想いは手作り菓子にーErwinー
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3.
————パタン......
扉の閉まる音と共に、ゆっくりと瞼を開き天井を見上げた。やはり狸寝入りは、キツイ。
そう。彼女が部屋を訪れた時、自分は起きていた。体を起こしソファーに座り直す。
彼女に口付けされた頬に手を添え、かけられた言葉を思い返した。
————————
彼女存在は以前から知っている。同じ分隊長の間でも話に出るくらいだ。彼女は調査兵団に入団して二年目、もうすぐ三年目になろうとしている。
ある日別の分隊長が彼女のことを褒めていた。事務仕事もこなせ実戦でも申し分ない、と。今では欠かせない戦力だという事を誰しもが感じていた。彼女を自分の隊に引き抜こうと思案していたがなかなか上手いこといかない。
そもそも彼女との接点は殆どなく廊下ですれ違うだけの関係で通り過ぎた後に顔を少しだけ動かし、彼女の後ろ姿を見つめるだけに過ぎない。
まさか自分が、女性を視線で追うとは。
そして彼女を引き抜くきっかけがなく今日という日が来た。何でも今日は特別な日で女性から男性にお菓子とともに想いを告げる日だというのだ。
その為朝から頻繁に女性から声をかけられ、対応するのに流石に疲れてしまった。昼食を食べた後、逃げるようにして執務室へ来てソファーでくつろいでいた所に扉がノックされ、またか、と居留守を使うことにしたのだ。
扉が開いたらその時はその時だ。
集中していて気付かなかったとでも言おうと考えていたら彼女の声が聞こえ思わず、ソファーに寝転がった。
まさか彼女の方から来るとは思っておらず、何を話せばよいのか少し動転してしまいそのまま狸寝入りを。本来ならばそんなことをしなくてもいつも通りにすればいいのだが、今日という日を知ってしまっている今、何を話されるのか思い詰める。
だが、狸寝入りの選択をしたのが間違いだった。
扉が開き彼女が入って来る。
「...エルヴィンさん?」
名前を呼ばれるも狸寝入りを続けた。
足音が近くまで来ると側で布の擦れる音がする。そして頭に何かが触れくすぐったいような感触がした。
髪を触られている、彼女の触れる手に感覚を委ねていたが彼女の手つきが変わり思わず起きてしまいそうになるのを誤魔化す為、声を漏らし顔を反対側に向けた。
彼女は立ち上がり離れると机の方に向かっていくのが分かった。顔を動かし薄目を開いて彼女を確認する。机の向こう側にいるようで山のように積んでいるお菓子を見つめていた。
彼女の動く気配を狸寝入りをしたまま追った。部屋から出て行こうとする音に耳を傾ける。
が、彼女はまたこちらに近付きすぐ側で布の擦れる音がした。
「エルヴィン分隊長......あなたの事が、好き、です」
彼女の言葉に不覚にも脈が速くなる。
すると今度は頬に柔らかい感触がしてすぐに離れた。
「私は遠くからあなたを想っています。それだけで......」
その声は穏やかで柔らかく、どこか切なさが感じ胸が締め付けられる。
彼女が出て行った後ソファーに腰掛けたまま、彼女の想いに複雑な心境になる。暫く感じていなかったその感情をどう処理してよいのか分からないのだ。
間近で聞いた彼女の声が耳から離れない。戸惑いがあるものの、心地よいそれに縋りたくなるような、そんな感覚に陥った。それと同時に胸が温かくなる。
彼女は自分が聞いていないと思っている。だが、聞いてしまったからには無視は出来ない。今後の選択が重要だ。
小さく息を吐き立ち上がると彼女が先程まで立っていた場所に向かう。山のように積まれているお菓子の中から一つだけ手に取った。見覚えのないそれに彼女からだとすぐに理解する。
包み紙を開けようとしたその時、またドアからノックがしてリヴァイが入って来た。
————パタン......
扉の閉まる音と共に、ゆっくりと瞼を開き天井を見上げた。やはり狸寝入りは、キツイ。
そう。彼女が部屋を訪れた時、自分は起きていた。体を起こしソファーに座り直す。
彼女に口付けされた頬に手を添え、かけられた言葉を思い返した。
————————
彼女存在は以前から知っている。同じ分隊長の間でも話に出るくらいだ。彼女は調査兵団に入団して二年目、もうすぐ三年目になろうとしている。
ある日別の分隊長が彼女のことを褒めていた。事務仕事もこなせ実戦でも申し分ない、と。今では欠かせない戦力だという事を誰しもが感じていた。彼女を自分の隊に引き抜こうと思案していたがなかなか上手いこといかない。
そもそも彼女との接点は殆どなく廊下ですれ違うだけの関係で通り過ぎた後に顔を少しだけ動かし、彼女の後ろ姿を見つめるだけに過ぎない。
まさか自分が、女性を視線で追うとは。
そして彼女を引き抜くきっかけがなく今日という日が来た。何でも今日は特別な日で女性から男性にお菓子とともに想いを告げる日だというのだ。
その為朝から頻繁に女性から声をかけられ、対応するのに流石に疲れてしまった。昼食を食べた後、逃げるようにして執務室へ来てソファーでくつろいでいた所に扉がノックされ、またか、と居留守を使うことにしたのだ。
扉が開いたらその時はその時だ。
集中していて気付かなかったとでも言おうと考えていたら彼女の声が聞こえ思わず、ソファーに寝転がった。
まさか彼女の方から来るとは思っておらず、何を話せばよいのか少し動転してしまいそのまま狸寝入りを。本来ならばそんなことをしなくてもいつも通りにすればいいのだが、今日という日を知ってしまっている今、何を話されるのか思い詰める。
だが、狸寝入りの選択をしたのが間違いだった。
扉が開き彼女が入って来る。
「...エルヴィンさん?」
名前を呼ばれるも狸寝入りを続けた。
足音が近くまで来ると側で布の擦れる音がする。そして頭に何かが触れくすぐったいような感触がした。
髪を触られている、彼女の触れる手に感覚を委ねていたが彼女の手つきが変わり思わず起きてしまいそうになるのを誤魔化す為、声を漏らし顔を反対側に向けた。
彼女は立ち上がり離れると机の方に向かっていくのが分かった。顔を動かし薄目を開いて彼女を確認する。机の向こう側にいるようで山のように積んでいるお菓子を見つめていた。
彼女の動く気配を狸寝入りをしたまま追った。部屋から出て行こうとする音に耳を傾ける。
が、彼女はまたこちらに近付きすぐ側で布の擦れる音がした。
「エルヴィン分隊長......あなたの事が、好き、です」
彼女の言葉に不覚にも脈が速くなる。
すると今度は頬に柔らかい感触がしてすぐに離れた。
「私は遠くからあなたを想っています。それだけで......」
その声は穏やかで柔らかく、どこか切なさが感じ胸が締め付けられる。
彼女が出て行った後ソファーに腰掛けたまま、彼女の想いに複雑な心境になる。暫く感じていなかったその感情をどう処理してよいのか分からないのだ。
間近で聞いた彼女の声が耳から離れない。戸惑いがあるものの、心地よいそれに縋りたくなるような、そんな感覚に陥った。それと同時に胸が温かくなる。
彼女は自分が聞いていないと思っている。だが、聞いてしまったからには無視は出来ない。今後の選択が重要だ。
小さく息を吐き立ち上がると彼女が先程まで立っていた場所に向かう。山のように積まれているお菓子の中から一つだけ手に取った。見覚えのないそれに彼女からだとすぐに理解する。
包み紙を開けようとしたその時、またドアからノックがしてリヴァイが入って来た。