喫茶ポアロのきっかけ
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4 喫茶ポアロのきっかけ
「昔からユキがカフェをやりたいと言っていたからね」
「それだけで?」
「それだけ?僕にとっては十分な理由だ。彼女の夢を叶えられるし、それに夫婦で喫茶店なら仕事中も一緒に居られるだろ?片時も彼女と離れたくないと常々思っていたから、大好きな人と2人でお店を営むなんて最高の生活じゃないか」
洗い終えたコップを丁寧に拭きながらマスターは心底幸せそうな顔でコナンの質問に答えた。
この人奥さんの話になると急に優しい顔になるよな。ふよふよと浮かぶ花のエフェクトが見える…なんて思いながらコナンはブラックコーヒーを追加注文してマスターの顔を見上げる。この人と話をしているとしみじみと感じることがある。
「マスターは奥さんが大好きなんだね」
「そうだね、何より大切な人だよ。まったくコナン君は急にどうしてそんな質問を?」
小学1年生生にしては随分とませた質問じゃないだろうか、学校で将来についての話題でもあったのか、そんな風に考えながらマスターは穏やかな表情でコナンの質問に応答する。
しかし、コナンにしても風見にしても、どうにも降谷零が喫茶店のマスターであることに違和感を感じているようだ。
「だって、マスターって頭も切れるし、めちゃくちゃ強いし、コンピューターにも強いみたいだから、どうして喫茶店なんだろうなって思ったんだ 」
「はは、なるほどな」
カウンター席に頬杖をつきながらどうにも不服そうなコナンにマスターは思わず笑みがこぼれた。そんなマスターにコナンはさらに不服そうに頬を膨らます。
「マスターのスペックだったらどんな職業でもなれそうだし」
「そうだな…今までの僕の選択はどれも彼女のためだって言ったら納得できるかい?」
「う、うん?」
「僕はユキと一緒に喫茶店を経営するためにたくさん勉強もしたし、いつでもユキを護るれるように身体も鍛えてるんだ。何も不思議なことはないだろ?」
はい、と先程コナンが注文したブラックコーヒーをテーブルに置きながら、さもそれが当然かのように話すマスターには、コナンも納得せざるを得なかった。この人は本当にユキさんのことが大切なんだと改めて思い知らされた感じだ。
じーっと、マスターの顔を見つめて何かを深く考え込んでいる様子のコナン。出会ったときと変わらず、詮索好きのコナンにマスターは困ったように笑う。そういえば、前世ではたくさんの仮面を作り潜入捜査官として長いこと過ごしていたが、もし前世でこの子に出会っていたらすぐにでも正体がバレてしまいそうだ。
「あ!それとマスターの車ってすごい高いやつなんでしょ?僕テレビで見たことあるよ!」
「ああ、僕は車が好きだからね」
「そうなんだ…」
コナンにとってマスターは尊敬する大人の一人である。だからこそ、コナンはマスターについて色々知りたかった。
実は、喫茶店のマスターになる前、小五郎のおっちゃんと同じように警察官だったのではないかとか、マスターの持つ高級車やユキさんの所持品の高価さなどから、実は喫茶店マスターは表向きの顔で、実は裏で別の仕事をしているのではないかとか。日々考察をめぐらせいるコナンだったが、今日話してみてわかったことといえば…
この人は、この喫茶店の店長であり、重度の愛妻家であるということくらいだろうか。
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