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茅執事煜瑾坊ちゃま、おはようございます。
今日は幼稚園へ行く日ですよ。 -
煜瑾ちゃん
イヤでしゅ~。
まだ眠いのでしゅ~。

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茅執事承知しました。
では、本日は幼稚園をお休みになるのですね。 -
煜瑾ちゃん
イヤでしゅ~。
よーちえん、行きたいでしゅ~。
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茅執事なるほど、前言撤回で、幼稚園へ行かれるのですね。
では、早く起きて、仕度をされないと間に合いませんよ。 -
煜瑾ちゃん
……。
煜瑾、よーちえん、しゅきなの。でも、まだ起きたくないのでしゅ。
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茅執事いくら唐家のご次男とはいえ、幼稚園にコチラまで来てもらうのは無理と言うものですよ、煜瑾坊ちゃま。
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煜瑾ちゃん
イヤでしゅ~。
茅執事はイジワルでしゅ~。
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茅執事人聞きの悪いことを。
もっと寝ていたいのなら、幼稚園はお休みください。
幼稚園に行きたいのであれば、今すぐに起きて下さい。 -
煜瑾ちゃん
イヤ~、イヤなのでしゅ~。
あ~ん、あ~ん。
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恭安楽あら~、煜瑾ちゃん!
朝から大きなお声が出て、元気そうですね。 -
煜瑾ちゃん
おか~しゃま~♡
あのね~、おか~しゃま~。茅執事が煜瑾にイジワルしゅるの~。
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恭安楽まあまあ、それは大変なことね。
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茅執事包家の奥様…。
煜瑾さまはこの通り、反抗期まっさかりで、何を言っても無駄なのでございますよ。 -
恭安楽
おほほ。
「反抗期」だなんて、大げさな。
ただのカワイイ「イヤイヤ期」ですよ。
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茅執事そうはおっしゃいますが…。
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恭安楽
ただ「イヤ」って言いただけなのよ。
カワイイじゃない。

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茅執事……。
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恭安楽
じゃあ、煜瑾ちゃん。
お母さまは茅執事と朝ご飯をいただいてくるから、煜瑾ちゃんは独りぼっちでベッドで待っていますか?
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煜瑾ちゃん
イヤでしゅ~。
煜瑾も、おか~しゃまと、ご飯いただくの~。
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恭安楽
まあ、煜瑾ちゃんも一緒に朝ご飯がいただけるなんて、お母さま、とっても嬉しいわ。
煜瑾ちゃんは、本当に優しい、いい子ですね。
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煜瑾ちゃん
煜瑾ね、おか~しゃまが大しゅきなの~。

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煜瑾ちゃんは、嬉々としてベッドから降りて、お母さまに手を引かれてバスルームへと向かった。お顔を洗って、お着替えをしてから、お母さまと朝ご飯をいただくためだ。
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茅執事なんと見事な手際…。
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恭安楽
煜瑾ちゃんは、この真っ黒の可愛くないお洋服にする?
お母さまは幼稚園の水色の制服は、とってもカワイイと思うけど…。
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煜瑾ちゃん
黒いお洋服はイヤでしゅ~。
幼稚園のカワイイ制服が着たいでしゅ~。
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煜瑾ちゃんは、もうすっかりご機嫌で、お母さまと一緒に食堂へと向かい、大きなダイニングテーブルに、仲良く並んで座りました。
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恭安楽
さあ、煜瑾ちゃんは大きくなるために、苦いお野菜のジュースにする?
お母さまは甘くて美味しいフルーツのジュースをいただくわ。
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煜瑾ちゃん
イヤでしゅ~。
煜瑾も、おか~しゃまと同じジュースがいいでしゅ~。
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恭安楽
まあ、お母さまと煜瑾ちゃんはお揃いね。ステキだわ。ジュースで乾杯をしましょうね。

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煜瑾ちゃん
わ~!
かんぱ~い。
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恭安楽
ああ、煜瑾ちゃんと一緒だと、なんでもいつも以上に美味しくなるわね。

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煜瑾ちゃん
煜瑾、おか~しゃまとご一緒に、いっぱいご飯を食べるのでしゅ~。

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恭安楽
まあ、本当に煜瑾ちゃんはお利口さんね。

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茅執事包家の奥さまは、子育ての神か。
お見事すぎる -
こうして煜瑾ちゃんは、いつも以上にご機嫌で週に3日だけの幼稚園へ向かったのでした。
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煜瑾ちゃん
うふふ♡
煜瑾はね~、おか~しゃまが、大しゅきなのでしゅよ。
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茅執事さすがでございます、包家の奥様。
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恭安楽
うふふ。だてに文維や小敏を育てたわけじゃないわ。
小敏の「イヤイヤ期」の壮絶さと言ったら…。
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茅執事お察しいたします…。
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恭安楽
でも煜瑾ちゃんの「イヤイヤ期」なら、カワイイからいくらでも付き合えるわ~。
ねえ、茅執事もそう思わない?
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茅執事いや、まあ、その…。
包家の奥様には、かないませんな。 -
恭安楽
おほほ~。
ワタクシを誰だと思っているの。
私は、カワイイものが何より好きなのよ。
残念だわ。茅執事ももうちょっと可愛ければよかったのに。
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茅執事面目ございません…。
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こうして、最強のお母さまのお力により、今日も唐家は平和な日々を取り戻したのでした。
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恭安楽
おほほほ。
カワイイからもっと「イヤ」って言ってもいいわよ、煜瑾ちゃん♡
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茅執事お許し下さい、包家の奥様…。
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