銀行強盗
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8 銀行強盗
月曜日、ポアロでの仕事を終えた私たちは午後買い物に行くついでに米花中央銀行に立ち寄った。
月末だからかやっぱり人が多いな…なんて呑気に考えながら1番空いてる列に並びATMが空くのを待ってるときだった。
動くな!!と声を出しながら銃をこちらに向けてゾロゾロ銀行の中に入ってくる強盗たち、を見る間もなく私の視界は彼の大きな背中で覆われた。
「俺の後ろに隠れてて」
「わ、わかった!」
その頼もしすぎる背中に守られて銀行強盗の行く末を見ていると、ついに犯人からスマホを出すように促される。
犯人は手前に固まっている人たちから順にスマホを回収している。私たちは端っこにいるからまだ犯人の目は届いていない。ソワソワとした気持ちを落ち着けるように彼の服を掴もうとして気が付いた。零くんが背中の後ろでスマホの操作をしている。良く見ると誰かに電話をつないでいるようで、顔は犯人たちの方を向いたまま、指先の感覚だけで見事伊達さんに通話をつなげるというスゴ技を見て私は驚いた。
そして拳銃を持つ犯人がこちらへ来ると、零くんは何事もなかったかのようにスマホを犯人の持つ袋へと入れた。
スマホを回収し終えた犯人たちは、次!と大声を出し、金を詰めさせるために大きな袋をカウンターへ置いた。
おどおどしながらも一生懸命お金を袋に詰める銀行員を見て、伊達さんはやく来て…!と私はぎゅっと目を瞑る。
その時、バンバン!!と天井に向かって2回銃弾が放たれた。あまりにも大きな音で驚いて零くんのシャツをすごい勢いで握ってしまった。そんな私の動揺が伝わったのかパッとこちらを振り向いた零くんは優しく抱きしめて背中をよしよししてくれている。
「ユキ、大丈夫だよ。警察には連絡してあるからもう時期来てくれる」
犯人にバレないように小さな声でそう伝えてくれる零くん。上から降ってくる彼の優しい声はひどく安心できる。
「ごめん君に怖い思いをさせて、でも大丈夫君のことは絶対に俺が守るから」
* * *
強盗犯たちが手馴れじゃなくて助かった。銃も誰かに向けるというよりは威嚇に用いてるだけのようだ。伊達に連絡をつないでから何分たったか、マスターは頭の中で考える。警視庁からこの銀行までの距離はどれくらいか、いくら遅くとも警察はもう到着していると考えていい。だから少しでも犯人たちの意識を一点に逸らすことが出来れば、警察が銀行内に突撃する僅かなチャンスをつくれれば、とマスターが思考を巡らせていたとき、予想外の出来事が起こった。
「あーーー!警察が来てるよ!」
と、マスターも聞き馴染みのある小さな名探偵の声にマスターは目を丸くした。
突然叫ぶのは危ないだろ!と言いたいところだが、どうやら名探偵もこのタイミングを見計らっていたようで、「おい!黙れクソガキ!」と犯人が意識を逸らした隙に警察隊の声が続く。
「今だ突撃ィィイ!」
「な!本当に警察が!?スマホは回収しただろ!」
来ると思っていなかった警察が突撃してきたことで動揺した強盗犯たちはすぐに回収さた。幸い怪我人も出ず、自体は収束したがマスターの表情は未だこわばっている。よくもユキのいる場所で事件を起こしてくれたなとマスターは警察に捉えらている犯人たちへと冷たい目線を向けてからユキの肩を抱き寄せた。銃声を聞いてかなり怖がっていたからトラウマにならなければ良いが。未だに腕の中でふるふると震えるユキを抱きしめながら、マスターはこちらへやってくる伊達の方へ顔を向ける。
「いやいや、お手柄だったなゼロ」
「すぐにスマホを回収されたから通話を繋げることしか出来なかったがな。助かったよ」
「何言ってんだ!お前のおかげでみんな助かったんだ。お前にも嫁さんにも怪我がなくて良かったぜ」
「ああ、そうだな」
* * *
「もう!コナン君、急に大声出すからびっくりしたよ」
「ご、ごめん蘭姉ちゃん」
銀行強盗の騒ぎが収まってきたころ、事情聴取から解放された蘭は自ら危険な行動をとったコナンに対して注意をしていた。そんな蘭に対してハハハ…と適当に受け流すコナン。コナンとしてはたまたま銀行近くの公園で遊んでいた少年探偵団と探偵バッチで連絡と取ろうとしたところ、近づいてくるパトカーの音を聞いて警察が向かってきていることを察したので、犯人が警察に気づく前に警察がこちらに突入するタイミングを計らねばと思っての行動であった。
でもいったい、警察はどうやって情報を入手したのだろうか。
帰り際、コナンはマスターとユキを見つけて驚いた。まさか2人も巻き込まれていたなんて。
それにしても、マスターと伊達刑事は知り合いだろうか、随分と親しげに見えるが、今回警察へ連絡したのはもしかして…。
〇伊達航
今世でも警察官。警視庁捜査一課の刑事。
ナタリーと交際中。
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