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想いが通じた2人は、そのままソファに並んで座り、互いの事を語り合っていた。
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屈 朗
俺は、山東の田舎の出身なんだ。
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方 俊喜
そう。
行ったこと、無いかな。 -
屈 朗
親父は、田舎でバスの運転手をしていたんだ。
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屈 朗
けど…、俺が高校の頃、体を壊して…。
あっけなく、死んだ。 -
方 俊喜
お気の毒に…。
つらかったでしょうね。 -
屈 朗
なんとか祖父母が働いて、俺を高校を出してくれたから、上海に出稼ぎに来た。
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方 俊喜
お爺様、お婆様に孝行されているんですね。
優しいな。 -
方 俊喜
お母さまは?
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屈 朗
俺を生んで、すぐに死んだから。
顔も知らない。 -
方 俊喜
……ごめんなさい。
失礼なことを聞いて…。 -
屈 朗
気にしない。
上海に来て2年になるけど、こんなこと聞いてくれたの、アンタが初めてだ。 -
方 俊喜
え?
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屈 朗
は?
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方 俊喜
え?
上海…、2年…? -
屈 朗
ああ。
高校卒業して、すぐに上海に出てきて、2年になるよ。 -
方 俊喜
って…。
高校を、卒業してから2年しか経ってない、と? -
屈 朗
そ、そうだけど?
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方 俊喜
年齢を、聞いてもいいですか?
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屈 朗
???
19だけど?
もうすぐ20歳になるけどね。 -
方 俊喜
!!
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方 俊喜
と、言うことは…。
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方 俊喜
ウソ…。
年下なんですか? -
屈 朗
えぇー!
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屈 朗
って、アンタこそ、いくつだよ。
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方 俊喜
去年、海外の大学を卒業しました。
今、23歳です。 -
方 俊喜
僕の方が、4つも年上なんだ…。
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方 俊喜
貴方はいつも堂々として、しっかりしているから、てっきり僕より年上だと思ってた…。
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屈 朗
お、俺は…。
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屈 朗
あんた、すごく可愛いから…。
絶対に年下だと思ってた。 -
方 俊喜
…年上じゃ、可愛くないですか?
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屈 朗
と、とんでもない!
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方 俊喜
ほんとう?
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屈 朗
うん…。
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屈 朗
あ、あんたこそ…。
年下の俺なんかでいいのか? -
方 俊喜
ふふふ。
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方 俊喜
年齢なんて。
貴方が好きなことに、関係ありません。 -
方 俊喜
貴方は…。
そのままで素敵だから…。 -
方 俊喜
……。
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屈 朗
はあ~。
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屈 朗
あんたってば、やっぱりメチャクチャ可愛い!
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屈 朗
!!
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方 俊喜
あ!
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方 俊喜
あん…。
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屈 朗
……。
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方 俊喜
……。
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屈 朗
ダメか?
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方 俊喜
いいですよ。
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方 俊喜
好きですよ、小朗。
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屈 朗
ん?
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屈 朗
んん?
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屈 朗
な、なんだよ、ソレ!
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方 俊喜
何がですか?
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屈 朗
「小朗(シャオラン)」って…。
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方 俊喜
だって…。
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方 俊喜
こ、恋人なら…、名前くらい呼んでもいいですよね。
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屈 朗
いや、まあ、だからって、「小朗(朗ちゃん)」って…のは、ちょっと、違う…。
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方 俊喜
でも、「朗朗(ランラン)(ランたん)」では、君には子どもっぽいでしょう?
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方 俊喜
「屈朗」って呼べと?
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方 俊喜
そんな、他人行儀な呼び方じゃないと、ダメですか?
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方 俊喜
もっと、親密になりたい、です…。
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屈 朗
……。
仕方ないな。 -
屈 朗
あんただけだからな。
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屈 朗
俊喜にだけ、そう呼ぶの許すけど。
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方 俊喜
はい?
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屈 朗
そう呼んでいいのは、あんただけだから。
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屈 朗
他のヤツのいる前では、呼ぶなよな。
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方 俊喜
はい。
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方 俊喜
「小朗」って呼んでいいのは、僕だけなんですね。
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方 俊喜
僕だけの、秘密の呼び名…。
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方 俊喜
僕だけの…。
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屈 朗
そ、そんなに嬉しそうに…。
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方 俊喜
だって、嬉しいですよ。
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方 俊喜
本当に恋人同士になったって気がします。
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屈 朗
だから~。
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屈 朗
そんなに可愛いことを言うなんて…。
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屈 朗
もう!
もっと好きになるだろ。 -
方 俊喜
もっと、もっと、好きになって欲しいな。
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方 俊喜
僕だけの、小朗♪
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