851年~
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「知らない人達のために説明すると、ルーカスは調査兵団第13代団長エルヴィン・スミスと、ユニの間の子だ。歳は今年で4つ。金髪碧眼で眉毛が特徴的だから、見たらすぐに分かるだろう。こんな時に申し訳ないが、我々はルーカスを失うわけにはいかないんだ。あの子はユニにとってもリヴァイにとっても、そして私にとっても、大切な宝物なんだ。」
「ハンジさん…!」
「つれないこと言わないでくださいよ…。俺らにとっても、宝物なんですから…。」
「ジャン…!」
「そうそう。遊んでやると嬉しそうにするのがかわいくて…。」
「コニー…。…みんな、ありがとう…。」
「つまりは、調査兵団の宝だ。私情を挟んで申し訳ないが、ルーカスを取り返す手助けを、お願いできるだろうか?」
ハンジさんと一緒に、頭を下げる。アズマビト様を守るだけでも困難だというのにルーカスの救出まで頼むのは気が引けるが、だからといって私達だけでできるかと言われると、きっと無理だ。
「…いいよ。一人増えたところで変わらないし。」
「!」
「…子供は、宝だ。それはマーレでも同じだからな。」
「…ありがとう…ございます…!」
「ふぅ…。…そうと決まれば、作戦を立てよう。」
昨日までは敵同士だったというのに、生きてさえいれば、何が起こるか分からない。
「…あれ…、…えっ、嘘…、ない…!?」
「…ユニ。もしかしなくとも、探し物はコレか?」
「!なんで、リヴァイが…!」
リヴァイの手の中には、今まさに探していた指輪のケースが握られていた。あれは、エルヴィンが私にと購入しておきながらついぞ渡されなかった、いわゆる婚約指輪というものだ。いつもこっそりポケットに忍ばせていたのに、なぜそれを、リヴァイが持っているのだろうか。
「ここ数日…お前と抱き合って眠っていたからな…。それで、持っているのは知っていた。」
「それでなんで今、リヴァイの手の中に…?」
「お前さっき、取っ組み合いの喧嘩をしただろうが。その時に落としてたのを、俺が見つけてアルミンに拾わせた。こんな大事な物…落としてんじゃねぇよ。」
「う…、そうだね…、ごめんなさい…。」
素直に謝り返してもらおうと手を伸ばすとヒョイ、と避けられ、頭の中にはハテナが浮かんだ。
「リヴァイ…?」
「…これは、俺が持っておく。お前が持っていたら、また落とすかもしれねぇからな。」
今朝やらかしたばかりで、言い返す言葉もない。しかし他の誰でもないリヴァイであれば、私も安心して任せられる。
「ん…ありがと、リヴァイ。」
「…おそらく俺は留守番だが…死ぬなよ、ユニ。」
「任せて。死なない事だけは得意だから。なんてったって、調査兵団内生存率ナンバーワンだからね。」
「そいつは頼もしいな。…勝手な願いだが…生きてルーカスを連れ帰って、またルーカスと会わせてくれ。」
「…リヴァイのお願いなら、なんとしてでも叶えなきゃ。」
「ユニ、準備はいいか?そろそろ行くよ。」
「分かりました。行きましょう。」
作戦は、アルミンとコニーがフロックを騙し整備士を飛行艇まで連れ出し、整備させる。その間に隙を見てキヨミ様とルーカスを助け出し、整備が整い次第、私達だけでマーレへ渡る。…正直、成功するとは思えない。
これが失敗した時は、なるべく犠牲者を出さずに飛行艇を整備し、脱出。それも簡単にできるとは思えないため、結局は総力戦になるだろう。…口には出さないが。
一旦は当初の作戦通りアルミンとコニーに任せはするが…やはり作戦は失敗し、本部内からは銃声が鳴り響いた。
ガシャアァァン!
「っ!ルーカス!!」
「!ママっ!」
窓ガラスを突き破って突入すると、ルーカスはいた。キヨミ様に守られるよう、部屋の隅に追いやられていた。何にしても、怪我がなくて本当に良かった…!
ドッ、ゴッ、とあっという間にミカサが二人を伸す内に、キヨミ様の拘束から逃れたフロックは急ぎ窓から外へ飛び出し「敵襲!」と声高らかに叫んだ。
「ルーカス!キヨミ様!こっちへ!!」
「窓から雷槍を撃ち込まれる!地下まで走って!!」
ドドォォオオン!!
「…ママ…。」
「大丈夫…ちょっと怖いかもしれないけど、絶対に守るから。」
「ミカサ様!!」
ドドドドッ!
咄嗟にルーカスを抱きしめ、目の前に広がる惨劇を隠した。
「こっちだアズマビト!地下で攻撃を凌ぐ!生きたければついてこい!!」
地下まで行けば、一先ずは安全だ。今から女型の巨人と鎧の巨人が、外で暴れるのだから。
「…今…なんて言った?」
地下に逃げ込んだのち、アズマビト整備士達は絶望的な言葉を発した。通常飛行艇の整備には丸一日、十分な設備があっても、半日もの時間を要するのだと。それでは単純計算でも、エレンを最速で止められたとしてもレベリオまでは間に合わないのだと、ハンジさんは言う。
「…考えがございます。」
絶望的な状況を打破できるかもしれない提案が、キヨミ様から上がるが、それはもはや賭けのような提案で、どこかの誰かが頭に過ぎった。しかしそれに賭けるしか、私達には残されていないらしい。
「ママ…、パパは…?」
「パパはね…今は大怪我で動けないの。でも大丈夫。すぐ近くにいるから、もうすぐ会えるよ。」
「本当?」
「うん。」
「船に石炭はあるか!?」
「は、はい。しかし出航までに30分は…。」
「15分でやれ!」
「俺は兵長達を呼んできます!」
「私はミカサに知らせる!」
「待って!ジャン!…この子を、リヴァイの元に連れてって!!」
「!は、はい!」
「ルーカス。この人達はみんな、あなたの事を守ってくれる。ママは先にやらなきゃいけない事があるから、あとで行くね。すぐにまた会えるから、パパと一緒に待ってて。」
「……うん!」
「ん、いい子。…ジャン、くれぐれもお願いね。…私は外の援護に向かう。行ってきます。」
「っ行ってらっしゃい!」
ジャンに任せておけば、リヴァイの元まで無事に行けるだろう。私はその間、私にできる事をするしかない。
ルーカスを連れたジャンよりも先に外に飛び出して注意を引き、立体機動装置のアンカーを敵めがけて打ち込む。それをギュルギュルと巻き取ると重くて引っ張られそうになるが、そのまま地面へと叩きつけた。敵の撃ち込む弾丸を避けるのは、難しい事ではない。私の立体機動の技術があれば。
「アズマビトの皆さん!行ってください!!」
敵の目標がアズマビトの整備士に向かえば、こちらとしてもやりやすい。瞬時にブレードを装填して、整備士に銃口を向ける敵を次々に切りつけた。この嫌な感触は、ずいぶん久しぶりだ。
「ライナー!」
「アズマビトを狙え!女型は後だ!!」
「!」
雷槍が、次々と女型と鎧に撃ち込まれる。私達が作った武器がこんな風に私達を苦しめる事になるなんて…あの時は思いもしなかった。
ドンッ、ドンッ、
「…クソっ!当たらねぇ…!っぐ…!!」
「当たるわけ…ないだろ!下手くそ!!」
一人切り、二人切り、遠くの敵には切れ味の落ちたそれを投げつけた。弾丸を躱している隙に次のブレードを装填し終え、アンカーを打ち込み、ただひたすらに敵を倒した。
「コイツ…!アッカーマンでもないのに…!」
「…アッカーマンじゃなくても、努力を続ければここまで強くなるみたいね…。…ふふ、やっぱり立体機動、楽しい!」
「ば、化け物…!!」
失礼な。私は別に人を殺すのが好きなわけじゃない。むしろ嫌いだ。当たり前に。私が好きなのは、立体機動だ。そこだけは間違えてもらっちゃ困る。