探偵たちの夜想曲
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マスターはシートベルトを外したユキをできる限り自分に近づけるように引き寄せる。コナンを乗せて走る車の目の前まで自分の車を走らせ、誘拐犯の車の進行方向に無理やり滑り込ませれば、見事に衝突する車。その直後、ドカアアン!!とものすごい音をあげた自分たちの車と、誘拐犯の車が同時に停止した。
一瞬の出来事にユキは思考が追いつかない。目を白黒させながら、数秒固まった後、ひしゃげた自分たちの車を見たユキはようやく現状を理解した。
「う、うわあぁぁん、なんでこんなことに!?零くん、く、車が…」
「本当になんでこんなことに…。車はもう仕方ないが、それより怪我してないか?ガラスは大丈夫だったか?」
「だ、大丈夫。ちょっとびっくりしたけど…」
怖かったと涙目になるユキを抱きしめて、マスターは安心させるように彼女の背中を撫でる。
そりゃ怖かったに決まってるだろ。というかなんで俺らがここまで巻き込まれなければならないんだ。どうして今世でもカーチェイスをすることになるんだ。なんで彼女に怖い思いをさせなければならなかったんだと、ついにマスターはこの状況に腹を立てた。
それに、いくら誘拐を阻止するためとはいえ、いくら車の運転に自信があったとはいえ、見事に大破した車を見てマスターはため息をつく。コナン君を助けることに成功したのは良いが、これでは損害が大きすぎる。
「はああ、コナン君。あまり事件に首を突っ込み過ぎるのは良くないと思うよ」
「いや、あ、ありがとうマスター…」
マスターに苦言を呈されたコナンは素直に謝った。コナンとて、流石にマスターのここまでの強行は想定していなかったのだ。
(まさか車をぶつけて車止めるとは思わなかった。この人の運転技術どうなってんだよ…)
* * *
事件現場には警察と誘拐犯、事情聴取をされている小五郎とコナン。少し離れた位置ではバイク用のヘルメットを被った女性と蘭が会話をしている。そして、現場のど真ん中、大破した車の側には落ち込むユキとそれを慰めるマスターの姿があった。
休日の夜、上司である目暮にいきなり呼び出され事件の後処理をする羽目になった松田は、そんな旧友と旧友の嫁であるユキのもとへ歩み寄る。
「お前らには怪我はねぇんだよな」
「ああ、俺もユキも大丈夫だ」
「それならいいが、まあなんだ、災難だったな」
「本当だよ、この車どうしてくれるんだ」
はああ…と大きくため息をつくマスターを見て、松田もさすがに気の毒だと思った。今世では事件とは無縁の世界で過ごしてたってのに、よくもこんな大きな事件に巻き込まれたものだ。事件現場に着いて2人の姿と大破した車を見つけた時は本当に肝が冷えたが…2人の無事を確認した松田は、ほっと息を吐いて煙草を取り出した。
道路を挟んで現場を眺めている人影がひとつ。薄桃色の髪に糸目の男は、ボロボロになった車の横で不服そうに警察と話すマスターを見て興味深そうに顎に手を添えた。
(あれは、坊やが行きつけの喫茶店のマスターか?まさかあんなアクティブな運転をする人だったとはな…)
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