俺の推しカップル
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「わああ、今日は寒いね」
「せやなあ。ユキ、具合悪ないか?」
部活が終わり外に出ると想像以上の寒さに身震いする。外で待っとったユキちゃんに信介がすぐに駆けつけた。確かに油断したら風邪引きそうな寒さやな。少し鼻先を赤くしたユキちゃんに、信介がポケットから取り出したカイロを手渡して両手で持つように言う。え、ほんまやユキちゃん素手やん。
「ねえ見て!雪めっちゃさらさらしとる」
「ユキ、素手で触ったら手え痛なるやろ」
「ひゃー風冷たいね」
「ユキ、マフラーちゃんとしい」
冷たい北風が吹いて、ふるふると震えるユキちゃんを見た信介がユキちゃんの首にマフラーを巻く。そしてユキちゃんの手に付いた雪を払い、せっせと手袋を付けてあげる信介は、次にしっかり厚手のウィンドブレーカーを着せてから、最後に耳当てを付けたユキちゃんを見て満足そうに頷いた。
モコモコになったユキちゃんが兎見たいになっとって可愛ええ。信介も思わず抱きしめてもうてるやないか。
ホンマに可愛ええカップルやな。こんな寒いのに、そこの空間だけなんやぽわぽわしとるわ。雪ではしゃぐユキちゃんは確かに可愛ええ。可愛ええけど、あんま信介のこと心配させてやるなや。
「うわ!ユキさんめっちゃモコモコしとる」
「兎みたいで可愛ええですね」
「ふふ、侑くん治くんもお疲れ様」
次の日の朝、大雪のおかげで学校前が通れないため1時間遅れとなった登校。そのため朝練もないのでユキを迎えに行って一緒に登校する。かなりの雪で地面は滑りやすいし、歩きづらい。
「ユキ、足下気をつけ」
「うん、ねえ見て今日の雪もさらさらや」
俺の言うことに適当に返事をして振り積もったばかりのさらさらの雪に夢中のユキ。雪の中を歩くことにはしゃぐんはええけど危なっかしくてしゃあない。やけど、ユキがあまりにも楽しそうに笑うから、水を差すのも嫌でとにかくユキを見守ることを徹底する。こんな些細なことでも本当に楽しそうに笑うユキが可愛くて、「綺麗だねえ」と俺にきらきらした笑顔を向けるユキが愛おしくて今すぐこの腕に閉じ込めたい衝動に駆られた。
「ふふ、しんすけどうしたの?」
「いや、ユキが可愛ええから抱きしめたくなっただけや」
「これじゃ歩けへんよ」
「少しくらいええやろ、離したない」
今日くらいゆっくり登校してもええやろ。
「おはようさん、2人とも」
「おはようさん」
「アランくんおはようさん」
いつもより1時間遅れて始まる予定のHR開始10分前、思いのほかゆっくり登校してきた信介とユキちゃんに片手を上げて挨拶をする。2人がこんな時間ギリギリに来るなんて珍しい。しかも仲良く肩を寄せ合って登校て。なんやそれ、めっちゃええやんか!!
ほれ見てみ、手をつないで教室に入ってきた2人を見たクラスメイトも、みんなあの笑顔やで。なんやいつもよりふわふわした2人に不思議な気持ちになる。登校中になんかあったんやろか。あ、ユキちゃんの手袋めっちゃ雪付いとる。
「なあ銀、ユキさんってめっちゃ雪が似合うと思わん?」
「確かにな!なんか儚い感じがあるっちゅうか」
「お前らなんの話しとんねん」
「あ?なんやアラン君も混ざるか?ユキさんに雪が似合うって話や」
「せやなあ、確かにユキちゃんに雪は似合うなあ。今日も大量の雪を付けて登校してきたし」
「は!!もしやユキさんって実は雪の妖精なんちゃうか?」
「んなわけあるかい!なに言うてんねん」
「おい、お前ら部室の前で何やってんねん。邪魔やからさっさと体育館入りや」
「き、北!?ちゃうねん侑が変なこと言うからや」
「北さん!ちょうど良いところに、ちょお聞きたいことがあって」
「なんや?」
「ユキさんって、実は雪の妖精やったりしませんか?」
「侑……。
よお気づいたな」
「え」
「せやねん。ユキは雪の妖精さんなんや」
「「「 」」」
信介、お前も何言うとんのや。2年たちが固まってしもたやんけ。ええ!?ほんまに妖精やったんか!?と叫びだす侑に、信介の後ろで飛び跳ねたユキちゃんと何故か満足気な信介。
今日の信介は朝からやけに機嫌がええなあ。今日もウチの部活が平和で何よりやわ。
「ユキさんは妖精さんですか?」
「…妖精さん?」
「ユキちゃん、双子のことは無視してええで」
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