2. 幸せを運ぶ夢の花
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このクラスに超絶可愛ええ女の子が転校してきた。めちゃくちゃ白い肌の雪見だいふくみたいに美味しそうな子や。俺が一番に話しかけたろ思ってたのに角名に横取りされた。HRの時間ずっっっと見つめやがって、そんなに見つめたらユキちゃんに穴が空いてまうやろ。あー早く担任の話終わらんかなと思ってたらチャイムによって担任の話が遮られてHRが終わった、いい気味やわ。
角名にユキちゃんをガン見しとったでと伝えるとどうやら自覚がなかったみたいで適当に流された。なんとなく腹が立って、角名が移動教室の準備をしてるときに、2人の間に割って入ってユキちゃんに話しかける。
「ユキちゃん、宜しくしてや。次移動教室やから一緒に行こうや」
「あ、ありがとう、えっと…」
「ああ、俺は宮治な、こっちは角名倫太郎」
「みやくんとすなくん」
俺らの名前がわからんくて少し困った顔が可愛かった。俺が名前を教えてやると、ふんわりと笑って俺らの名前を呟いた。角名の名前も一緒に呟いたのは気に入らんけどまあええわ。ユキちゃんが可愛いから許したる。
いつもよりゆっくり歩いて廊下を歩く。ちっこいユキちゃんの歩幅に合わせて。ユキちゃん、頭も顔も手も足も全部ちっちゃいねんな
* * *
授業中ほとんど寝て過ごしてたらもうお昼。昼飯の時間やって思ったら急に目が覚めた。急いで鞄の中から弁当を出して食べる夢中で食べる。美味いな、やっぱりこの時間が最高や。ほんまにこの瞬間が一番幸せ…。
けれども弁当は次第になくなっていくわけで、もうすぐで食べ終わりそうだと残念な気分になってユキちゃんのことを思い出した。はっとして教室の後ろに目を向けて席をたった。
ユキちゃんと角名が一緒に飯食ってるやないか!俺も誘えや!と勢い良く席を移動させて、椅子と弁当を持ってユキちゃんの席に移動する。
「ユキちゃん!俺も一緒に飯食ってええ?」
急な俺の登場にびっくりしたユキちゃんはその大きな瞳をぱちぱちとさせてから、宮くんも一緒に食べよう、と笑顔で頷いてくれた。ほんまかわええなあ。
「ユキちゃんほんまに可愛ええなあ。なんか肌も白くて雪見だいふくみたいやわ」
* * *
本日最後の授業が終わりやっと部活やと気合いを入れたら角名とユキちゃんが話してるのが目に入った、バイバイと手を振って別れた2人を見て、少しモヤモヤした気持ちを抱いて俺も教室を出る。
俺らとは別の方向に向かって歩くユキちゃんを眺めながら部室へ向かう途中、心なしか口角の上がっている角名の表情を見てギョッとした。
「角名えらい気に入っとるな」
「まぁね、治も同じじゃん」
「まあせやけど」
「角名と治えらい調子ええな」
「2人のクラスでなんかええことあったんやろか」
ほんまに調子ええわ、ユキちゃん効果やろか。今日の学校なんか楽しかったからな、なんか気分がええわ。
「おい!サム!お前彼女でもできたんか?」
「あ?なんやねん急に」
「練習中にニヤニヤしよって、えらい調子ええのも意味わからへん!」
「ニヤニヤなんてしとらんし、調子ええのは別にええことやろがい!」
「いや、顔ゆるゆるやったで。それに、角名!お前もなんで今日そんないきいきしとんねん、なんか怖いわ」
「え、それは酷くね」
「そんで?彼女はどうしたんや?」
部活が終わって家に帰る途中、ツムがニマニマした笑みを浮かべながら聞いてきた。まじでその顔やめてや。
「彼女なんかおらんわ」
「はぁ?じゃあ今日何があってん」
「…ああ、俺の気分が良かったんはユキちゃんのおかげやな」
「あ?誰やユキちゃんて」
「転入生や」
「ああ、なんか噂になっとったな。顔はええけど、めっちゃビッチで性格悪い女が 転入してきたって言うとったわ」
「は?なんやその噂誰に聞いてん」
「なんや顔怖いでサム、誰から聞いかなんて覚えとらんわ」
「なんや使えへんな」
「はあ?あ!わかったわ、サムそのユキちゃんに誑かされとんちゃうんか!」
「あ?なんやねんそれ。ユキちゃんはビッチでもないし性格も悪ないわ」
なんやねんそれ、今日転校してきたばっかでそんな変な噂流れてねん。そもそもユキちゃんは今日ほとんど俺や角名と話してたし…ああ、女の僻みかいな。性格悪いんはどっちやねん、胸糞悪いわ。
・
翌朝、ユキちゃんと一緒に大量のおにぎりを食べるという最高の夢を見て最高の気分のまま起きた俺はいいことを思いついた。いつもよりちょっと早く起きて台所に向かう。
「あ?なんやその大量のおにぎりは。は!もしかして俺の分まで作ってくれたんか!たまにはええことするやん!いや、こんな急に優しくなるんはなんかキモイわ」
「朝から失礼なやつやな、誰もお前のために作っとらんわ、これはユキちゃんのために作ってんねん」
「え」
ほんま失礼な奴やな。それよりユキちゃんは中身何が好きなんかな。梅かな?鮭かな?まぁ全部作れば間違いないやろ。
「さ、サム…流石にその量はユキちゃんも食べきれないやろ…」
・
「治、どうしたんそのでかい袋」
「ん?ああ、おにぎり入ってんねん」
「え?多くね?」
朝練終えて部室で着替えてたら、隣のロッカーを使ってた銀が今日俺が持ってきたおにぎりが詰め込まれた袋を指摘してきた。まあ、ユキちゃんにあげるおにぎりがたくさん入ってるからな、早く教室に行かな。
「よし、教室行くで角名」
「ん…って今日おにぎりの量多すぎね?」
「ユキちゃんに作ってきてん」
「ああなるほど…え?」
・
「おはようユキちゃん!ユキちゃんはおにぎりの中身何が好きなん?」
「おはよう宮くん。おにぎりはあんまり食べたことないから、ちょっと分からないかな」
「食べたことあらへんの?ほな今日俺が作ってきたからたくさん食べや!」
「あ、ありがとう?」
「いや、神代さん無理して食べなくていいからね」
じゃあとりあえず1つ貰うねと言ってユキちゃんはおにぎりを受け取ってくれた。なんか角名が余計なこと言いよるけど気にせんで。
おにぎりを包んだアルミを丁寧に解いてユキちゃんはその小さな口でパクっとおにぎりを食べる。小さくもぐもぐしてから、もう一口パクリと食べる。あ、中身はおかかやったか。
「ん〜美味しいね!普段あんまりご飯食べないから分からなかったけど、おにぎりおいしいね」
そう言って幸せそうにおにぎり1つ食べきったユキちゃん、めっちゃかわええなあ!
もっと食べや!とおにぎりを差し出すと後はお昼にとっとこうかな、とユキちゃんが言うので仕方なくお昼まで待つことにした。
お昼、ユキちゃんは俺の持ってきたおにぎりを2つ食べてくれた。鮭のやつと梅のやつ。
どっちも美味しいね、宮くんはおにぎり作るの上手なんだね、と言って食べてくれたユキちゃんがかわいすぎて部活までユキちゃんのことしか考えられへんかった。
もっと食べるか聞いたらそれじゃあお持ち帰りしようかなって言われた、かわいすぎる。
そしてユキちゃんに残りの4種類のおにぎりを渡して、俺は幸せの気持ちのまま部活に向かうことができた。途中、角名に「ユキちゃんに嫌われなくて良かったね」とドン引きされたが、嫌われる要素が全くわからへん。
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