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ガレキの塔・ダイニングルームの一角にて
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モニターを前に、先月発売されたばかりのFFXVIをプレイしようとしているケフカ
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ケフカ
大大大先輩の立場としては、一応チェックしとかんとねん
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周囲に三闘神も揃い、興味深く見守っている。
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ケフカ
始まり始まり〜
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ケフカ
やっぱり画像リアルねぇ、音楽もステキ
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ケフカ
聞いた所によると、此のXVIはダークファンタジーってのがウリなんだって?
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ケフカ
じゃあ…今迄のはダークじゃ無かったとでも?
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ケフカ
例えば毒攻めとかね、かなりグロかったんよ?ドットだったんで皆さん、お気づきになってませんでしたか……?
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鬼神
……(世界も見事に壊されましたしね)
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ケフカ
そうそう、ぼくちん頑張った!まぁこれ一通り把握したらそっちの方、更に徹底的にやるけどね
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などとダベりつつ、ゲームを進めるケフカ
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ケフカ
…そんでさぁXVI、解像度モリモリの召喚獣が、バンバン出て来るって言うじゃない
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ケフカ
でも召喚獣なんてどんなに凄かろうと、そんなもんはですねぇ、
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ケフカ
この私の養分以外の何ものでもナーイ!のですからねー!!
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鬼神
……(幻獣、リキ入れて相当数創った甲斐が有りました)
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ケフカ
ほーんとウジャウジャ居て、収穫ん時ゃ楽しかったー!
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変わらずダベりつつも、画面の中のXVIを更に進めて行く
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ケフカ
為政者周りなんざ、何ッ処もスカスカだねぇ…
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ケフカ
あーあ、あんなにキラキラしてた召喚獣を…モッタイナイ!
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魔神
……(あぁ……)
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ケフカ
魔神ちゃんどしたん?急に頭抱えて
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魔神
……(僕…戦争ん時もっと頑張って、此れに引けを取らない程の幻獣、創れば良かった…!)
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女神
……(あんたねぇ…技術を内側から超越なんて事したら全て滅茶苦茶になっちゃうわ。今こうして、ケフカ様に力を継いで頂く事も出来なかったわよ)
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魔神
……(あ、そうか)
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鬼神
……(よしんばソフトウェアの崩壊に至らなかったとしてもだ、幾ら凄え幻獣創った所で、後々プレイヤーキャラに凄え魔石をくれてやるだけになる確率大だしなぁ)
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女神
……(ま、センス皆無な魔神には、垢抜けた幻獣なんて到底無理な話だわ!)
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魔神
……(…うぅ…お前なぁ、言い過ぎなんだぞ、うわーん!!)
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鬼神
……(うるせーぞ騒ぐのも大概にしろ、このトンチキ共がァ!!)
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ケフカ
…ハイハイ。毎度お馴染みケンカはやめい
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女神
……(まぁ私ったら…申し訳ございません!)
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魔神
……(も…申し訳有りませんでした…ケフカ様…)
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鬼神
……(やべぇ、俺もつい…すいやせん)
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魔神
……(…あーあ、だったらⅥも最新技術でリメイクすれば良いのになぁ。そしたら僕の幻獣のカッコ良さ、もっとハッキリ解るのに)
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ケフカ
あん?リメイク?とんでもない
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ケフカ
…お話の内容グッチャグッチャに変えられたり、キャラ設定にモリモリ後付けされたり…ロクでも無いよ、あんなもの
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鬼神
……(ケフカ様…、そりゃあちょいと…問題発言では…)
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ケフカ
…最新の3DCGを前に、私も少々騒ぎ過ぎましたがね…現状のあなた方の幻獣だって、あちら側で今だにドット表現の大傑作と語り継がれる素晴らしいものです
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ケフカ
兎に角、私は現状で満足なんです
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ケフカ
…おかしく変えられて…しまった、あなた方三柱ともお会いしたくないし
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女神
……(そ…其のようなお言葉、身に余る光栄ですわ…!(大泣
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魔神
……(僕ったら余計な事ばかり、すびばせん〜(滝涙
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鬼神
……(ケフカ様、一生付いて行きやすぜ…(涙腺崩壊
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セフィロス
おっ、早速やってるな
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ケフカ
…あら、
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ケフカ
(噂をすれば…)
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ダイニングの扉を開き入室したセフィロスが己に歩み寄る其の間に、PS5をレストモードにするケフカ
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セフィロス
何だ、やめてしまうのか?
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ケフカ
ええ。こんな事をしている場合では有りませんのでね
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気を遣い、各々退散する三闘神
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セフィロス
遠慮させてしまったか、悪かったな
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ケフカ
いいえ…近頃は、増々の御多忙で
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セフィロス
ああ。7リバースやエバークライシスの情報も、先月9日の『Summer Game Fest 2023』で大々的に発表されたからな
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セフィロス
だから…忙しなさで辛くなる前に、少し抜け出して来たんだ
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ケフカ
お疲れ様です。では、お茶は甘めに入れましょう
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そう言い椅子から立ち上がったケフカの躰を、セフィロスは優しく捕えると、
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セフィロス
其の前に、な…
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溜息のように呟きながらマントに包まれた相手の背に両腕をまわし、其の奇抜な襟に覆われた肩口に、ゆっくりと顔をうずめていく
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ケフカ
…おや、マザコンの甘えん坊さんは、厄災な彼の方では有りませんでした?
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セフィロス
…何の…話だ?
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ケフカ
貴方は以前疲労の余り、魂が散り散りバラバラになるようだと嘆いていた
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ケフカ
でも実際、もうバラバラなんじゃーないの?
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セフィロス
何故、そんな…
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ケフカ
件の、7リバーストレーラー
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ケフカ
ジェノバの事を、怪物と…貴方は確かに仰った
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セフィロス
…!
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ケフカ
私はね、以前…FFⅦ原作にもプレイヤーとして接してみた事が有るのです。様々をより深く知る為に
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ケフカ
感心致しました、柄にも無くね…ええ、貴方が最期を迎えるあのシーン
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セフィロス
…………
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ケフカ
貴方の魂の…疎外の刻印たる赤色が、星の色たる緑に変わりゆき、他の者達と溶け合うさま…嗚呼あの娘は此れを為し遂げたのだと…そして度々謳われしガイアの懐とは、何と広く…深きものなのかと
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ケフカ
そして終いには、皆…元がどんなにアレな奴で有ったとしてもね、もう皆さんが殻を無くしてライフストリームとなり、メテオを止め星を守る目的の下に一致団結…
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セフィロス
……………
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ケフカ
しかし其れは、即座に無かった事とされました。貴方は星の流れに収まらず厄災として蘇り、他のあらゆるご活躍…勿論ディシディアでもそっち路線で、別に全然良いんだけどね、だから僕達知り合えたんだし
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ケフカ
でもリメイクから其れも怪しくなって来て、したら今度は何?直近のあの台詞、貴方は二人に分かたれた?つまり善玉と悪玉に?何だそりゃ神とピッコ○大魔王か!しかも伏線も無く唐突に!
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ケフカ
其れとも不都合な設定は、思念体とやらにゼーンブ押し付けるおつもりなの?どっちにしろ何もかも、辻褄合わせのブレブレだー!!キーー!!!
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話しながら何時しか相手から離れ、握り締めた両手を上向きにぶん回しつつドタドタと派手に地団駄を踏むケフカの有様に、セフィロスは何時に無く困った顔をして、
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セフィロス
…ケフカ、どうか落ち着いてくれ。俺もリバースの全容を、把握出来てはいないんだ
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ケフカ
…へっ?
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動きを止め、目をパチクリするケフカ
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セフィロス
……お前の考えは、確定では無い。最新トレーラーでの台詞は、もしかしたらミスリードを狙ったものかも知れないし、制作側の単なる誤りなのかも知れない……
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セフィロス
…それに今は、異なる世界線を示唆するシーンも見受けられる。其処での出来事なのかも知れないし…
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ケフカ
かもかもって何よ、御自分の事でしょ?どうしてそんなにあやふやなの?
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セフィロス
…Ⅶリメイクプロジェクトに関しては、俺自身の記憶にも制作の外では制限が掛けられている
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セフィロス
手を加え未だ世に認知されていない部分に於いては、特に厳重に…
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ケフカ
え?だってリメイク、貴方の記憶を抽出して作ってるのに…!
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セフィロス
…今後もFFⅦの記憶保管庫としては活用していくが、制作過程を外部の…例えばお前に話されるのは、都合が悪いらしい
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ケフカ
ひっど…!まぁそんなもんだって解ってたけど
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セフィロス
ヤツラに取り、我らはヒトでは無いからな……
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ケフカ
まーね…
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ケフカ
…じゃあさ、スマホゲー最大のウリにしてる、少年時代の御記憶なども?
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セフィロス
ECのあれか…ああ全く妙な話だ、他ならぬ己の過去なのにな…
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セフィロス
画像を前にお前なのだと告げられた時には、新鮮な心持ちさえしたものだ。だが今後、此れも現実味を帯びて行くのだろうな…
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ティファ
あぁ!やっぱり此処に居たんだ!!
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セフィロス
!
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ケフカ
えぇ?!ダイナマイツさん?
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ティファの突然の登場に、驚愕の表情で固まる二人
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ティファ
ケフカさん、いきなりすみません。私セフィロスに、どうしても聞かなきゃって事が有って…
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ティファ
必死で居所を探していたら、丁度Ⅵへの入り口が開いたもので、其れで急いで…
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ケフカ
イヤ別にいいですけども…
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セフィロス
俺に、何を?
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ティファ
あっ、そうよセフィロス!
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ティファは勢い付けてセフィロスの方を向くと、
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ティファ
"私を殺した筈"って、あれは一体どう言う事!?
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ケフカ
あートレーラーのね、そんな台詞も有った有った
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セフィロス
…其れは…
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ティファ
はっきり答えなきゃ、許さないわよ。答えても場合によっては許さないけど
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セフィロス
………
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セフィロス
……あの日、俺はス◯エニ制作陣と共に、リメイク前のFFⅦ映像を見返していた…そうしたらニブルヘイム魔晄炉で、俺はお前を斬り倒していた
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ティファ
ええ、大怪我だったわ
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セフィロス
…ふと、思ったんだ…怪我で済む筈は無かろうと…生身な上に訓練も受けていない者が俺の攻撃をまともに受けて、命を取り留める訳が無い、と…
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セフィロス
其れを隣のスタッフに伝えたら、「当時は技術の制限も有り深く考えなかったが、今だと確かに違和感が生じる。其のアイデア頂こう」と、そんな経緯で…
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ケフカ
何とまぁ、軽いノリで
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ティファ
ウソ…!
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ティファ
…そんな事がまかり通るの?私の物語はあそこで終わっていたの?じゃあ今迄の…今の私は、一体、何だと言うの?
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ティファ
…みんなとの思い出も…全部偽物だったって事…?そんなのイヤ…!!
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ティファ
其れに、Ⅶを遊んで私の事を気に入って…ずっと応援してくれてるプレイヤーさんだって居るのよ?きっと心配掛けちゃってる!!
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セフィロス
済まない、本当に余計な発言をした。まさかこんな結果になるとは…
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セフィロス
だが、トレーラーでの俺の台詞が、全てを決定付けているとも限らないんだ…
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ケフカ
…セフィ坊もね、あの場でああは言ったもののお嬢さん方と同じく、発売日まで改変箇所の記憶を制限されているんですって
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ティファ
えっ…じゃあセフィロスも、真相は何も解ってないって事?
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セフィロス
今は、そうだ…記憶を封じられている
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セフィロス
…お前の存在理由にも触れるような台詞を広めておいて、甚だ無責任なんだが……
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ティファ
………
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ティファ
……解ったわ
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ティファ
…クラウドもあのトレーラーに動揺してたから、この事早く伝えたい…気休めにしかならないけど
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セフィロス
ス◯エニに、境界線をⅦに向け裂いて貰おう。少し待っていてくれ
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そう言うとポケットから社用携帯を取り出して、連絡を取り始めるセフィロス
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ケフカ
特別扱いさんは、出来る事がやっぱり違うのねぇ
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程無く出現した裂け目へと、足早に向かうティファの背に向け、
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セフィロス
今回の件については、己の力不足を感じていると伝え置いてくれ…クラウドに
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ティファ
…事情が解れば、あなたが気に病む事は無かったわ
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ティファ
でも、そう言ってたって事も伝えとく。ふふ、もっとびっくりしちゃうかも
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ティファ
ではお邪魔しました、ケフカさん
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ケフカ
いえいえ、道中お気を付けて
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ペコリと頭を下げたティファが境界線を抜けると、裂け目は瞬時に閉じて消失する
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ケフカ
ビックリだけで終わらずに、具体的に行動を起こすだなんて…大した娘さんだこと
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セフィロス
…………
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セフィロス
……ケフカ、その…
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ケフカ
…ええ
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セフィロス
…もし…俗に言う、悪役の立場では無くなったなら……
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セフィロス
…お前は厭うか?…この俺を……
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ケフカ
………
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ケフカ
…私は、謝らなければいけません
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セフィロス
…何を…
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ケフカ
…ティファさんの言葉に、気付かされました…貴方を責める道理など、何処にも無いと言う事を…
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ケフカ
…先程、怒りを貴方にぶつけてしまった事を、謝らねば…
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ケフカ
…済みませんでしたね
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言葉が終わるや否や、セフィロスの胸に抱き締められるケフカ
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セフィロス
…いいや、俺も済まない!お前を、此処まで巻き込んでおきながら…!
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セフィロス
……お前は俺の為に、全てを…自らの存在までをも、賭してくれたのに……
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セフィロス
…お前は…大切なのに、何よりも……!!
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ケフカ
ああ、貴方は何も変わっておられない…
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ケフカ
……いよいよ刻が来たのかと、私は其れが……怖かった……
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ケフカ
…甘えん坊です、変わらずに…
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セフィロス
…ケフカ…っ…
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やがて、頬に零れる涙を互い気遣い合ったのちに、
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貪るように交わす口づけが、鳴り響く警鐘を掻き消して行く
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絶望を迎える覚悟など、叶わない
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即今こんなにも愛おしい、貴方を目前にしてしまっては──
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