想いは手作り菓子にーErwinー
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4.
「どうしたリヴァイ」
「女どもが後をついて事あるごとに菓子を渡してきやがる」
クソにも行けねぇ、そう悪態をつく彼の腕の中にもたくさんのお菓子であろう包み紙で小さな山が出来ていた
「ははっ。君も隅に置けないな」
口は悪いがしっかり受け取っているところを見ると彼の優しさだろう。彼はソファーに座り空いてるスペースにお菓子を置いた。
「受け取ったのはいいが全部に返さなきゃならねぇのか?」
「お返し?」
「あ?知らねえのか?」
「いや......なんのことだ」
「はっ。よく内地に行って貴族どもに媚びを売ってるくせに知らねぇとはな」
リヴァイがジロリと視線だけをこちらに向ける。
「3月14日は今日のお返しをする日らしい」
「そうか…」
なるほど。
贈る日と返す日があるのか。
「ほぅ......あんたには返す女がいるみてぇだな」
何も言ってないし顔にも出していないが彼に気付かれてしまった。小さく微笑めば眉間に皺を寄せる彼。
「...締まりのねぇ面しやがって」
「それは私の勝手だ」
リヴァイは怪訝そうな顔をするとお菓子を綺麗に積み上げている。ある一つの菓子で手を止めるとじっと見つめ、それだけは積み上げず手に持ったままにしたのを見逃さなかった。
なるほど。彼にも返す相手がいるのだな。
そんな事を考えていると彼は後で取りに来ると言って部屋を出て行った。一人残された部屋で手に持っている包装紙に視線を落とす。
来月、彼女に返すとしよう。
彼女がくれた包み紙を開け紅茶の香りのする焼き菓子を頬張りまたそっと微笑んだ。
—————————
「ちょっと!」
外を歩いていると呼び止められる。振り向けば同期の彼女が駆け寄ってきた。
「渡せた?」
「えっ!なんのこと?!」
「しらばっくれても無駄よ。私は気付いてるんだから」
"エルヴィン分隊長に渡したんでしょ?"
彼女は小声で囁くとニヤリと悪戯な笑みを浮かべていた。
「き、気付いてたの...?」
「当たり前じゃない!それで?どうだった?」
「それが...寝てたからそのまま置いてきちゃった...」
「えっ?!分隊長が寝てた?!」
彼女は目をパチクリさせ驚いている。
「そっか...じゃあ気持ちは伝えてないんだね...」
「う、うん…...もこれでいいの!」
寝ている彼に告白して頬にキスまでしたなんて到底いえない。恥ずかしすぎて茹で上がりそうだ。
その後は同期の話に耳を傾けその嬉しそうな横顔を優しく見つめた。
...狸寝入りをしていた想い人の彼に全て聞かれたとは知る由もない。
fin.
2019.2.7
2020.3.14
「どうしたリヴァイ」
「女どもが後をついて事あるごとに菓子を渡してきやがる」
クソにも行けねぇ、そう悪態をつく彼の腕の中にもたくさんのお菓子であろう包み紙で小さな山が出来ていた
「ははっ。君も隅に置けないな」
口は悪いがしっかり受け取っているところを見ると彼の優しさだろう。彼はソファーに座り空いてるスペースにお菓子を置いた。
「受け取ったのはいいが全部に返さなきゃならねぇのか?」
「お返し?」
「あ?知らねえのか?」
「いや......なんのことだ」
「はっ。よく内地に行って貴族どもに媚びを売ってるくせに知らねぇとはな」
リヴァイがジロリと視線だけをこちらに向ける。
「3月14日は今日のお返しをする日らしい」
「そうか…」
なるほど。
贈る日と返す日があるのか。
「ほぅ......あんたには返す女がいるみてぇだな」
何も言ってないし顔にも出していないが彼に気付かれてしまった。小さく微笑めば眉間に皺を寄せる彼。
「...締まりのねぇ面しやがって」
「それは私の勝手だ」
リヴァイは怪訝そうな顔をするとお菓子を綺麗に積み上げている。ある一つの菓子で手を止めるとじっと見つめ、それだけは積み上げず手に持ったままにしたのを見逃さなかった。
なるほど。彼にも返す相手がいるのだな。
そんな事を考えていると彼は後で取りに来ると言って部屋を出て行った。一人残された部屋で手に持っている包装紙に視線を落とす。
来月、彼女に返すとしよう。
彼女がくれた包み紙を開け紅茶の香りのする焼き菓子を頬張りまたそっと微笑んだ。
—————————
「ちょっと!」
外を歩いていると呼び止められる。振り向けば同期の彼女が駆け寄ってきた。
「渡せた?」
「えっ!なんのこと?!」
「しらばっくれても無駄よ。私は気付いてるんだから」
"エルヴィン分隊長に渡したんでしょ?"
彼女は小声で囁くとニヤリと悪戯な笑みを浮かべていた。
「き、気付いてたの...?」
「当たり前じゃない!それで?どうだった?」
「それが...寝てたからそのまま置いてきちゃった...」
「えっ?!分隊長が寝てた?!」
彼女は目をパチクリさせ驚いている。
「そっか...じゃあ気持ちは伝えてないんだね...」
「う、うん…...もこれでいいの!」
寝ている彼に告白して頬にキスまでしたなんて到底いえない。恥ずかしすぎて茹で上がりそうだ。
その後は同期の話に耳を傾けその嬉しそうな横顔を優しく見つめた。
...狸寝入りをしていた想い人の彼に全て聞かれたとは知る由もない。
fin.
2019.2.7
2020.3.14
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