-
コホンコホンと可愛らしい咳が聞こえる。
ルークが耳を澄ませて聞いていると、マスクをかけたミチルが現れた。 -
ルークミチル?
どうしたの? -
ミチル
うん……なんか、咳が出ちゃって

-
ルーク(まさか、ミチル、病気?)
-
ルーク大丈夫?
ミチル、熱ある? -
ルーク(ミチルの手、特に熱くはない
普通だけど……) -
ミチル
ないない
咳が出るだけで、あとは元気
-
ルークほんとに?
(おでこに手を当てる) -
ミチル
ね、ないでしょ?

-
ルーク……
-
ルーク(ああ、マスクで覆われているから、ミチルの笑顔、いつもより儚く見える……)
-
ルーク(もしかして、重病なのに、ぼくに心配かけまいとして……?)
-
ミチル
ルーク?
オレは大丈夫だよ
-
ルークでもミチル、これから熱出る、
かもしれないよ? -
ミチル
うーん……

-
ミチル
(ほんとに大丈夫なんだけどなあ……)

-
ミチル
(あっ!)

-
ミチル
最近風が強くて、
家に砂がよく入るからじゃないかなあ?
-
ルークの家は砂漠の中にある。
生まれた時からここで暮らすルークにはままあることでも、ミチルはそうもいかないのだ。 -
ルーク(ガーン!!)
-
ルークああ、砂漠の誇り高き砂、
ミチルにとって良くない? -
ルークごめんなさい……
-
ミチル
ええっ?
ルーくんが謝る必要なくない?
-
ミチル
(ヤバい! 間違えた!)

-
ルークううん、砂漠の砂、ぼくの……ラーウスの誇り
-
ルークでも、ミチルに合わない……悲しい……
-
ミチル
いやいやいや、違うよ?

-
ミチル
普段は大丈夫よ?

-
ミチル
今日だけ、今日だけ風が強くてだね?

-
ルークほんと……?
(キュウン……♡) -
ミチル
──!!
(な、なんてかわゆいワンワン!)
-
ミチル
(こんな純真なルークを悲しませちゃダメ!)

-
ミチル
(ええい、仕方ない!)

-
ミチル
あ、ああ、ルークぅ……
(ヨロヨロ……)
-
ルークミチル?
(手を伸ばして支える) -
ミチル
やっぱりオレ、風邪だと思うよぉ……

-
ミチル
砂埃が喉にひっかかるんじゃなくて、
風邪だったんだよぉ
-
ルークああ、ミチル、大変
-
ルークベッドで横になろ?
(お姫様抱っこ♡) -
ミチル
ありがと、ルークくぅん……♡

-
ミチル
(ごめんね、ルークぅ♡)

-
風が強い日は風邪を引くしかなくなったミチル。
だが、それはそれでルークと甘い時間が過ごせるのだった。
タップで続きを読む