-
今日も今日とてガレキの塔、只今ケフカは寝室で、ベッドの中にて目覚めた所
-
ケフカ
ふぁ〜あ(伸び
-
ケフカ
…ねむねむ…(目擦り
-
ケフカ
さて…顔洗って、着替えて、お化粧っと…
-
身なりを整えたケフカは豪奢な鏡台に向かったままポーズを取り、
-
ケフカ
ふむ。今日もお化粧のノリ、バッチリ!
-
ケフカ
こうして見るとつくづく美しいよねぇぼくちん…当たり前だけど
-
ケフカ
うふふ…今度新色の口紅でも、試してみようかしらん
-
ケフカ
………ん?…アレ?
-
ケフカ
…鏡の中のぼくちんが……二人??
-
ケフカ
ΣΣあっそびっましょ
〜〜ん!!! -
ケフカ
Σうきゃー!!
-
突如現れたもう一人の自分に背後から強く抱き着かれ、叫び声を上げるケフカ
-
ケフカ
ホントだ!ホントに来られた!嬉しい!楽しい!大好きー!!
-
ケフカ
ウン…そんなドリカム気分な2Pぼくちんは、此処への道程を、無事把握出来た様だね?
-
ケフカ
そう!ぼくちんがラスボスを務めてる別のナンバリングⅥから、ディシディアNT経由でやっとこさ来られたのだー!!
-
ケフカ
遠路はるばる、お疲れサマー
-
ケフカ
うふふ、ぼくちん、ぼーくちーん♡(頬ずり
-
ケフカ
ウン、ウン…兎に角落ち着き給え、もう一人のぼく様よ
-
ケフカ
あっ、ごめんね…!
-
ようやく我に帰り、ケフカに抱き着く両腕を緩め、顔を合わせる2Pケフカ
-
ケフカ
ぼく、ついはしゃいじゃって…お前にはもう、お相手が居るんだもんね?
-
ケフカ
フフ…まぁ前回みたいなおいたをしなけりゃ大歓迎!やっぱりお前、可愛いとこ有るし
-
ケフカ
ようこそいらっしゃい、ぼくちん
-
ニコリと微笑み掛けるケフカに、堪らず再び抱き着く2Pケフカ
-
ケフカ
Σキャー!!何て色男!やっぱり好き、ダイスキー!!
-
ケフカ
あーあー、たくもー…
-
ケフカは、困り顔の頬を人差し指でポリポリと掻きながら、
-
ケフカ
所でお前は朝御飯、もう済んだの?
-
2Pケフカは依然抱き着いたまま、キョトンとした顔を見せ、
-
ケフカ
ゴハン?そんなもの食べてない、ずっと
-
ケフカ
…そう。取り敢えず、ぼくちんの食堂へ行こ?
-
ケフカ
うん、わーい!行く♪
-
ダイニングルームにて
-
ケフカ
んじゃま、適当な席に座ったんさい
-
ケフカ
わーお…さっきのお部屋と言い、綺麗にしてるんだねぇ!
-
テーブルを挟んだケフカの向かい席へ、うきうきと腰掛ける2Pケフカ
-
ケフカ
お前、住まいにはこだわってないの?
-
ケフカ
ゼーンゼン!テキトーにガレキ集めて、ゼーンブ剥き出しのまんまだよ
-
ケフカ
…えぇ?世界崩壊から最低一年、その後もプレイヤーの気の済む迄、ぼくちん達は待つ訳だよ?
-
ケフカ
その間の衣食住、どうしてんの
-
ケフカ
だって、神なんだもん…住み心地なんてどうでもいいし、寝たり食べたりしなくても、死ぬ事だって無いじゃない?
-
ケフカ
…まぁ、ぶっちゃけ、そうなんだけど…
-
ケフカ
…でもさ、教団信者達がお節介で、何かと貢いで来たりしない?
-
ケフカ
あんなの…カス以下共が勝手に寄り集まって、バカ騒ぎしてるだけ。相手にしなーい!
-
ケフカ
うん…其れもまぁ、そうなんだけど…
-
魔神
…………
-
ケフカ
あ、おはよ魔神。今日の朝食は二人分、腕によりをかけて、宜しくね
-
魔神
…………
-
2Pケフカにも恭しく頭を垂れ、キッチンへと向かう三闘神が一柱・魔神
-
ケフカ
へー、ビックリ!此処の三闘神は、ちゃんと自由意志で動くんだねぇ!
-
ケフカ
お前んとこのは、違うの?
-
ケフカ
違う違う!ぼくに力を取り込まれてからは、ホントに残りカスそのものだよ
-
ケフカ
思念で操れば、まぁ戦力にはなってくれるんだけど…
-
ケフカ
……………
-
ケフカ
…お前はずーっと一人きりで、荒れ果てたガレキの寄せ集めの中で…
-
ケフカ
…食べる事も眠る事もせずに、一体何をしているの?
-
ケフカ
え?だから、外界でイキってる奴を見付けては裁きの光でぶっ壊したり、
-
ケフカ
たまに気分で、イキって無いのもぶっ壊したり、
-
ケフカ
其れから、プレイヤーキャラ達に絶望を知らしめる為の台詞を延々と考えたり、
-
ケフカ
後は…鏡を見ながら、自…
-
ケフカ
ハイハイハイハイ!解った解った!
-
ケフカ
(全く…ほっとくと何を言い出すやら、いけない子!)
-
ケフカ
なーんかお前は、正に絶望を地で行く生活を、送っとる様だねぇ…
-
ケフカ
まぁね、ラスボスとしては其の方がイカス生き様なのだけど、余りに味気無いでしょうよ
-
ケフカ
味気無いだなんて、考えた事も無かったじょ…
-
ケフカ
どんどん力を取り込んでる段階では、そりゃ愉しい思いも有ったけど…
-
ケフカ
…神にまで到達してしまえば、後はもう…私を満たすのは、破壊のみ…
-
ケフカ
……けれどお前は行動を起こし、今もこうして私の元へ来ている…
-
ケフカ
………あ…
-
魔神
…………
-
其処へ魔神がやって来て、銀の盆に載せた朝食を二人にサーブし終えると一礼し、キッチンへ退がって行く
-
ケフカ
…さ、話の続きはまた後で。先ずはきっちり朝御飯!
-
ケフカ
わぁ、オレンジジュースと、バゲットのフレンチトースト…いい匂い。何だかとっても久し振りー!
-
ケフカ
ええ、魔神が一晩、手製のアングレーズソースに漬け込んでますからね、美味しいですよ
-
ケフカ
いっただっきまーす!
-
ケフカ
どーぞ、召し上がれ
-
ケフカ
んー!おいちー♪…アレ?食べるって、こんなにワクワクする事だったっけ??
-
ケフカ
そりゃ、ワクワクする事なんですよ。自分が何に変わろうと、どんな設定を授けられていようと、
-
ケフカ
己の心根を潤わせる事を捨て去らねばいけないと言う法は、無い筈です
-
ケフカ
…ん、何時もの味。美味しい
-
ケフカ
…でも、ぼく……
-
ケフカ
どうしました?
-
ケフカ
おうちに帰って一人ぼっちで食べても、ワクワクしないと思う…
-
ケフカ
………(本当は、貴方以外の誰と、食べても……)
-
ケフカは温めておいたティーセットで、二人分の紅茶を入れながら、
-
ケフカ
でしたら、これからも度々此方にいらしたらいい…
-
そして入れたての熱い茶を勧めつつ、
-
ケフカ
…この程度のおもてなしなら、何時だって出来ますから
-
ケフカ
うん、…うん…!
-
ケフカ
…お茶も、凄く美味しく入れられるんだね…何だかぼくちん、泣いちゃいそう…
-
ケフカ
やれやれ…私は此処まで、感激屋さんでしたかね?
-
其れから暫くの間、二人は存分に朝食を楽しんで、
-
ケフカ
…お腹いっぱい、御馳走様っと。食後にお茶のお代わりは如何?
-
ケフカ
うん、有難う……でもね、
-
ケフカ
何です?
-
ケフカ
…あのね、さっきから気になってたんだけど…
-
2Pケフカの目線の先には食堂の隅、黒く艶めくグランドピアノ
-
ケフカ
あ、お前もやっぱりピアノ弾きます?
-
ケフカ
弾く弾く、そりゃもう弾きまくり!
-
ケフカ
やー、嬉しいですね…どうぞお好きに、奏でてみて下さいな
-
ケフカ
ありがと!でも一年振りだから、ちょっと腕が鈍ってるかも…
-
2Pケフカはピアノの椅子に腰掛けると、手慣らしに鍵盤を一撫でする
-
ケフカ
うひゃ、いい音…♪
-
ケフカ
調律も万全ですよ
-
ケフカ
…じゃあ、先ずはやっぱりこの曲を…
-
ケフカ
ああ、私達のテーマ曲…
-
ケフカ
そう…
-
2Pケフカがコミカルながらも高い技術の要求される楽曲『魔導士ケフカ』を流麗に弾きこなし、やがて演奏し終えると、ケフカは大きな拍手を送りながら、
-
ケフカ
素晴らしい…!流石は私と言った所です
-
ケフカ
うふふ…やっぱり楽しいね、音楽
-
ケフカ
ぼくちんも帰ったら早速、おうちにピアノを置こうかな
-
ケフカ
是非そうされた方がいい…塔のモンスター達も喜んで、鑑賞客になるでしょう
-
ケフカ
うん。音楽の解りそうな子達を呼んで、集めてみる
-
其の答えに微笑みつつ、ケフカはおもむろに立ち上がると、ピアノの方へと歩み寄る
-
ケフカ
折角ですから、次は連弾と行きませんか?
-
ケフカ
ヒャハ!一緒に弾いてくれるの?
-
いそいそとベンチ椅子の半分を空ける、2Pケフカ
-
ケフカ
ええ…曲は勿論、
-
ケフカ
『妖星乱舞』!
-
全四楽章で構成され、自らの生涯を辿りレクイエムともなり得る壮大な楽曲を、二人は至妙に丹念に、息を合わせて奏で続ける
-
ケフカ
第四楽章…あそこんトコ、一緒に笑ってみましょうか
-
ケフカ
ソレいいねぇ!
-
原曲ではSEの笑い声が入る箇所で、実際に笑ってみる二人
-
ケフカ
ホワッホッホッホ!
-
ケフカ
ホワッホッホッホ!
…やだ、ゼイタク!! -
長い曲も終末を迎え、椅子に並び座る二人には、弾き終えた充実感と沈黙とが訪れる
-
ケフカ
……………
-
ケフカ
…やっぱり…愛しい……
-
溜息の様な呟きの方へ目をやれば、己と全く同じ作りをした端整な瞳が、真っ直ぐに此方を向いている
-
ケフカ
……………
-
ケフカ
……口付けは、許されない?
-
ケフカ
…もう、お招き出来なくなりますよ…
-
2Pケフカは長い睫毛を伏せて、
-
ケフカ
……じゃあ、どうして優しくするの
-
吐き捨てる様にそう言い俯く相手へ、ケフカは半ば慌てつつ、
-
ケフカ
…何だかお前は可愛くてね、いやその、弟か妹が出来たみたいな……
-
ケフカ
……ぼくにも、こんな…優しさを失わずに居られる個体が、存在し得るんだね……でも
-
ケフカ
…優し過ぎるのも、残酷なんだじょ……
-
ケフカは椅子から立ち上がると、決まり悪そうにマントの皺を直しながら、
-
ケフカ
お前、他ナンバリングにでも気になる子居ないの?ホラ、ディシディアとかで
-
ケフカ
居ない…皆、お前に比べりゃカスばっか…
-
ケフカ
……仮にね、私がお付き合いを受け入れたとしても、其れでは今迄と同じ事…
-
ケフカ
鏡相手に自らを慰めるのと、何ら変わりが無いのですよ…お前の心が真に満たされる事は、有り得ない
-
ケフカ
……其れでもいい…!
-
ケフカ
……………
-
ケフカ
いつ…いつ、消滅するか解らないのです…あの曲の終わりと共にこの身は、必ず終焉を迎える運命……
-
ケフカ
でしたら一番愛しい自分に…貴方に、刹那でもいい……愛されたい……
-
ケフカ
……其れは、今はっきりと申し上げておきますが、
-
ケフカ
愛情では無く……憐憫の情と言う事に、なりますよ…
-
ケフカ
…ええ。望んでも望んでも、ヒトの心はどうにもならない事位、解っています…だから、せめて、
-
ケフカ
どうか、私を…憐れんで……
-
ケフカ
……………
-
ケフカは椅子に座ったままの2Pケフカのおとがいを捕えると、己の方へ上向かせる
-
ケフカ
…あっ……
-
ケフカ
……瞳を閉じろ
-
ケフカ
…………
-
言われるがまま瞼を閉じ、口をうっすら開いた相手のかんばせへ、ケフカはゆっくりと唇を寄せると、
-
其の白い額に口付けて、再び顔を離していく
-
ケフカ
………えっ、オシマイ?
-
ケフカ
オシマイ。
-
ケフカ
Σツマンナ〜〜イ!!
-
ケフカ
うっせー!35のオッサンをカリ城ヒロインと同格に扱ってやったんだから、有難く思え!!
-
ケフカ
大体何だその、「ぼくちんをカワイソがって〜ん(泣)」的な、情け無い事極まり無い姿勢は!
-
ケフカ
…全く反吐が出る!私ならばそんな弱音を吐く暇に、前向きで手段選ばぬ策略をドンドン巡らせている筈です
-
ケフカ
だから今回は、更にお涙チョーダイで迫ってみたんじゃないのよー!
-
ケフカ
ふむ、今回も策略だったか…!いいぞ、その意気だ!!
-
ケフカ
んー、結構いいセン行ってたと思うんだけどなー。正直、絆され掛けてたでしょ?
-
ケフカ
………(本当は、策略なんかじゃ無かった癖に…)
-
ケフカ
………(本当は、全部本心だったのだけど…)
-
ケフカ
……兎に角ぼくちんは、折角オトモダチになれたお前との仲を、壊したくないの!!
-
ケフカ
あっ、「壊したくない」だって!其れこそぼくちんらしくなーい!!
-
ケフカ
むふ…これは、あと一押しと言った感じだねぇ…
-
ケフカ
…諦めろ
-
ケフカ
諦めない♡
-
ケフカ
ぐぬぬ…流石ぼくちん、執念深い……
-
その時ダイニングの隅に現れる、ディシディアNTとの境界線の裂け目
-
ケフカ
…あっ、裂け目だ
-
ケフカ
お前もあんまり自分とこのⅥを留守すると、マズいんじゃ無い?
-
ケフカ
むー、そうだね…今日の所はぼくちん、この辺で帰ろうかな
-
ケフカ
んじゃま、気を付けて…また遊びにおいで?但し下心は、キチンとおうちに置いて来て
-
ケフカ
うん!其れでさ、何時かまた、しよーね!あのⅦの彼氏サンも交えて、濃厚3ぴ…
-
ケフカ
ΣΣもう無ぇよ!!下心は置いて来いっつったろ?!
-
ケフカ
そんな事言ってぇ、忘れられない癖にー♪
-
ケフカ
Σキー!!黙れや!ホラホラさっさと、帰れ帰れ!
-
ケフカ
………
-
2Pケフカは怒り狂うケフカの一瞬の隙をつき、互い毒々しく塗り込めても美しさを隠し切れない唇同士を、そっと重ね合わせる
-
ケフカ
………!
-
ケフカ
じゃねぃ♪今回も色々と、御馳走様!
-
そう言ってバイバイと手を振り、裂け目の向こうへ消えて行く2Pケフカ
-
ケフカ
……んもー、唇はダメなんだっつの…
-
ケフカは眉間に皺を寄せつつ、傍のテーブルナプキンを取って口許を拭いながら、
-
ケフカ
済まん、セフィ坊…
-
ケフカ
はぁ……どいつもこいつもぼくちんも、
-
ケフカ
全くもって、純情バカ!
タップで続きを読む