君と菫
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1.
現パロ×夫婦(名前変換無)
2月。
年が明けて早くも2ヶ月が経とうとしていた。いつもこの時期になると落ち着かない。だって、もうすぐ自分の誕生日を迎えるから。
小さい頃はケーキにプレゼント、
何より家族みんなで過ごすのが楽しみで仕方がなかった。
でも大人になって家を出てからは子どもの様にはしゃぐことは無く、同期と食事をするくらい。それはそれで勿論楽しいし、嬉しい。
ただ......歳をとるのが憂鬱になってきた。
年齢を重ねると体力も落ちるしお肌のトラブルも増えて...それが厄介物だった。
でも今年は違う。
自分は昨年、付き合っていた彼氏と結婚したのだ。
その彼の名は、エルヴィン・スミス。
彼は同じ会社の重役で、切れる頭で会社を黒字にさせ大企業にまでさせてしまった......言わば社内では知らない人が居ないほど有名人。
社長を始め社員みんなの信頼がある中、上司からは一役置かれ、部下からは憧れの視線を集める。
自分もその一人で接点なんて無かったのに......
『今度一緒に、食事でもどうだろうか』
ロビーでエレベーターを待っている途中、声をかけられ食事に誘われたのだ。しかも朝の出勤時。当然周囲には人がいる訳で、どよめきが起こり何故か自分達の周りに居た人が後退りをした事で空間が出来てしまうという。
恥ずかしさのあまりに誘いを受けた直後に走り去り、漫画みたいな典型的なやり方をしてしまったけれど、オフィスに戻ると同僚から質問攻めに合い、上司からも『彼をどうやって射止めたんだ?』なんて茶化され......
そんなこと自分が知りたいくらいだとその時は思った。
なんでも、会社への来客者に対応する姿を見かけて以来、気になっていたのだとか。でもそれだけなら他の女性だって有り得るのに。何故自分なのだろうかと不思議でならなかった。それは社員皆が思っていて噂が一気に広まるほど。
だから、何度か食事を一緒にした時に疑問をぶつけてみた。『何故私なのか』と。
『何故だろうな。私にも分からない。
ただ一つ言えることは、君の事が懐かしく、
姿を見ていると温かい気持ちになったのだ。
"君を知っている"......そう直感で感じた』
おかしな話だろう?、なんて苦笑する彼を見て自分も不思議な感覚に陥った。共に時間を過ごしたけれど、"彼を知ってる"......遠い遠い昔の彼を...そんな感覚。
それを彼に伝えれば、交際を申し込まれ、
返事は勿論Yesでお付き合いが始まった。
そんな馴れ初めだが、昨年籍を入れ夫婦になって初めて迎える誕生日。夫婦になったのだし、特に何もしなくていいと彼には伝えた。それに彼は毎日忙しいスケジュールな上に、そろそろ年度末を迎える今、更に多忙を極めている。一緒に過ごしたいなんて言えないけれど、それでも淡い期待を抱いてしまう。
誕生日まであと二週間。
「おはよう」
「おはよう、エルヴィン」
「すまない。今日から暫く帰りが遅くなる」
「そうなの?急ぎの案件?」
「ああ。立て続けに会議が入ってな......夕食は適当に済ませる。先に寝ていてもらっても構わない」
そう、と話に耳を傾けたけれどなんだか胸騒ぎがする。
こんなのいつもの事だとあまり気にせず彼に笑顔を向けた。
「分かった。無理しないでね?」
「そのつもりだ。今日はもう行くよ」
「うん、行ってらっしゃい」
コーヒーだけを飲んで早々に会社に向かったエルヴィン。毎度思うがスーツ姿が似合うこと。自分も朝食を済ませ後片付けまで終え着替える。
「いけない!もうこんな時間!!」
夫婦になる前から彼の家で同棲を始めたが、職場まで近いとは言え電車で通勤する距離だった。
※※※
それから彼は本当に毎日帰りが遅く、深夜を回る事もあった。
朝は一緒に迎えても先に出勤してしまう。
それは前と変わらないのだが、徐々に彼だけ朝の時間も早くなっていった。
「はぁ......」
「なぁに?ため息なんかついちゃって」
「主人の帰りが遅くて......」
電話のコール、タイピングの音にざわざわと会話が混じるオフィス。ここ最近の彼を考えてはため息を吐くことが増えてきた。それを見た同期が話しかけてきたのだが......
「しょうがないじゃない。彼は忙しい役職なんだから」
「そうなんだけど、朝も早く出るようになっちゃって...」
「なぁによ。もっとイチャイチャしたいわけ?」
このリア充が!、怒られてしまった。
忙しい事は重々承知で分かってる。
でも、誕生日を前にこうも会話が減ると不安になるじゃない......忘れられていたら?なんて考えてしまうようにもなってきたし。
「...はぁ......」
「もう!辛気臭いわね!
だったら今晩、飲みに行くわよ!!」
仕事が終わると彼女に無理矢理連れられ飲む事に。
だけど、久々に会話が弾んで気を紛らわす事が出来た。同期には感謝だ。
「もし誕生日を忘れてたら私が一発どかんと言ってやるわ!」
「ありがとう!その時はお願いしようかな」
任せなさい!、お酒の力もありそんな事も言い合える。
そうだ、あまり気にしちゃ駄目だ。
忙しいのだからちゃんと奥さんとして支えなくちゃ。
そう意気込みを入れて帰路につく。
現パロ×夫婦(名前変換無)
2月。
年が明けて早くも2ヶ月が経とうとしていた。いつもこの時期になると落ち着かない。だって、もうすぐ自分の誕生日を迎えるから。
小さい頃はケーキにプレゼント、
何より家族みんなで過ごすのが楽しみで仕方がなかった。
でも大人になって家を出てからは子どもの様にはしゃぐことは無く、同期と食事をするくらい。それはそれで勿論楽しいし、嬉しい。
ただ......歳をとるのが憂鬱になってきた。
年齢を重ねると体力も落ちるしお肌のトラブルも増えて...それが厄介物だった。
でも今年は違う。
自分は昨年、付き合っていた彼氏と結婚したのだ。
その彼の名は、エルヴィン・スミス。
彼は同じ会社の重役で、切れる頭で会社を黒字にさせ大企業にまでさせてしまった......言わば社内では知らない人が居ないほど有名人。
社長を始め社員みんなの信頼がある中、上司からは一役置かれ、部下からは憧れの視線を集める。
自分もその一人で接点なんて無かったのに......
『今度一緒に、食事でもどうだろうか』
ロビーでエレベーターを待っている途中、声をかけられ食事に誘われたのだ。しかも朝の出勤時。当然周囲には人がいる訳で、どよめきが起こり何故か自分達の周りに居た人が後退りをした事で空間が出来てしまうという。
恥ずかしさのあまりに誘いを受けた直後に走り去り、漫画みたいな典型的なやり方をしてしまったけれど、オフィスに戻ると同僚から質問攻めに合い、上司からも『彼をどうやって射止めたんだ?』なんて茶化され......
そんなこと自分が知りたいくらいだとその時は思った。
なんでも、会社への来客者に対応する姿を見かけて以来、気になっていたのだとか。でもそれだけなら他の女性だって有り得るのに。何故自分なのだろうかと不思議でならなかった。それは社員皆が思っていて噂が一気に広まるほど。
だから、何度か食事を一緒にした時に疑問をぶつけてみた。『何故私なのか』と。
『何故だろうな。私にも分からない。
ただ一つ言えることは、君の事が懐かしく、
姿を見ていると温かい気持ちになったのだ。
"君を知っている"......そう直感で感じた』
おかしな話だろう?、なんて苦笑する彼を見て自分も不思議な感覚に陥った。共に時間を過ごしたけれど、"彼を知ってる"......遠い遠い昔の彼を...そんな感覚。
それを彼に伝えれば、交際を申し込まれ、
返事は勿論Yesでお付き合いが始まった。
そんな馴れ初めだが、昨年籍を入れ夫婦になって初めて迎える誕生日。夫婦になったのだし、特に何もしなくていいと彼には伝えた。それに彼は毎日忙しいスケジュールな上に、そろそろ年度末を迎える今、更に多忙を極めている。一緒に過ごしたいなんて言えないけれど、それでも淡い期待を抱いてしまう。
誕生日まであと二週間。
「おはよう」
「おはよう、エルヴィン」
「すまない。今日から暫く帰りが遅くなる」
「そうなの?急ぎの案件?」
「ああ。立て続けに会議が入ってな......夕食は適当に済ませる。先に寝ていてもらっても構わない」
そう、と話に耳を傾けたけれどなんだか胸騒ぎがする。
こんなのいつもの事だとあまり気にせず彼に笑顔を向けた。
「分かった。無理しないでね?」
「そのつもりだ。今日はもう行くよ」
「うん、行ってらっしゃい」
コーヒーだけを飲んで早々に会社に向かったエルヴィン。毎度思うがスーツ姿が似合うこと。自分も朝食を済ませ後片付けまで終え着替える。
「いけない!もうこんな時間!!」
夫婦になる前から彼の家で同棲を始めたが、職場まで近いとは言え電車で通勤する距離だった。
※※※
それから彼は本当に毎日帰りが遅く、深夜を回る事もあった。
朝は一緒に迎えても先に出勤してしまう。
それは前と変わらないのだが、徐々に彼だけ朝の時間も早くなっていった。
「はぁ......」
「なぁに?ため息なんかついちゃって」
「主人の帰りが遅くて......」
電話のコール、タイピングの音にざわざわと会話が混じるオフィス。ここ最近の彼を考えてはため息を吐くことが増えてきた。それを見た同期が話しかけてきたのだが......
「しょうがないじゃない。彼は忙しい役職なんだから」
「そうなんだけど、朝も早く出るようになっちゃって...」
「なぁによ。もっとイチャイチャしたいわけ?」
このリア充が!、怒られてしまった。
忙しい事は重々承知で分かってる。
でも、誕生日を前にこうも会話が減ると不安になるじゃない......忘れられていたら?なんて考えてしまうようにもなってきたし。
「...はぁ......」
「もう!辛気臭いわね!
だったら今晩、飲みに行くわよ!!」
仕事が終わると彼女に無理矢理連れられ飲む事に。
だけど、久々に会話が弾んで気を紛らわす事が出来た。同期には感謝だ。
「もし誕生日を忘れてたら私が一発どかんと言ってやるわ!」
「ありがとう!その時はお願いしようかな」
任せなさい!、お酒の力もありそんな事も言い合える。
そうだ、あまり気にしちゃ駄目だ。
忙しいのだからちゃんと奥さんとして支えなくちゃ。
そう意気込みを入れて帰路につく。
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