彩雲国×十二国記
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どれくらい彼に抱きしめられているのだろう?なかなか離れてくれない楸瑛様に私は嬉しさしか感じなかった。
彼が今私を求めているから…
でも、彼はいつか必ず珠翠に恋をする。私ではない彼女に、今だけはこの腕を感じていたかったが、まだ寒さの残る春先の夜なため体が冷えてしまったようだ。
「ックシュ」と間の悪いくしゃみが私から出たため、慌てて楸瑛様は私から離れてしまった。
「済まない、冷えてしまったみたいだね。大丈夫かい李彩?」と心配そうに言う楸瑛様に大丈夫ですと答え、室の中に入るよう促した。
「李彩、先程どうして、私から逃げるように去って行ったんだい?」
「何故でしょう。私にもわかりません。それより、藍将っ」藍将軍と呼ぼうとしたら、私の唇に楸瑛様の指が当てられた。
「李彩、何故前みたいに呼んでくれないのかな?呼ばないと返事をしないよ。」
「…、楸瑛様」
「何かな李彩」
「行かなくていいんですか?花たちのもとに」
「え、あ、それは!李彩がいればそれでいい」
「でも、先ほどご自身でっ」と最後まで言う前にまた抱きしめられてしまい、驚いて言葉が出なくなった。ああ、都合が悪いことはこうやって黙らすのかな楸瑛様は…
「李彩、本当に私は君がいればいいんだ。ずっと君に会いたくて会いたくて。あの日の呼び止めた時、君を私だけのものにすればよかったと何度後悔したことか。やっと、君に会えたんだ。他の女性など目に入らないよ。」
「愛の告白みたいですね。」と冗談半分で言うと、抱きしめられていた腕が緩められ、楸瑛様は私を見つめた。
「李彩、その通りだよ。私は君を愛しているのだからね」
彼が一途なのは知っている。それがいつから私に向いていた?いや、久しぶりに会ったから、昔の記憶が美化されて恋だと勘違いしているのではないのか?と色々考えてしまうのは彼が藍楸瑛だからだ。これが静蘭だったらすぐ信じられるけど…
彼は珠翠に恋をするはずだ。私ではない。
「李彩、返事をくれるかい?」
「楸瑛様、私は…」ここで言ってもいいのだろうか?私はいけないと思いながら楸瑛様の心の中をよんでしまった。
『我ながらカッコ悪い告白の仕方だ。だか、なりふり構ってはいられない。李彩、お願いだ。断ってくれるな。私は君を本当に愛しているんだ。君が欲しい。私だけの者にしたい』
嬉しい。でも、私は最低だ。開心術を使ってしまうなんて。楸瑛様の心は分かったけど、こんな私は楸瑛様に相応しくない。
「私は…」断るんだ。でも、声が出ない。彼を私も好いているから。彼との未来を考えてしまう私がいる。そうなれば凄く嬉しい。
「李彩、君を困らせてすまない。直ぐに答えなくともいい。私が君を想っていると知っていて欲しい」と言いながら楸瑛様は私から離れて行こうとした。それがどうしようもなく嫌で、私は彼の胸に飛び込んだ。
「っ、李彩?」と少し慌てた声で私を呼ぶ楸瑛様を愛しく思う。やっぱり自分の気持ちに素直になろう。自分勝手な私でごめんなさい。
「楸瑛様、私も貴方が好きです。」
「本当かい李彩!」と驚いた楸瑛様に私は笑ってしまった。
「はい、楸瑛様」
「そうか、良かった。」と言いながら楸瑛は李彩をやさしく抱きしめた。本当に大切に愛しむように