ジャンの鞘から器用にブレードを装填。初めてやったが、案外上手くいくものだ。
カッ──
「!?…あれは、顎の巨人…!?」
顎の巨人の力は、ファルコのもの。なぜ今、巨人化したのだろうか。全員の視線が顎の巨人へと向けられた、ほんの一瞬。その隙をついて、一人船の方へと抜けた。それは雷槍を持った、フロックだった。
ドォォン、
「!ガビ…!」
さすがサシャを撃っただけある。ライフル銃のたった一発で、よく雷槍を持った兵士を返り討ちにしてくれた。敵のリーダーを、落とした。
「出航できるぞ!!早く乗れ!!」
隊を指揮するフロックが落とされ、イェーガー派はひどく狼狽え、散り散りになっていく。こうなればもう、何も脅威ではない。
「アニ!ライナー!」
残った敵を退けながら二人に近づき、慎重にブレードで本体を取り出した。そして二人の無事を確認したところでジャンとミカサに二人を任せ、船へと飛び乗った。
「リヴァイ!ルーカス!」
「…ユニ、ここだ。」
「ママ…!」
「ルーカス…!」
しっかりとブレードを仕舞ってから、二人を抱きしめた。私はまた、生きて戻ってきた。ルーカスも、生きている。
「ルーカス…、良かった…。怖い思いをさせて、ごめんね…。」
「僕は大丈夫…。キヨミ様と、ジャンが守ってくれたから。それに、パパのそばが一番安全だって、いつも言ってたから。」
「そうだよ。パパは、人類最強なんだから。」
「…今回に限っては、ただ座って見ていただけだが…。」
「ふふ…、たまにはそんな時があってもいいよ。」
一先ずの山場は、乗り切った。船が進み出す揺れを感じ港を振り返ると、なぜか未だ戦っている人影が見えた。それも二人。
「…キース、団長…?」
「なに?…確かか?」
「…たぶん。一体なぜ…、…!」
もう一人は、マガトさんだ。全員甲板へと登ってきているのに、彼だけがいない。そして二人揃って残った船へと乗り込んで……やがて、爆発した。
「…マガトさん…私達が無事に逃げ切れるように、自分を犠牲にするなんて…。」
彼は、マーレの戦士だ。エルディア人を憎んでいた。だが、最終的には分かり合えた。それなのに私達は……私達とエレンは、なぜ分かり合えないのだろう。
「ユニ。アニは、オディハの港に着いたらお別れだ。レベリオを救う事ができなくなってしまったから、彼女にはもう、戦う理由が無くなったんだ。」
「…そう、だね…。港に着いたら、その後はどうするの?」
「アズマビトの船で、ヒィズル国に避難するらしいよ。」
「そう…。なら…。」
チラリとリヴァイを見ると、彼もこちらを見ていて、そして、同時にルーカスに視線を移した。ルーカスは不思議そうに、私達を見上げた。
「…ルーカス。こうして危険から逃げてきたばかりだけど、逃げた先も危険がたくさんなの。」
「えっ。」
「俺とユニは、どうしても倒さなきゃならねぇ敵がいるから、行かなきゃならねぇ。だが、お前を危険なところには連れて行けねぇ。それは分かるな?」
「うん…。」
「だからね、キヨミ様と一緒に、少しでも安全なところに逃げて、待っていて欲しいの。ママとパパは危険なところに行くけど、絶対に生き残って、会いに行くから。」
「…どのくらいで帰って来られるの?」
「うーん…怪我をしてなければ、1週間以内とか?」
「…分かった。なら大丈夫。僕、待てるよ。」
「!…本当?」
「うん。寂しいけど、なかなかママとパパに会えないのは、僕を危険な目に遭わせないためだって知ってるから。」
いい子だ…いい子すぎる…!!一体誰の子で、誰が育てたんだ…!!
「それにもうすぐ、また一緒に暮らせるんでしょ?だから大丈夫!」
「ん?まぁそうだね!」
船で先に待機している間に、リヴァイがそんな話をしたのだろうか?これさえ終われば、今度こそ平和な日常が送れるだろう。そうすれば、もうこんな事をしなくて済む。
「おい…港までは、あとどのくらいかかる?」
「はっ!あと、10分程で!」
「そうか…。おい、ユニ。」
「えっ、何?」
何か怒らせるような事でもしただろうかと思ったが、そんな心当たりはない。一体何なのかと首を傾げると、例の指輪のケースが取り出された。返してくれるのだろうかと手を伸ばしたが、ヒョイ、と再び躱されてしまった。
「俺は…エルヴィンみてぇに顔も良くなければ、身長もねぇし、頭も良い方じゃねぇ。」
「え?」
「だがお前を一人にはしねぇし、悲しませねぇと誓う。」
「……。」
「それと……アッカーマンの習性だとかクソみてぇなもんは関係なくお前を…、お前とルーカスを、守りてぇと思ってる。」
「…リヴァイ…ちょっと待って…。」
みんなの視線が、私達に集まる。当たり前だ。こんな人前で、こんなにも熱烈な愛の告白が繰り広げられているのだから。
「お前と、…ルーカスが許すのなら…、…ユニ。俺と、一緒になってくれねぇか?」
「!」
「えっ!?プロポーズ…!?リヴァイから!?」
「チッ…、黙ってろ、ハンジ。」
まさかのタイミングで、まさかの言葉。それもハンジさんが言った通り、所謂プロポーズというもの…だと思う。人前で、それもリヴァイの口からそのような言葉が飛び出すなんて夢にも思っておらず、その言葉を理解するまでに時間を要した。やがてちゃんと言葉の意味を理解してから、ようやく返事の言葉を考え始めた。が、考えたってどうしようもない。私はリヴァイと結婚したい。それこそ、リヴァイさえ本当に良ければ。
「え…と…、…私は、リヴァイを愛してる。でも、エルヴィンの事だって、まだ愛してる。…それでも、リヴァイはいいの…?」
「分かりきった事を聞くな。何年一緒にいると思ってる。」
「え、と…、ごめん…。」
チラリとルーカスを見ると、戸惑う私を落ち着かせるようにフッと目を細めて…その笑顔がエルヴィンにそっくりで、涙腺を刺激した。
「僕は、ママが幸せで、パパも幸せなら、なんでもいいよ。二人が大好きだから。」
「う…、…私で良ければ…、喜んで…。」
「…なら、左手を出せ。着けてやる。」
ス、と差し出した左手は当たり前だが少し汚れていて、リヴァイのハンカチで拭われた。そうしてゆっくりと左手の薬指に指輪が嵌められたが、この数年間でよく食べよく鍛えたお陰かサイズが合わなくなっていて、少しキツかった。
「ユニ!リヴァイ!…おめでとう!二人で幸せになるんだよ!」
「おめでとうございます。」
「あ、ありがとう、みんな…。」
「こんな時に、悪いな…。だが、もしかしたら今が最後のチャンスかもしれねぇと思ってな。」
そうだ。私が無事でも、ジャンが死ぬかもしれない。ハンジさんが死ぬかもしれない。だからリヴァイは、港に着くまでの間に言ったのだ。
「ママとパパは、とっくに結婚してると思ってた。」
「まぁ、そうだよね。私もパパもめんどくさい性格してるから、時間が掛かっちゃった。」
「…これが終わったら、エルヴィンの話をしてやるよ。」
「本当?楽しみ!」
「いよいよ生き残らなきゃね、リヴァイ。みんなも、生き残ってたらもれなく、結婚式に招待しますからね!」
「私も、招待してもらえるんでしょうか?」
「あ…、えぇと、うん。仕方ないからね。」
みんなと言ってしまった事を、若干後悔した。イェレナまで招待しなきゃいけないなんて…!
リヴァイの眉間の皺が、深くなった気がした。