851年~
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ミカサは、協力してくれると意志を示した。
しかし、ジャンは……他のみんなは、どうだろうか。
「エレンが始祖の力を維持できたとしてもあと4年の命なら…その後、この島はどうなりますか?その後の何十年後の未来もずっと…世界から向けられる憎悪が消えないなら…エレンを止める事は、この島を滅ぼす事になります。」
「…私が思うに、マーレからすれば島に奇襲を仕掛けた途端、地鳴らし発動だ。少なくとも今後しばらくはこの島に手を出せないと思う。」
「完全に島を滅ぼさないと、いつ世界が滅ぼされるか分からないと…ヴィリー・タイバーの演説以上に世界を焚き付ける事になりますよ!」
「それは尤もだろうが…いずれにしてもこの想定話には猶予がある。島が滅ぶにしても、何年間かは猶予ができるはずだ。」
「でも!…そうやって可能性を探している内に時間が過ぎて、何ひとつ解決できなかった!だからエレンは、世界を消そうと──」
「虐殺はダメだ!!これを肯定する理由があってたまるか!!」
「……ハンジさん、落ち着いてください。」
肩で息をするハンジさんの背を摩って、落ち着かせる。議論が白熱するのは良いが、ここは敵の領域。万が一この密会が露呈すれば、ジャンとミカサの安全は保証できなくなる。そして、明日の作戦も決行できなくなるだろう。
「全く…少しはエルヴィンを見習ってください。ハンジ団長。」
「…はは…エルヴィンから学んだのは、君の甘やかし方だけだったんだよ…。」
「それは確かに、とても大事な事ですね。」
大方エルヴィンはハンジさんに、私を上手く扱うには自由にさせておけと言っていたのではないだろうか。そのおかげで私はここ数年自由に動き回り、ハンジさんのサポートができていなかった。大らかなハンジさんなら大丈夫だろうとケアをしなかった結果、心労に心労を重ね今になって爆発してしまった。これは、私の責任だ。
「私は…まだ調査兵団の、14代団長だ。人類の自由のために心臓を捧げた…仲間が見ている。…気がする。大半は壁の外に人類がいるなんて知らずに死んでいった。だけど…この島だけに自由を齎せばそれでいい。…そんなケチな事を言う仲間は、いないだろう。」
「!!…エルヴィン…?」
ふと、エルヴィンの気配がした気がして、部屋を見渡す。当たり前だが、荒れ果てた室内があるだけだ。だがやはり何となく、そばにいてくれている気がする。
「…虐殺を止める事ができるのは…今しかない。」
「……ハンジさん…、俺は…まだ調査兵団です。」
エルヴィンが見守っててくれるなら、大丈夫。リヴァイと一緒にジークを仕留めたらその後は、エルヴィンの納得できる結末へと尽力すれば良い。捧げた心臓がどうなるか気になっているのなら、その心臓に見合った結果になるよう、私達は尽力するだけだ。
「じゃあ、おやすみ。ミカサ、ジャン。」
作戦の成功は、彼らに懸かっている。私はみんなを信じて、待つだけだ。
バシャァァ!
「オエエエエ……。」
「ジャン!無事で良かった!」
「ユニさん…。何で…私まで…。」
作戦は、成功した。様々な立場の人間がエレンを止めるため、こうしてここに集まった。敵同士殺し合っていたというのに、敵の敵は味方というのが、これで証明されたのだ。
「…誰か手伝ってくれないかな?睨み合ってないでさ…。」
「はい、ハンジさん。これ入れてください。」
「あぁ、ありがとう、ユニ。」
「じゃあ、私の仕事は終了って事で。」
「あっ、ユニ!」
私は手伝った方だ。これ以上あの睨み合いの中心にいたくはない。という事で、安寧の地であるリヴァイのそばへと避難した。
しかししばらく放っておくと責任の押し付け合いやいがみ合いが始まって、まぁ仕方のない事ではあるがさすがにうんざりしてくる。
「…あの。重症患者が寝ているので静かにしてもらえますか?」
普段殆ど眠らないリヴァイがこんなにも眠り続けているのだから、彼の体はよっぽど悪いのだろう。意外と安らかな寝顔がかわいくて頭を撫でると顔を寄せてくるので、ついついずっと撫で続けてしまう。リヴァイの髪の毛は今後1週間は、ツヤツヤが保たれる事だろう。
ドコッ!ドチャ!
「……はぁ…。」
シチューを食べながらようやく少しは静かに食事をしているかと思えば、これだ。視線を音の方へと向けると、ジャンがライナーをこれでもかと殴りつけているところであった。…気持ちは分かるが、怒りをぶつけるだけでは分かり合えない。それに、普通に煩い。
ガッ、ドサッ!
「煩い。怪我人が寝てるって言ってんだ。喧嘩するなら向こうでやりな。」
「すっ…、スミマセンでしたァ!!」
訓練の成果か、いとも容易くジャンを地面に転がす事ができた。数年前に比べるて立体機動や銃の扱い以外にも役に立てる事が増えたと実感でき、内心スキップでもしたい気分だ。
「…うるせぇな…。」
「あ、リヴァイ。シチューがあるけど、食べられる?」
「…あぁ…食ったらまた寝る。…寝てばかりですまねぇな。」
「寝る事で早く体の組織を修復しようとしてるんだよ、きっと。アッカーマンの体って凄いね!…あ。」
そういえば、ミカサに伝えてあげなければならない事があったと、シチューを盛りながら真っ直ぐミカサを見る。
「そういえばね、ミカサ。エレンが言ってたアッカーマンの習性。あれ、嘘だったよ。」
「え…、…えっ?」
「リヴァイが力に目覚めたのは、子供の時らしいの。だからリヴァイが私に固執するのはアッカーマンの習性とは無関係で…、…リヴァイはアッカーマン一族とか関係なしに、私を愛してるって。…ふふ。」
最後の方は耳打ちで、ミカサだけに伝えた。大きな声で言えばリヴァイの居心地が悪くなるだろうという気遣いからだったが、シチューを手に戻ると「おい…余計な事は言ってねぇだろうな?」と軽く睨まれた。察しがよくて困る。
聞こえないフリをしてふー、ふー、と少し冷ましたシチューをリヴァイの口へと運んでみて、人に食べさせるのは案外難しいのだと知った。前にリヴァイに看病してもらった時はなんて事ないようにやっていたから、やはりリヴァイが特別だったのだ。人前だというのもあり最初は躊躇していたが、食べないと栄養が摂れないと思い至りやがて諦めたように開いた口にスプーンを運んだ。私の手からシチューを食べているリヴァイを見て、なんとも言えない気持ちが湧き上がった。
「…もう食えねぇ。」
「そう。じゃあ、包帯を変えるついでに体を拭いて、着替えようか。カーテンを付けるね。」
ある程度食べたところで、リヴァイからのストップがかかる。具は食べさせていないが、内臓にダメージがあるため無理はさせられない。少しだけでも口にできたのなら、万々歳だ。
近くの木に布を吊るしカーテンにして、リヴァイの服を脱がす。特にこれといった汚れはないが、リヴァイは潔癖症だから常に綺麗な方が良いだろう。
「…情けねぇ…。」
「…え?」
「お前にこんな事までさせて、自分は何もできねぇなんてな…。」
リヴァイの声色からは、悔しさや情けなさ、そして不甲斐なさが感じられる。いつも大抵の事は自分で何とかできてしまう彼だから、食事や着替えすらもままならない今の状態は、かなり心にくるだろう。
「…リヴァイはいつも私を守ってくれて、甘やかしてくれて…これはその、せめてもの恩返しだよ。これじゃ全然足りないくらい。それに私は、リヴァイのお世話ができて楽しいし、幸せだよ。…でも…リヴァイから触れてもらえないのは寂しいから、早く良くなって欲しいな。」
全部が全部、私の本音だ。リヴァイの反応はというと、交換のため包帯は外されその表情は良く見えるが、目を見開き口も少し開いていて、何か変な事を言っただろうかと不安になった。
「…ユニ。」
「は、はい。…なに?」
「ヤリてぇ。」
「!…何言ってるの…!」
「ッ痛ってぇ!」
こんな状況で一体なんて事を言うんだ…!思わずリヴァイの傷のない肩を殴ってしまったが、不可抗力だ。むしろ傷口を避けた事を褒めてもらいたい。