──ああ、

今夜は、彼とのお仕事ですか

いやぁ、彼とだと何と言うか…

気が楽で、いいですね

アイツな

四柱の冴島さんなんかが相手だと、些か肩の荷が重いというか……

うん、好きに暴れらんない

大体、ガキが四柱なんて上も何考えてんの？ 馬鹿じゃない？

潤葉…

冴島をガキとか、上を馬鹿とか

聞こえたら、どーすんだっ……

呼び捨てんじゃねぇー、小鉄！

まあまあ、二人共…

それと、大上

ここ、禁煙室ですよ

うっさいなぁ～！

…で？ 何、今夜の“餌役” ……馬鹿ネコ？！

らしーよ

あはは、おひさー。くくくく…

今夜、楽しみだなぁ～

彼。指揮に受けた傷、良くなりましたかねぇ？

怪我人連れの仕事って苦手なんですよ

面倒くさいから

八雲、辛辣～

しれっとした顔なんかしやがってよぉー

でも、暴れらんないのは確かにイライラするかも

アタシも苦手だわ、そーゆーの

何つーか、ダメ

んまぁ、大丈夫だろ

何やかんやで前回もアイツ、生き残りやがったし

アイツも。だいぶ、場慣れしたっていうか…

俺の攻撃が、たまたま当たりそうになった時も

もう、怪我も全快ってな感じで躱してたし

……後で、めっちゃ怒られたけど

何してるんですか、君…

ぎゃははは、阿呆だね

あの馬鹿ネコは、ああ見えて口返してくんだよ

生意気にもさ

だから、ムカつくんだ

ガキの癖に。アタシにも時々、楯突こうとする

そうでしたっけ？

彼。貴女に対してだけは何処か、取っ付きづらそうにしてると思いますけどねぇ

僕から見るには……

ふんっ、分かってないね八雲。

全っ然、分かってない！

…アイツの、あの目

いつも、アタシを不服そうに見る……

何？ 何なの？

アタシ、あの糞ネコに何かした！？

大上。優人くんに思いっ切り煙草の煙、吐き掛けてましたよね

貴女の風下に居たのに、彼

それでしょう

僕、見てましたし…

あの、馬鹿ネコ！

あの馬鹿ネコ、このアタシに

“女が煙草吸うなんてサイテー”

なんて言いやがんのよ…！？

あの糞ネコが！！ この、アタシにっ…！！

いや。俺も、その場に居たけど

アイツ

“大上さんって煙草、吸われるんですね…”

ってしか言ってなかったぞ？

いいや、言ってた！！ あの目が言ってた！！

…あんの猫っ被り、今にみてろ

化けの皮、剥いでやるっ……！！

(うへぇ～。潤葉、怖ぇー……)

(ガルルルルルル…)

…あの、

そんな事より、お二人さん。

いい加減そろそろ

始末書の方、仕上げませんか？？

…うっ、

……はい。(ズーン)

……ねぇ。この字、何て読むんだっけ～？？

んーと？ え～っと……

──“ちん、まつ、しょ”…？？

二人共…。それ、顛末書(てんまつしょ)って読むんですよ。

全く、何度目ですか……

──アイツさぁ…、

はい？ 優人くんですか？

うん

アイツ、派遣社員の癖して休み取り過ぎじゃね？

……、ですねぇ

クリスマスも、正月も

その他、諸々…

神出鬼没に消える事で有名なんですよねぇ、彼。

何で？

何…、アイツ……

もしかして、コイビトでも居んの…？？

アイツ…、仕事、舐めてんじゃねぇーの！？

おにーさん、大人としてガツンと言っちゃうよ！！？

やめろ、小鉄

男の嫉妬は見苦しい

…あと、暑苦しい

あんっ？！！

オイッ、暑苦しいって何だ！！

俺は、松(ピー)造じゃあねぇ…！！

…あ～。うっせぇな、お前ら！ 集中できねぇだろうがっ！！

※始末書作成中…

まだ、悩んでるんですか潤葉

仕事は早いので有名な貴女も始末書処理となると、途端に愚図の頓馬になりますねぇ……

今、サラッと何つった。八雲。

……、建造物及び街路樹の損害の理由？

そんなの、たった四文字の言葉で済む問題じゃあないですか──

アタシ、四文字熟語とか超苦手で…

仕方ありませんねぇ……

“不可抗力” …で、よろしいのでは？

あー。それかぁ～、成る程………で～きたっ♪

──ええぇっ？！！

イヤイヤイヤイヤ、マジでそれで提出する気なの、潤葉ちゃんっっ…！！！？