851年~
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「…ん、…リヴァイ…。」
「は…、クソ…、おい、ユニ…。俺からここに連れ込んでおいて悪いが、一発殴ってくれねぇか?」
「え…、なんで…?」
今は恋人同士イチャイチャ甘い時間を過ごすタイミングだと思っていたのに、突然「殴ってくれ」なんて、いよいよリヴァイが分からない。確かにまだ職務を全うすべき時間ではあるが、それだけで殴ってくれ、とは…?
「…っ!リヴァ──」
「分かったか?早く殴れ。」
グッと下半身を押し付けられて、察する。硬く、なっている。リヴァイの…雄の象徴が。それを理解した途端に顔が熱くなって、咄嗟に腕で顔を隠した。リヴァイは早く殴れと簡単に言うが、リヴァイの綺麗な顔を殴るなんて、私にはできない。
「おい…それで抵抗してるつもりか?」
「ま、待って…!」
「!…お前、なんて顔してやがる…!」
「い、今は、見ないでほしい…。」
私の力がリヴァイに叶うわけもなく、手首を掴まれただけで隠そうとした顔が晒される。手首を掴まれては、これ以上の抵抗なんて一体どうすればいいのだろう。
「なら、早く俺を拒絶しろ。お前が拒絶しねぇ限り、俺はまたお前を求めちまうぞ。お前…俺とセックスなんてしたくはねぇだろ?」
「!……なんで、リヴァイが決めるの…?私ができるかどうかは、私次第でしょ…?」
「っ、そういう、つもりじゃ…!…悪い、…ユニ…。」
途端に、シュンとしてリヴァイは私の手首を離し、一歩後ろへと下がった。違う。私はリヴァイに、こういう顔をさせたかったわけじゃない。
リヴァイが離れた距離分、今度はこちらから歩み寄り、体を密着させた。
「っ、おい!」
「やだ!離れないでよ!…私は…、ただ、ちょっと待って欲しかっただけ。」
「…待つって、何を…。」
「…だって…、私いま、リヴァイにドキドキした。リヴァイはエルヴィンの事が頭を過ぎって殴れなんて言ったんだろうけど、私は……リヴァイの事しか、考えられなかった。リヴァイとそういう事、するのかなって、想像して…。…私の赤い顔を見たら、分かるでしょ…!?」
話しているうちにまたどんどんと顔が熱くなって、最後の方はもはやヤケクソだった。いつも私の表情の変化にいち早く気づくくせに、なぜ今回に限って読んでくれなかったんだ。
「…とはいえ今は勤務時間中で、それに執務室だから、……今日の、夜なら…。」
「!!…それは、…そういう意味として捉えて構わねぇか?」
「…いいよ。…ッ!」
顔を見るのが恥ずかしくて、リヴァイを抱きしめながら了承の言葉を告げると、僅かに身動ぎしたリヴァイから首へのキスが送られる。突然だったので思わずビクリと体が跳ねてしまったが、文句を言おうにも今度はリヴァイが強く抱きしめるので、その気も失せた。
「…良いのか…?そこまで俺を許して…。」
「…リヴァイ。私…リヴァイが思っている以上に、リヴァイの事が好きだよ。」
「!!」
「リヴァイ。ずっとずっと、私の事を想い続けてくれて…私の事を尊重してくれて、ありがとう。」
「…そんなの…なんて事、ねぇよ…。」
さっきとは打って変わって弱気モードになってしまったリヴァイを慰めるように、トントンと背中を叩き、摩ってあげた。しばらくそうしていると段々と落ち着いてきたのか、抱きしめる腕の力も弱くなってようやく、顔を見る事ができた。
「!…ユニ。」
「ごめんね、リヴァイ。これからは、私もちゃんと返すから。」
私からのキスは、距離の近いリヴァイにはすぐに届いた。やっぱり、距離が近くて良い事もある。
リヴァイから貰ったものを果たして私に返せるのかは分からないが、でも、返したいと思った。このキスが、まずその一歩目だ。
「…これ以上一緒にいたら、冷静でいられねぇ…。今日はここから、別行動でいいな?」
「ん…そうだね。」
「……じゃあ、また夜にな。」
ジッと視線を合わせながら私の手を取り、私の手のひらへとキスをして、それから執務室を出ていった。その目つきは獲物を狙う肉食獣そのもので、真正面から見つめられた私は、いとも簡単に動けなくなってしまった。
私はもしかしたら今夜、食べられてしまうのだろうか?
「あ、エレン。今一人なの?」
「…ユニさん。ユニさんこそ、一人なんですか?」
珍しくエレンが一人でいると思い声をかけたのだが、それがブーメランになって返ってきた。ここに来るまでに一体何度、「あれ?リヴァイ兵長は一緒じゃないんですか?」と言われた事だろう。それだけ最近は二人での行動が多かったのだ。私自身も、リヴァイが隣にいない事が不思議な感覚ではある。
「私はともかく、リヴァイは忙しいのよ。…エレン、最近どう?何かあった?」
エレンは港からトロスト区へと繋がる鉄道とやらの線路を作るのに精を出していると聞いている。私もたまにリヴァイと手伝いに来る事はあったが、それはエレンから提案したのだと聞いた。
エレンは……何年も前から、様子が変わってしまった。それは子供だと思っていた子が成長したというだけでは説明がつかないような変化で、幼馴染であるアルミンやミカサに任せていたのだが一向に改善する様子はなく、最近では笑う事も少なくなったように思う。
「何かあった、というか…疲れてるとか、何かに悩んでるとか、そういうのはない?」
「…優しいですね、ユニさんは…。」
「エレンが好きで、大事だから、心配してるんだよ。」
「!…好き…?」
「あぁいや、恋愛感情とかじゃなくてね。エレンもみんなも、私のかわいい後輩だから。」
「…ユニさんの笑顔を見ていると、癒されます。」
「本当?ちょっと照れちゃうな。」
「癒される反面…、泣きたい気持ちになりますが…。」
「…エレン、大丈夫?」
エレンの精神状態は、思いのほか悪いらしい。話も飛び飛びで受け答えができているかも怪しいし、何より今まさに、顔を両手で覆ってしゃがみこんでしまった。エレンは今、一体何を背負っているのだろう。その背負っているものが大きすぎて、今にも潰れてしまいそうな状態なのではないだろうか?
「エレン…話せない事や、話したくない事もあるのかもしれない。けど…少しでも吐き出さなきゃ、苦しくなっちゃうよ。ミカサやアルミンに話しづらい事なら、私でもリヴァイでもいいから、話してほしいな。別に話せない事は話さなくていいから、会話してほしい。今日食べたアレが美味しかったとか、昨日の夕焼けが綺麗だったとか、そういうのでも良いよ。」
「…… ユニさん。迷惑じゃなければ、抱きしめてもらってもいいですか…?」
「!…うん、いいよ。」
何を言うかと思えば、ずいぶんとかわいらしいお願いだ。了承すると私よりも先にエレンの方が早く背中に腕を回してきて、よっぽど辛いのだと悟った。エレンはきっと、話してはくれないのだろうが。
「俺は…104期のみんなが、大好きで、大事なんです。」
「うん。ふふ…、いい仲間に恵まれたね。」
「はい。俺には勿体ないくらいの、いい奴らで…。誰も失いたくないし、不幸になってほしくもない。」
「…欲張りね。でも…そうだね。それが叶うなら、一番良い。エレンは欲張りだけど、とっても優しいね。仲間の幸せを願えるなんて。」
ふと、ひとつの仮説が思い浮かぶ。優しいエレンの事だから、仲間の幸せのためならば自分を犠牲にしようとするのではないかと。それが何を指すかは全く分からないが、そのような状況に陥った時、エレンはそういう選択をするのではないかと、そう思った。
「エレン。私は、エレンも幸せになって欲しいよ。」
「!」
「ミカサだってアルミンだって、他の104期生達だって、きっとそう思ってる。エレンも含めて、104期生なんだから。」
「…ユニ、さん…。…ありがとうございます…!」
エレンの腕の力が、一層強くなる。リヴァイがここにいなくて、本当に良かったと思う。トントンと背中を叩きながら、さっきもやったな…とリヴァイを思い出しながら、エレンを慰めた。
やがて体を離したエレンはやっぱり何も教えてはくれなかったが、その表情はいくらか柔らかくなっていたように思う。