845年~851年
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「ユニ!」
「リヴァイ!ハンジさん!」
お互いの位置を緑の信煙弾で確認しながら門へと向かう道すがら、到着直前でハンジさんとリヴァイ、そして各隊の隊員達との合流を果たした。どうやらここに来る途中で運良く合流したらしい。揃ってやってきたもの達の表情は、固いものだった。
「シガンシナ区から壁外へと続く門が、どういうわけか破壊されたようです。現在シガンシナ区の住人はトロスト区へ避難するため、みな門を目指しています。そしてそこにはピクシス司令もいらっしゃるという事で、今はそちらに向かっているところです。…巨人が、シガンシナ区に無数に闊歩しています。」
「……どういう事だ、そりゃあ…。」
「…ハンジさんが来たのなら、ピクシス司令の元へはハンジさんの隊に向かって頂きたい。恐らくはそのまま門の護衛、もしくは前線の援護に向かわされるでしょう。ピクシス司令の指示に従ってください。私の班は、巨人の討伐に向かいます。」
ここへはまだ巨人は到達していないが、間違いなく巨人は進軍してきている。戦える兵士は前線へと向かい、巨人を1体でも多く倒すべきだ。
「了解。死ぬなよ、2人とも!」
「はい。行こう、リヴァイ。」
リヴァイや他の隊員を伴い、ハンジさん達と分かれ今度は巨人の最前線を目指して飛ぶ。
…何だか、壁外調査みたいだ。
「エルヴィンからの伝言だが…混乱に陥った際は、団長代理として隊の指揮を取れ、と。」
「えっ、団長代理…?私が…?」
「待機中の奴らに向かって、てめぇにはそれができるほどの経験と知識がある…と言い切っていた。また、信頼していると。」
「……。」
嬉しすぎて、言葉が出てこない。グリップを握る手に力が入って、震える。私は、エルヴィン団長に、認められている。彼は私の生きる希望で、原動力。今なら私は、たった1人でも20体の巨人を倒せる気がしてくる。…もちろん、そんな無茶はしないが。
「オイ…泣くんじゃねぇぞ。…あぁ、ようやくお出ましだ。」
「っ!…私は、右の奴をやる。左の奴は、頼んだよ。」
右のは、通常種。左のは、奇行種だ。
右の通常種の方は、大きさは5~6m級といったところだろうか。対する奇行種の方は12mくらいで、逃げ惑う人々には目もくれず真っ直ぐ門に向かって走っている。
私とリヴァイでは、戦闘においてはリヴァイの方が強い。よってこのような場合、奇行種の処理はいつもリヴァイに任せていた。
しかし通常種でも、建物が周囲にある場合は比較的小さめの巨人の方が厄介だ。建物の影から突然、飛び出てきたり…。
「!もう1体いる!」
3体目の巨人。6~7m級。通常種。
2体の巨人が伸ばす腕の間をすり抜け後ろへ回り込み、項を切り落とす。まず、1体。止まる事なく距離を取り、建物周りを1周して他にも隠れていないか確認してから2体目に近づき、討伐。高い建物の上に着地して、ブレードに付いた体液を振り払った。
「全員、すぐに援護できる距離で展開。巨人を見つけ次第、全員で討伐に向かう!」
「了解!」
8人いるこの班の2列目に私、7列目にエルドを置き一直線に展開した。中央は、リヴァイだ。色々な陣形を試して、最終的にこれに落ち着いた。リヴァイを要とした、生存しつつ確実に巨人を討伐する作戦。私が隊を作って最初に教えたのは、死なない術。そして、目の前で巨人によって仲間が殺されても、一旦忘れる事。死んだ者は、帰っては来ない。どれだけ大切な人であっても、その場で嘆き悲しむ事は許さない。その人を想うのは、生きて帰ってからでも、遅くはないのだから。
──あれから、1週間が経った。あの、この世の終わりかのような事件から。
後片付けは、主に調査兵団を中心に行われた。今や壁外となったシガンシナ区及びウォールマリア内は、調査兵団の管轄となったからだ。
我々が駆けつけた際、突破されたのはシガンシナ区の門だけだった。それが突然現れた鎧の巨人によって、ウォールマリアの門まで破壊された。討伐した者は、いない。にも関わらず、鎧の巨人は姿を消した。奴がどこへ消えたのか、未だに分かっていない。
「うっ…!」
崩れた家の瓦礫を退けると、見るも無惨な光景が広がっている。それも、1人や2人ではない。その上そこかしこに、巨人が吐き出したと思われる遺体の塊が転がっていた。
私達調査兵団が救った人達は、決して少なくはない。しかし、多くもない。もっと早く駆けつけられていたら…と思わなくもないが、あの日の調査兵団は、最善の働きをしたのだ。
「ユニ。」
「!エルヴィン団長。」
ちょうどひと息つこうかと思ったタイミングの、エルヴィン団長からの呼びかけ。汚れてしまっている体のため、いつもよりも距離をとり、敬礼をする。
「少し休みなさい。団長命令だ。」
「…分かりました。」
私は1週間の間、ほとんど休まなかった。だって、未だに行方不明者が大勢いるのだ。その人達を、一刻も早く家族の元へ返してあげたい。そう思ったら、たとえ夜だとしても瓦礫や岩を掻き分け、見つけてあげたいと思ったから。
「…駐屯兵団本部へ寄って体を清めてから、調査兵団本部へ戻ります。では、失礼します。」
汚れたままでは馬に乗れないし、本部へ入れない。きちんと汚れを落としてから帰らなくては。
「ありがとうございますっ…!ありがとう…っ!」
駐屯兵団本部で体を清めいざ帰ろうかと馬の元へ向かう道中──悲しみの込められた悲痛な叫びを聞き足を止めた。その声のする方へ足を向けると一般人の女性がいて、1人のご遺体を前に泣き崩れているところだった。
「調査兵団が…昼夜問わず捜索にあたってくれているのです。…見つかって、本当に良かった…!」
……帰ろう。こんな事で感謝されたって、何にも嬉しくない。己の──人類の無力感に、打ちひしがれそうになるだけだ。