奥さんが大好きなマスター
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17 奥さんが大好きなマスター
奥さんが可愛すぎて仕方がないマスターの話。
〇蘭に対抗心を燃やすマスター〇
奥さんが可愛すぎて仕方がないマスターの話。
〇蘭に対抗心を燃やすマスター〇
園子に誘われて蘭の空手の大会を見に来たマスターとユキ。見事に勝ち進んでいく蘭の活躍にユキは観客席から身を乗り出す勢いで応援していた。
「蘭ちゃんってとても強いのね、かっこいい…」
ユキと一緒に蘭の応援に来ていたマスターは、技が決まる度に、頬を桃色に染めて蘭を見るユキを見て妙な気持ちになった。
俺だってめちゃくちゃ強いんだぞと彼女に言いたい。確かに、君は直接俺が戦闘をしてる所をそんなに見たことがある訳じゃないし、俺だってわざわざ自分の強さを吹聴して回ったりしないが、それにしても何だこの敗北感!とマスターは観客席で妙にざわつく心を必死に静めていた。
前世の俺なんて職場で日本最強の男とか言われてたんだぞ。周りの友達からも腕力ゴリラとかイジられるくらいには力も強いはずだ。今世の俺だって、毎日筋トレして体が鈍らないようにしてる。前世には多少劣るかもしれないが、多分フロントガラスくらいなら片手で割ることができるはずだ。
蘭に夢中になっているユキの横で、1人悶々と考えを巡らせていたマスターは隣で缶ジュースを飲むコナンの方を見た。
「コナン君もそう思わないか?」
「うん?マ、マスターなんの話?というよりなんでそんなに難しい顔してるの…」
後日、ポアロ開店直前、ユキと梓は今日お店へ出す予定のモーニングメニューの準備をしていた。先日、蘭の空手の大会を見てきた余韻が冷めやまないユキはキラキラとした目で、本日何度目か分からない"蘭ちゃんの活躍"について梓に話をしている。
その話を隣で聞いていたマスターの心に些細な対抗心が芽生えてしまったために、元来負けず嫌いな気質のあるマスターは、つい過去にフロントガラスを素手で割ったことがあることを2人にカミングアウトした。
その後しばらく、梓とユキに本気でビビられたマスターは心に深い傷を負った。
〇佐藤刑事に対抗心を燃やすマスター〇
また別の日の話。ポアロ閉店後に2人で夕食の材料を買いに行った夫婦は、その帰り道でひったくり犯を捕まえてボディブローをかます佐藤刑事を見かけた。
「わあ、あれ佐藤刑事だよね、何あの技かっこよかったね!零くん」
「ああ、そうだね(あれなら俺だってできるけどな)」
「やっぱり警察官ってかっこいいね、零くん」
「ああ、そうだな(前世の俺だって警察官だったんだぞ)」
佐藤刑事の活躍を見たユキはその後、ずっと佐藤刑事のことで頭がいっぱいだった。それがどうにも気に食わないマスターは佐藤刑事に謎の対抗心を燃やした。
「零くんも、警察官が似合いそう」
「え、そう見えるかい?」
「うん、だって零くんいつも私を守ってくれるから。あ、でも零くんが警察官だったら私、零くんに助けてもらう人達みんなに嫉妬しちゃうかも」
「え…」
「だから、今のなしね!零くんは私の、だからね!」
「あ、ああ、うん。俺は君のだからな」
ダメだ今日も彼女が可愛い…今世の俺は君専用の警察官ってことで。なんてユキの言葉を心の中で反芻しながらマスターは自宅のマンションまでの道のりを歩く。帰り道に佐藤刑事の話ばかりするユキに若干のジェラシーを感じていたマスターだったが最終的には自分の嫁が可愛いというところに帰結した。
そんな会話をしながら帰宅してすぐ、リビングへ到達する前にユキが荷物を置いて廊下に立ち止まった。
どうしたのか、とマスターが声をかける前に、心なしかワクワクとした表情のユキがこちらを向く。
「零くん、私も蘭ちゃんたちみたいにこう、背負い投げ、できるかな!?」
「え…?」
君が、背負い投げを、できるわけがないだろ何を考えてるんだ。おいその可愛いらしいジェスチャーは何だ、蹴りか?蹴りなのか?蘭さんのような上段蹴りをしたいのか?おいやめろ背負い投げの練習に俺を使うな。そんなことしても抱きしめたくなるだけだぞ。しかもそれじゃ背負い投げじゃなくてタックルだし、君のその力じゃ僕にただ抱きついているだけで何の衝撃もない。そうそう、そうやって後ろ向いて、うん、それが背負い投げだ。
「零くん!(何で!ビクともしないよ!)」
「どうしたんだ?」
「(な、なんでそんなに笑顔なの!?)」
ユキの行動一つひとつが可愛すぎてもう俺は悶え死ぬかもしれないと思った。これが尊死…。女子高生や梓さんの言葉が今なら理解できる気がする。
俺の腕を掴んで、下へ下へ頑張って引っ張る彼女を後ろから抱きしめれば、彼女は「もう!練習にならないじゃない!」と頬を膨らませてしまった。可愛い。
* * *
翌日
「ねぇコナン君、私も蘭ちゃんみたく犯人をキックして撃退!みたいなことできないかな?」
「え、?いや、」
無理だと思うけど…という言葉をコナンはすんでのところで吞み込んだ。ポアロに来てすぐに今の質問をされたコナンは、何かを期待するような彼女の眼差しを受けて、すぐに否定しようとした口を噤んだ。そもそも体質的に体術とかの話ではない気がする、と思ったコナンは少し間をあけて、ユキさんにはちょっと難しいんじゃないかな…と遠慮がちに伝えた。コナン的には、なんとなくユキさんを傷つけないように伝えたつもりだったが、マスターに加えてコナンにも自分に体術は無理だと言われたユキは悲しそうに肩を落とす。
やっぱり私には向いてないのかな?と呟きながらコーヒーを淹れるユキをそばで見ていたマスターは顔を覆って悶えた。昨夜から、どうにかして自分の戦闘力を示そうとするユキの言動全てがツボにハマったマスターはもうずっとこの調子である。
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