851年~
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「お前モテねぇだろ。勝手に人の気持ちを分かった気になるなよ。」
「分かるさ…。…モテた事くらい……ある。」
「…何の話をしてるの?」
急ぎリヴァイの元へ…と巨大樹の森へやってくると、リヴァイとジークが真剣な顔でそんな話をしているものだから、戸惑った。過去の話やこれからの話をしているのかと思いきやモテるモテないの話で、緊張感は?と首を傾げるしかなかった。
「遅かったな、ユニ。」
「待たせてごめんね。」
「ユニちゃん…改めてよろしくね。」
「よろしくしません。それとちゃん付けはやめて。たぶんあなた、私より年下でしょ?敬語を使いなさい。」
「えぇ…そうなの?」
「次に舐めた口きいたら、脚から順に1cmずつ削いでいくから。」
「…イェレナからは非力で笑顔のかわいい女の子って聞いてたんだが…飛行船でも思いっきり蹴られたし、別の子の事だったのかなぁ。」
「それと、リヴァイはモテるから。関わりが多ければ多い人ほど、リヴァイの良さを理解できるんだから。」
「おい…。補足しなくていい。」
「そう?…リヴァイ、ちょっといい?」
リヴァイを連れ、何かあれば立体機動ですぐに対処できる木の上に移動し、顔を近づけた。そしてフロック含む新兵4人が情報漏洩の罪で地下牢に囚われた事を告げた。
「そうか…。やはり奴は、信用ならない奴だったって事か…。」
「向こうもこちらに不信感を抱いていながら在籍し続けていたし、イェレナとも接触していたというし…これからも、注意して見てなきゃいけないかもね…。」
「…お前がその任に就くのか?」
「いや…どうだろう。私じゃ逆に問題を起こしかねないと、ハンジさんも分かってると思うけど…。」
イェレナと、フロック。どちらも私とは相性が悪すぎる。イェレナと話せば私がキレるし、フロックと話せばフロックを怒らせる。その自信がある。とても。もしそうなった時にリヴァイがいなければ、収拾がつかなくなるのは明白だ。しかしリヴァイはリヴァイでジークの監視という大事な任があるので、ハンジさんの采配次第という事だ。
「とりあえずは主にリヴァイとの連絡係という事になってるよ。今のところは。」
「あぁ…お前が適任だろうな。お前なら万が一尾行されたとしても真っ先に気がつき、撒けるだろうし。」
「はは…、イェレナとフロックの監視以外に仕事があって良かったよ。」
これからすぐに、ハンジさんの元へ戻らなくてはならない。リヴァイへの接触は最小限に抑え、全体の動きを把握しなくてはならないからだ。
「じゃあ、私はそろそろ行くよ。またね、リヴァイ。」
「あぁ。…ユニ。」
「!」
ちゅ、とリヴァイにしては控えめなキス。控えめといってもここは外で、ましてや新兵達がそこら中にいて捕らえたジークもいるわけだが…奴から目を離さずにするのは不可能に近いと判断して今ここでしたのだろうが、部下達の冷やかしの視線が痛い。
「俺のいねぇところで死ぬなよ、ユニ。」
「…リヴァイも、くれぐれも気をつけてね。」
もう用は済んだし、癒された。きっとこれから戦況は目まぐるしく動くだろう。
最後に軽く抱き合ってから、リヴァイ達の元を去った。去り際ジークがヘラヘラとこちらに手を振っていたのは、見なかった事にした。
「は…、え…?ザックレー総統が…、エレンが…脱獄…?」
「あぁ。それとフロック率いる"イェーガー派"も、エレンの脱獄と同時に姿を消した。まさか看守まで手の内に入れていたとは…!」
「……そんな事が…。……それで、どうしてこんなところに?いい匂いがしますが、誰か来ているんですか?」
「ニコロの、大事なお客さんだってさ。こんな時に…。」
「大変だ!みんな来てくれ!!」
事前に分かってはいた事だが、こうも立て続けに問題が起こっては、一体どれから片付けていけば良いか…。とりあえずは今この場で起きている問題から…とアルミンの呼ぶ方へと向かうと、確かに大問題が起こっていた。捕えていたはずのマーレの子供二人の姿がそこにはあり、ニコロとサシャの家族という人達がその子らを殺すとか何とか…。うぅ…頭が痛い…。
「俺にも大事な人がいた!確かにエルディア人だ!悪魔の末裔だ!!だが…彼女は誰よりも俺の料理を美味そうに食った…。このクソみてぇな戦争から、俺を救ってくれたんだ…。」
「ッ…!目を覚まして!あなたはマーレの兵士でしょ!?あなたはきっと、その悪魔の女に惑わされてる!!悪魔なんかに負けないで!!」
「…ニコロくん。包丁を渡しなさい。」
ゆっくりと、ニコロからブラウスさんの手に渡る、刃物。彼はこの子らを、殺すだろうか。私としては、そうはならないでほしい。
「…そこまでです、ブラウスさん。刃物を置いてください。」
「サシャは狩人やった。」
「…はい?」
「こめぇ頃から弓を教えて、森ん獣を射て殺して食ってきた。それが俺らの生き方やったからや。けど同じ生き方が続けられん時代が来る事は分かっとったから、サシャを森から外へ行かした。んで…世界は繋がり兵士んなったサシャは、他所ん土地に攻め入り、人を撃ち人に撃たれた。結局…森を出たつもりが世界は命ん奪い合いを続ける、巨大な森の中やったんや…。」
ブラウスさんの持つ包丁は、ゆっくりとご婦人の手に渡り、コト、と静かにテーブルへと置かれる。彼の言葉を聞きながら、私達はただ黙っているしかなかった。
「過去の罪や悲しみを背負うのは、我々大人の責任や。」
「…ニコロさん。ベンを離しなさい。」
これが、大人の対応。視野の広さと心の寛大さや頭の柔軟さに、感動すら覚えた。世界がブラウスさんのような人達ばかりなら、どれほど平和だろう。
「ハンジさん…そのガキの口をゆすいでやってくれ。あのワインが入っちまった…。もう…手遅れだと思うけど…。」
「ッ!あのワインには何が……入ってるの?」
「多分…ジークの脊髄液だ。」
「…っ!」
咄嗟に、今すぐ部屋を出ようと駆け出す。あのワインがどのワインかは分からないが、リヴァイ達のいる巨大樹の森の木箱の中に、たくさんのワインが入っているのを見た。それも不自然なほどに。もう遅いかもしれないが、ジークを逃さぬように全ての巨人を倒すのは、いくらリヴァイといえど怪我じゃ済まないかもしれない。
そうして建物から出ようと廊下の角を曲がった先で、ドン、と誰かに勢い良くぶつかる。「すみません!」と顔を上げるとそれはエレンで、私の腕はいとも簡単に掴まれ、拘束されてしまった。
「…エレン…。」
「ちょうど良かったです、ユニさん。一緒に来てください。」
来てください、とお願いしているようだが、手首を掴む力は強く、半ば引き摺られる形でひとつの部屋へと入れられた。そこに居たのは、サシャを殺した子供と、ミカサ、そしてアルミン。
「椅子に座って、手はテーブルの上だ。」
「エレン…!」
「待って。…従おう。」
抵抗の意思はないと示すと、ようやくエレンの拘束から開放された。掴まれていた手首は、赤くなっていた。