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茅執事
お帰りなさいませ、旦那様
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煜瓔お兄さまん、今帰った。
今日の煜瑾はどうだ？ -
茅執事
はあ、それが…。
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煜瓔お兄さま
何かあったのか！
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茅執事
いえ、ご心配は無用でございます。
実は…。
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煜瓔お兄さま
何だ。
もったいをつけずに早く言いなさい。 -
茅執事
どうやら煜瑾坊ちゃまは、反抗期に入られたようです。
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煜瓔お兄さま
なんだと！反抗期！
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茅執事
旦那様が育児書に触発されて、楽しみにお待ちになっていた「反抗期」でございますよ。
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煜瓔お兄さま
そうか、そうか。
ついに煜瑾にも「反抗期」が来たか～。
育児書に書いてあるので、ずっと気になっていたのだ。 -
茅執事
「反抗期」は成長の証しということで、旦那様は随分楽しみにされてましたからねえ。
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煜瓔お兄さま
それで、どうなのだ。
育児書通りになんでも拒絶するのか？ -
茅執事
はい。
反抗というよりは、「いや」という言葉を使うのが楽しい…といった感じですが。 -
煜瓔お兄さま
それでもいい。
いや、最初はそういうものらしい。 -
茅執事
そうでございますか？
楊シェフも、メイドたちも困っておるようですよ。
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煜瓔お兄さま
そうか。
さっそく煜瑾の顔を見に行こう♪ -
茅執事
旦那様…あまり期待はされないほうが…。
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煜瓔お兄さま
煜瑾～。
煜瑾や～。
お兄さまが帰って来ましたよ～。 -
茅執事
だ、旦那様！
年がいも無く、廊下をスキップなさるのはおやめください！ -
煜瓔お兄さま
煜瑾、ただいま～。
煜瓔お兄さまですよ～。 -
煜瑾ちゃんお兄しゃま～。
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煜瓔お兄さま
ああ、煜瑾！
今日もカワイイね～。
どうだい？イイ子にしていたかい？ -
煜瑾ちゃん
あのね、煜瑾ね、今日は悪い子なの。
うふふ。 -
煜瓔お兄さま
なんだって？
我が家の大事な宝物の煜瑾が悪い子？
そんなことはあり得ないだろう？ -
煜瑾ちゃん
煜瑾ね、幼稚園から帰った時ね、ねえやがお手々を洗ってって言ったのに、「イヤっ」っていったのでしゅ！
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茅執事
煜瑾坊ちゃま、そんな自慢げにおっしゃることではございませんよ。
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煜瑾ちゃん
しょれからね、オヤツのシュークリームも「イヤっ」って言ったの。
ふふふ…。 -
煜瓔お兄さま
おや、煜瑾はシュークリームは大好きだろう？
じゃあ今日はオヤツ抜きなのかい？ -
煜瑾ちゃん
いいえ。
煜瑾が「シュークリームはイヤっ」って言ったら、楊シェフがエクレアを出してくれたのでしゅ。
とっても美味しかったでしゅよ。 -
煜瓔お兄さま
おやおや。
エクレアが美味しいのは良かったねえ。 -
煜瑾ちゃん
煜瑾ね、シュークリームもエクレアも大しゅきなの。
お兄しゃまは、どちらがおしゅきなのでしゅか？
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煜瓔お兄さま
ん～、お兄さまは…。
煜瑾が一番好きかな～。
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煜瑾ちゃん
きゃ～。
お兄しゃま～、くしゅぐったいでしゅ～。 -
茅執事
旦那様…、坊ちゃまを舐め回さないで下さい。
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煜瑾ちゃん
お兄しゃま～、イヤ～。
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煜瓔お兄さま
え？「イヤ」？
これこそ「反抗期」だね♪ -
煜瑾ちゃん
イヤ、イヤ～。
クスクス～。 -
茅執事
あ～も～。
煜瑾坊ちゃま、もうクシャクシャじゃないですか～。
旦那様、もういい加減になさって下さい。 -
煜瓔お兄さま
さあ、煜瑾。
お兄さまと一緒に夕飯にしようね。 -
煜瑾ちゃん
イヤでしゅ～。
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煜瓔お兄さま
は？
…い、いや？ -
煜瑾ちゃん
イヤでしゅ～。
お兄しゃまとご飯、イヤ～。 -
煜瓔お兄さま
イヤ？
…煜瑾が、この私を…拒絶…。 -
茅執事
旦那様、傷付いている場合ではございませんよ。
さあ、煜瑾坊ちゃま、こちらへ。 -
煜瑾ちゃん
イヤ！
煜瑾、ねえやじゃないと、イヤ！ -
茅執事
胡娘は、もう帰りましたよ。
ワガママをおっしゃらず。お食事前に、シャワーを浴びましょうね。 -
煜瑾ちゃん
イヤでしゅ～。
煜瑾、お風呂イヤなの～。 -
煜瓔お兄さま
煜瑾が…、煜瑾が、私を拒絶…。
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茅執事
旦那様、いい加減にお立直り下さい。
では、煜瑾坊ちゃまは、お風呂もイヤ、お食事もイヤなのですね。 -
煜瑾ちゃん
イヤ～。イヤ～。
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茅執事
では、坊ちゃまの好きなカニクリームコロッケも、イヤなのですね。
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煜瑾ちゃん
カニクリームコロッケ？
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茅執事
坊ちゃまは、もう今夜はカニクリームコロッケを召し上がらないのですね。
「イヤ」なんですからね。 -
煜瑾ちゃん
イヤ…。
イヤでしゅ～。
カニクリームコロッケは煜瑾のでしゅ～。
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煜瓔お兄さま
煜瑾は…、私より、カニクリームコロッケを選ぶのか…。
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茅執事
いつまで深刻になっているのですか、旦那様。
煜瑾坊ちゃまより、面倒ですよ。 -
煜瑾ちゃん
煜瑾、カニクリームコロッケ食べましゅ～。
あ～ん、あ～ん。 -
煜瓔お兄さま
泣きたいのは私だよ、煜瑾。
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茅執事
まったくもう、手のかかる兄弟ですねえ。
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煜瑾ちゃん
茅執事～。
抱っこ～。 -
煜瓔お兄さま
茅執事～。
私は、「反抗期」がこんなにツラいとは思っていなかった～。
悲しい～。 -
茅執事
はいはい。よしよし。
2人とも、イイ子ですから、ご飯の前にお風呂に入って、揚げたて熱々のコロッケをいただきましょうね。 -
煜瑾ちゃん
は～い。
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煜瓔お兄さま
うん、そうだな。
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茅執事
本当に手がかかりますが、可愛い兄弟ですね。
お世話のし甲斐があるというものです。
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