異世界からの旅人(後編)
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「あの、ユキさんってどんな化粧品使ってるんですか?」
またもポアロにやってきた夢野。今度はなんの用だとコナンは目を光らせた。しかし、今日の夢野の様子はいつもと少し違った。
今、ここに訪れた夢野は、ユキさんに話しかけ、少し恥ずかしそうに、そして控えめに笑って口を開いた。まるで今までとは別人だ。
誰だあの人は。
「化粧品?それなら、」
様子のおかしな夢野に気が付かないユキさんは、夢野の質問に親切に答える。そんな彼女に気を良くした夢野はパッと顔を明るくしてシャンプーは何使ってるの?リンスは?どんな色のパッケージのやつですか?と次々に質問を始めた。ユキさんは真剣に1つずつ答えているが、はっきりいって今の夢野の態度は気味が悪い。そうコナンは感じた。
目の前で夢野さんを鋭い瞳で見つめるマスターの顔もコナンと同じような心境を表していた。
しばらくして、質問を終えて満足したのか席を立つ夢野。会計をするためにと夢野のバッグから出てきた財布を見てコナンは驚愕した。白色の小さなリボン飾りがついたフサエブランドのその財布。それは、いつもユキさんが外出する時に持っているものとそっくりだった。
* * *
ポアロの仕事を終えたマスターとユキは共に自宅へ帰るため、マスターの愛車に乗り込んんだ。帰りの車内、ハンドルを握るマスターはこころなしか険しい表情をしている。昼間の夢野の行動が未だにマスターの中で引っかかっていた。
ピコン!という音がマスターのスマホが通知を知らせる。赤信号で止まったタイミングで確認すると、コナンからのメッセージが表示された。
"夢野さん、ユキさんと全く同じトートバッグとお財布を使ってたんだ"
チラリと彼女の持ち物を確認すると、彼女の膝の上にはいつものトートバッグが鎮座している。ユキに財布の有無を確認するも無くなっているわけではなかった。ということは盗まれたというわけではなさそうだ。
未だにあの女の行動が読めない。周りに協力してもらって彼女が1人で夢野に接触することは上手いこと避けているが、いったいあの女は何を企んでいるのだろうか。
* * *
「いらっしゃいませ」
「こんにちは、今日もハムサンドをお願いします!」
「かしこまりました」
やはり今日もポアロに現れた。
夢野を警戒してユキにはしばらくキッチンの担当をしてもらうことにしている。そのため接客は俺か梓さんになるのだが、まず、今日の夢野の服装、先週彼女が着ていたワンピースに酷似している。そして今、夢野とすれ違ったときに感じた違和感。いや、違和感じゃない、夢野からいつもはしない香水の香りがした。正確には彼女がたまに使っている香水の匂いだ。昨日聞き出して、そして今日それを付けてきた。彼女の真似事をしているのは明らかだが、どうしてそんなことをする?その行動には何の意味がある?
初対面のときとはまるで別人になった夢野が毎日ポアロに現れるようになって2週間ほどたった頃、マスターと同じく夢野への警戒を続けているコナンは、いつものようにポアロのカウンター席に居座っていた。
カランカランとベルを鳴らして夢野が店内に入ってくる。
「いらっしゃいませ」とマスターがいつものように挨拶をする。マスターはいつものように適当に接客して直ぐに帰ってもらうつもりだった。しかし今日の夢野は少々様子がおかしい。扉の前から動かず、マスターの正面に立った夢野はマスターに対して満面の笑みを向けたのだ。そして、
「こんにちは、零くん」
と、ユキの仕草を真似して、マスターの手に、マスターの首元で光る結婚指輪に触れようとしたのだ。その瞬間、さっと夢野から距離を取ったマスターは夢野の頭上で腕を振り上げた。
ダンッと大きな音が店内に響いて、店内の空気が一気に凍った。
マスターが拳を壁に打ち付けたからだ。夢野の頭上、ミシミシと音を立てて抉れた壁からコンクリートの破片がひとつ落ちた。
「どういうつもりだ」
マスターが低い声で尋ねる。氷のような冷たい目で夢野を見下ろすマスターの表情は、接客時の穏やかさなど1mmも存在しなかった。突然のことで夢野も驚いたのだろう、彼女は恐怖で腰を抜かし地面にへたり込んでしまっていた。
マスターは変わらず怖い顔で夢野を睨みつけている。そんなマスターに夢野は声を出すことさえできなかった。まるで蛇に睨まれたカエルだ。度々事件に首を突っ込んでマスターに叱られる経験のあるコナンにだって、あんな恐ろしい空気を纏ったマスターなんか見たことない。
「君はいったい何がしたいんだ。彼女と同じ物を使って、彼女と同じように俺の名前を呼んで、彼女に成り代われるとでも思ってるのか?」
マスターのその言葉を聞いた夢野は図星をつかれたかのようにハッと目を見開いた。
そんな夢野を見下ろして「調子に乗るな」と一言、低い声で言い放ったマスターは表情を切り替えてキッチンへ戻っていく。
そして状況を把握しきれずに困惑しているユキの隣へ並び、ぎゅううっと彼女を抱きしめる。そしてユキの頭を撫でながら気持ちを落ち着かせたマスターは、何事もなかったかのように、いつもどおり優しい笑みをユキに向けた。
しばらくして正気に戻ったのか、夢野は顔面蒼白のままポアロから走り去った。そしてその日を境に、夢野はぱったりとポアロに姿を現さなくなった。
「なるほど、そして夢野は見事に彼の地雷を踏み抜いたと」
「うん、僕も正直ビビって動けなかったよ」
「まさか坊やにそこまで言わせるとはな」
「でも、夢野さん気味が悪かったし、マスターがあそこで激怒してくれて正直ほっとした、かな」
「そうなると、ポアロはもう大丈夫そうだな。あとはこちらで夢野の動向を探って見るよ」
「わかった、頼んだよ赤井さん」
「ああ、任せてくれ」
その後、最終的に組織からの逆ハーレムにシフトチェンジした夢野は組織に近づいてジンに気に入られた。そしてまさかの本当に組織の一員になってしまったようで、夢野曰く、組織内逆ハーレムを達成し、かつ探偵陣営とも仲良くしつつ和解ルートという意味の分からない計画を立てているようだったが、
「坊や、やはり予想が当たった。夢野は今組織の内部にいるようだ」
「やっぱりな」
「これから接触することがあったらくれぐれも気をつけるんだ」
「わかってるさ」
* * *
「おいゼロ、夢野だっけ?その子の動向が掴めたぞ」
「本当か、夢野は今何をしている?」
「いや、これは俺たちが関わるよりも警察に伝えた方がいい。それでもうこの女を警戒する必要はなくなると思うよ」
「わかった。アイツらにも連絡しておこう」
「ああ、そうした方が良いな。だがあまり警戒は解くなよ 」
景光は夢野が犯罪組織に接触している所を抑えた。恐らく麻薬の密売か何かだろうが、これを機に夢野は直ぐに逮捕されるだろう。もと公安警察を甘く見るなよ。と景光は自分の活躍に心の中でドヤ顔をきめた。そして今世において個人的に風見と連絡を取り合っている景光は、黒の組織というヤバい組織の存在について認知している。マスターには伏せたが、このとき景光は夢野が例の黒の組織に関わっているという情報も同時に入手していた。そのためマスターが帰った後、こっそり風見と連絡を取り今回の件を片付けることにした。
というか、ゼロの地雷を踏み抜いたってどんだけだよ。
この事実を知ったら風見さんは「降谷さんと奥さんのために!」とか言って是が非でも手を回すだろうな。けどまあユキちゃんに危害がいってないみたいだし、なんとかなったのか…?
ここ数日、夢野について調べるために色々を動いていた景光はひパソコンを閉じてため息つく。まったく、とんだお騒がせな奴だったな。
* * * * * *
補足
赤井さんとコナン君視点
組織の情報を知る怪しい人物→やっぱり組織の人間だったが警察に逮捕されて組織には見限られた間抜けな人物
降谷零視点
恐らく俺の前世で会ったことがある人で、俺に恨みを持ってる人物→つまり妻にとって危険な人物
記憶持ち組視点
前世で降谷の敵だった人物が妻に接触している→ユキとポアロと降谷を守らなくては。
諸伏景光は今世では降谷零同様、警察ではない。しかし、IT系の仕事しながら、マスターには秘密で公安警察の協力者やってるという設定。
トリッパー視点
転生前は安室さんが好きだった。だけど安室さんは普通に本名名乗ってるし、組織の人間じゃないし、ポアロでマスターやってるし、挙句の果てには結婚してて白目。
警察学校組が生きてる世界線で感動したけど、既にあの女に取られてた。じゃあ私の役割はなんなの?って考えてあ!奥さんに成り代わるってことね、なるほど!と突っ走ったら降谷零の地雷に触れてにキレられた。結果血迷って組織で逆ハーレム狙おうとしたら全て失敗した。
「あら、ジンあの子ネズミ、気に入ったんじゃなかったの?」
「あ?あんな奴を仲間にするわけがねぇだろ、適当な仕事をやらせれば失敗して直ぐに警察に捕まってくれたぜ」
「これで組織を嗅ぎ回る煩わしいネズミはいなくなった、ったくめんどくせえ」
「あら、そういうことだったのね」
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