気まぐれ天使
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「水無月さんってあんま笑わへんよな」
委員会からの帰り、早く部活に行こうと急いで支度をしてたら、突然聴こえたユキちゃんの話題に手が止まった。
「あー確かに思ったより無愛想というか」
「前話しかけたときもなんやぽや〜っとしとって何考えてるかわからんかったわ」
「わかる!なんやぽやぽやしとるよな」
「もしかして、仲良くなったら俺にだけ笑いかけてくれたり!」
「それめっちゃええな、ギャップや!」
なんっっっやねん!!なぜだかものすごく不愉快で、思わずバン!!と大きな音を立てて机を叩いてしまった侑に、ユキちゃんの話をしていた男たちが一斉にこちらを向く。
「おお、宮か急にどうした?」
「そういやお前1年やん、もしや水無月さんって知っとる?」
「ユキちゃんは、俺の彼女や!そんで、よお笑う子です!先輩方、あんま調子のんらんで下さいね」
なんとなく先輩たちに腹が立った。だから侑は彼らに思いっきりドヤ顔をかまして、大きな音を立てて教室のドアを閉めて去ってやった。なんであいつらがユキちゃんの話しとんねん。なんでユキちゃんに話しかけとんねん!いつや!お前らがユキちゃんと仲良おなれると思うなよ。次ユキちゃんに話しかけたら許さへん!!ユキちゃんの笑顔を見れるんは俺だけで十分…。
…?ちょっと待て、ユキちゃんって俺以外の前やと無愛想なんか。ユキちゃんの笑顔は俺だけのもの的な?えええなにそれ知らんかった。というかめっちゃかわええなあそれ。なんなん、ユキちゃん俺のことめっちゃ好きやん。俺も大好きやっ!!
ああ、早よ着替えんと。
急いで部室に向かった侑は自分のロッカーをガバッと開けた。するとこの前、帰り道で一緒に肉まん食ったときにゲットした、印刷したばかりの満面の笑みを浮かべるユキちゃんの写真。ああ、ユキちゃんほんまかわええなあ。ちなみにこのもう一つの横にある写真は、俺が誕生日にプレゼントを渡したときに見せてくれた笑顔を激写したときのやつ。
「侑、部活始まるけど」
「…」
「治、コイツ部室来てからロッカーの中見つめて微動だにしないんやけど」
「ああ、それ無視してええで、銀」
「そ、そうなんか」
* * *
「はい、あつむお疲れ様」
ふわっと笑ってドリンクを渡してくれるユキちゃん。やばい、さっきの話聞いてからユキちゃんの笑顔の尊さが何倍にも膨れ上がっとる!他の部員にドリンクを渡す姿を見てみると無表情のまま。俺だけ特別やん。よお考えたら名前呼び捨ても俺だけや。それ無意識なんかな、わざとなんかな。
んんどっちでもええ!!無意識ならそれはもう本能で俺を特別やと感じとるわけやろ!わざとならそれはそれでユキちゃん自身が俺に特別やって伝えてくれてるってことやんな!もうかわええがすぎる!天使や天使!
「なあ、ユキちゃんって実は天使なんかな?」
「なに言うてんねんツム、ついにおかしなったか。あ、もとからやったわ」
「サム!お前に何がわかんねん!!」
「何もわからへんわ!お前いちいち声がでかいねん!」
* * *
翌朝
「最近ツムのウザさが上がってきてんねんけど」
「どんまい治、俺は今の侑めっちゃおもろいから気に入ってるけどね」
「お前も一緒に住んでみればわかるで」
「それは嫌すぎ、あ、見て」
「あ?なんで外…ユキちゃんや。えらい遅い登校やな」
侑やユキの隣のクラス。今日は朝練がないので、いつものように教室の窓際にもたれながら治と角名は駄弁っていた。そんなとき、朝礼のチャイムがもう数分で鳴るというギリギリの時間に、校庭に現れたユキを見つけた2人は目を丸くした。
そしてユキが正面玄関に近づくタイミングで玄関から外へ飛び出てきたのが侑。
「あ、お前の片割れも出てきたけど」
「ユキちゃんが登校してくるの待ってたんかあいつ。てかユキちゃんめっちゃ笑顔やな」
「ね、2人ともお互いが大好きって感じ」
「なんや角名、羨ましいんか」
「別に?治がそう思ってんじゃないの?」
「まあええ2人やな、とは思っとるで」
(ユキちゃん、今日いつもより遅ない?何かあったんか?)
(ううん、寝坊しちゃっただけ)
(寝坊しちゃったんか!かわええなおい!)
(ふふ、あつむ迎え来てきてくれたの?嬉しい)
(お、おん、早よ教室行こうや)
《ユキちゃんやっぱ天使やったわ!朝から可愛いすぎる!》
《わざわざLINEで報告しなくてええわ》
おわり.