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依頼人
……探してほしい人がいるんです」

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あなたの声は、静かだった。
レイジは微笑んだまま、視線を外さない。 -
レイジ・コトブキお名前は?
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ほんの一瞬。
あなたは間を置いた。 -
依頼人
……エリオット、です

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レイジ・コトブキ姓は?
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依頼人
……

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わずかな沈黙。
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ランマルの赤い瞳が細くなる。
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ランマル・クロサキ言えねぇのか?
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低い声。
責めるというより、確かめるような響き。 -
あなたは視線を伏せる。
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依頼人
事情があって……

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レイジが穏やかに割って入る。
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レイジ・コトブキ構わないよ。事情があるのは当然だ
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優しい声。
けれど、その瞳は観察している。
逃さない。 -
レイジ・コトブキ最後に会ったのは?
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依頼人
三日前です

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即答。
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レイジ・コトブキどこで?
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依頼人
……劇場の裏口で

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ランマルが小さく息を吐く。
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ランマル・クロサキ劇場?
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レイジが頷く。
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レイジ・コトブキ続けて
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あなたは膝の上で指を組む。
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依頼人
彼は……何かに追われていました

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レイジ・コトブキ何か、とは?
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依頼人
分かりません。でも、私に“近づくな”って

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その瞬間。
ランマルがわずかに動いた。
視線があなたのバッグへ落ちる。 -
ランマル・クロサキ……おまえ
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低く、鋭く。
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ランマル・クロサキなんで今、右手隠した
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心臓が跳ねる。
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依頼人
隠してません

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ランマル・クロサキ嘘だな
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立ち上がる足音。
一歩、近づく。
圧がある。
逃げ場がなくなる。 -
レイジは椅子に座ったまま、穏やかに言う。
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レイジ・コトブキランマル
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制止の声。
けれど完全には止めない。 -
あなたはゆっくりと右手を膝の上に出す。
震えがある。
その指に、小さな傷。
赤く、まだ新しい。
ランマルの目が光る。 -
ランマル・クロサキそれ、三日前か
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依頼人
……はい

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ランマル・クロサキ自分でつけた傷じゃねぇな
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空気が冷える。
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レイジが静かに問いかける。
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レイジ・コトブキ彼を守ろうとしたのかな?
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あなたの喉が詰まる。
沈黙。
それが答え。 -
レイジは小さく微笑む。
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レイジ・コトブキ君は“探してほしい”と言った
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指を組み直す。
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レイジ・コトブキ彼が“どこにいるか”は知っているんじゃないかな
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息が止まる。
ランマルがあなたの背後へ回る。
逃げ道を塞ぐ位置。 -
依頼人
……違います

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かすれる声。
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レイジの瞳が細まる。
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レイジ・コトブキでは、なぜ
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一拍。
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レイジ・コトブキ劇場の名前を言わなかった?
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あなたははっとする。
確かに。
言っていない。 -
ランマルが低く言う。
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ランマル・クロサキわざとだな
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静かな断定。
部屋の空気が張り詰める。 -
レイジは立ち上がる。
ゆっくりとあなたの前まで来る。
近い。
けれど触れない。 -
レイジ・コトブキ君は何を守っているのかな?
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問いは優しい。
けれど核心。 -
あなたの鼓動が、耳の奥で鳴る。
ランマルの声が背後から落ちる -
ランマル・クロサキ隠し事があるなら、今のうちに言え
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低く。
けれど完全な敵意ではない。 -
ランマル・クロサキ守れるかどうか、決めるのはおれだ
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その言葉に、
あなたの心がわずかに揺れる。
守る。
その響き。 -
レイジが静かに続ける。
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レイジ・コトブキ真実を預けてくれれば、ぼくたちは味方になる
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レイジ・コトブキでも
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一瞬だけ、微笑みが消える。
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レイジ・コトブキ嘘の上では、推理はできない
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あなたは目を閉じる。
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言うべきか。
隠すべきか。 -
その選択の前で——
沈黙が、重く落ちた。
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