6. これが夢見た福音
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俺は稲荷崎バレー部1年、理石平介。ついこの間、稲荷崎バレー部に正式なマネージャーが誕生した、その人の名も神代ユキ先輩。それはもう女神様が舞い降りたかと思うくらいに美しいマネージャーだ。
この1週間、何人かマネージャーの体験をしてたけどはっきり言ってちゃんと仕事をしてたのはこの人だけだったと思う。最終的に北さんがマネージャーとして通したのもこの人だけだし。
神代先輩は1年の俺たちが使ってるコートもよく観察していて、ドリンクもタオルも補充してくれるし、ボール出しもしてくれる。普段は全部自分たちでやってたことだからなんか感動した。
そしてなにより、神代先輩は2年生(レギュラーメンバー)たちと仲が良い。後は元々知り合いだったのか主将の北さんとも仲良くしている。たまたま朝練に早く来ると北さんと神代先輩が2人で仲良く話してるのを見かけるから。2人ともめっちゃふわふわした雰囲気で、見てるだけで癒される、てか神代先輩、やっぱり美人だよなあ。
侑先輩なんて普段女子のことボロくそに言ってるのに神代先輩にはめっちゃ優しい。休憩の度に神代先輩のとこに走っていって仕事を手伝ってる。銀島先輩は…あんまり2人で居るところは見たことないけど、ちょくちょく神代先輩と話してはめちゃくちゃ嬉しそうな顔をして練習に戻って行くのをよく見る、いったい何の話をしてるんだろう。
後は朝練終わりと放課後の部活の始まりは角名先輩と治先輩に挟まれてることが多い。まるで神代先輩を守るようにしてデカい2人が神代先輩を囲んでいる。
治先輩がおにぎりを神代先輩に渡すと神代先輩は控えめに笑って大事そうにおにぎりを食べる。この光景はここ数日間変わらない。そしてそれを普段は絶対見ることはできない緩みきった表情で神代先輩を見つめる治先輩と角名先輩。
あれ、てかなんで治先輩が神代先輩におにぎり?逆ならまだ分かるけど。
とにかく、めっちゃ可愛くて美人なマネージャーが入って部員の士気は爆上がり、いつもは怖い侑先輩や北さんも心做しか優しくなった気がするし、俺としては神代先輩に心からありがとうと言いたい。
* * *
今日も授業が終わり、部活へと向かう。自分の目の前には角名先輩と治先輩と神代先輩。こうして歩いてると身長差がえぐいな。というか3人の距離が近い気がするのは気のせいか。
ほぼくっつきそうな距離だし。時折、角名先輩は神代先輩の頭撫ででるし。部室の前まで来ると角名先輩はもう一度神代先輩の頭を撫でて、治先輩は神代先輩を軽く抱きしめてからバイバイと手を振って神代先輩と別れる。
いやちょっと待て、抱きしめるって、ここは欧米か!!じゃなくて神代先輩やっぱかわええな。
「お前は部室入んないの?」
「え!?は、入ります!すみません!」
急に角名先輩に話しかけられてビビった。心の中でつまらないノリツッコミをしてたのバレてないよな?神代先輩のこと眺めてたのもバレてないよな?あれ、俺怒られないよな?なんか角名先輩の目線が痛いような…いやいや俺はただ見てただけだし…。
・
「理石くん、それ私やっとくからサーブの練習してていいよ」
「っっ神代先輩!?あ、あざっす!」
び、びっくりした。まさか俺が話しかけられるなんて思ってなかった。てか俺が普段からサーブ練ばっかしてたの見られてたってことだよな。ほんとに良く周りを見てる人だ。誰かが怪我しても直ぐに気づくし、今みたいに雑用的なことをやろうとすると代わってくれることが多い。神代先輩だってマネージャー1人だと色々大変だろうに。
ああ俺ももっとサーブ上手くなりてえ!あわよくば神代先輩に褒めて貰いたい!!
「理石お前今日どうした?百面相してるけど」
「いえ、なんでもありません!!」
* * *
「おい!今日先輩が肉まん奢ってくれるってよ。俺らも着いてこうぜ!!」
「え、あの先輩の中入ってくの?怖くね?」
ということで1年は俺と俺を誘ったやつだけ、放課後先輩が歩く後ろを着いて行く。他のやつらはビビって来なかった。まったく情けない奴らだ…なんて思ってたけどこれ俺ら行っても良かったのか?なんとなく仲良さげに喋っている先輩方の姿に場違い感を覚えて、もしかして先輩たち俺らのこと気づいてへんのかな?と思ってたらコンビニから出てきた銀島先輩が俺ら2人に肉まんを差し出してくれた。ちゃんと気づいてくれてた!感動!。
あざっす!と声を張り上げてお礼を伝えて、貰った肉まんを口に入れた、うん美味い!
今、肉まんの美味さを噛み締めている俺の視界を占拠するのは、治先輩と侑先輩が神代先輩を挟んで言い合いをしている光景。先輩たちに囲まれてる神代先輩、やっぱ小さいな。
ってあれ?なんか神代先輩だけ食ってるもん違くね?
「ユキちゃんは肉まん要らんの?」
「ユキちゃんは俺のおにぎり食うてるから要らん言うてたやろ!」
「誰もサムに聞いとらんわ!俺はユキちゃんに質問しとるんや!」
「やから、さっき言うてた言うとんねん!」
「侑、治、コンビニの前で騒ぐなや」
宮先輩たちがまた喧嘩を始めようとしたちょうどその時、コンビニから出てきた三年の先輩。北さんの言葉に侑先輩と治先輩はピシッと静かになって固まった。そして北さんの後ろから出てきたアラン先輩が神代先輩の手元を見て首を傾げる。
「そういや前から思っててんけど、そのおにぎりが気になって仕方ないねん。神代さんいっつも持っとるよな」
「ああ、あれは俺が毎朝ユキちゃんのために握ってんねんで!」
不意に話し出したアラン先輩が俺の疑問を代弁してくれた。そして治先輩はものすごく誇らしげな顔で衝撃の発言、マネのために朝早起きしておにぎり作ってるってどういう状況やねん!周りの先輩も若干引いてるし。
「そ、そうなんか。神代さんはおにぎりが好きなんか?」
「はい!治くんの作ったおにぎりが好きです」
ゔぁっと変な声を出して心臓を抑える治先輩。
確かに、今のは猛烈な一撃だった、もし俺が直接言われたら心臓停止する自信がある。
「サム!お前顔キショいねん!」
「お前と同じ顔やわ!」
「おい双子」
「「すみません」」
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