安達さん、シット。
僕は、安達さんに内緒で、朝帰りをしました。
「ふう。まさかあんな事になるなんて」
朝の清々しい空気の中、僕は寝不足の目をこすりながら自宅アパートへ戻ります。
今日は日曜日で大学はお休み。アルバイトは夕方からなので、帰ったら洗濯物を片付けて、少し眠るつもりでした。
自分の部屋の鍵を開けようとポケットを探っていると、なんと自宅のドアが内側から開きました。
「みっちゃん、君、遅いじゃないか」
「あ、こら!安達さんたら!また僕の部屋に無断で」
「早くお入り。寒かっただろうに」
僕がポカポカと安達さんの胸を叩くのにも構わず、安達さんはうつくしい顔で微笑みます。
そして僕を部屋へ迎え入れてくれます。
「ありがとう安達さん…じゃなくて、僕の部屋なんですが」
「いやなに。構うことはないよ」
微妙に会話が噛み合いませんが、僕はそういったことに最近少し慣れました。
部屋の中はいつも通りですが、何か違っているような気もします。
「みっちゃん、君、どこにいたの。心配したんだよ。何か、けしからん奴にけしからんことをされていたらと思ったりね…」
「ごめんなさい安達さん」
「けしからんことをするのは私一人で十分だろう?」
「全くです」
安達さんは満足そうに頷きました。
「で、どこで何をしていたの」
「友人の家で…」
「大学の?」
「いいえ、バイト先のです。ご飯を食べたりしていて」
「なるほど。たまには君にもそういった息抜きが必要だろう」
安達さんはふんふんと頷きながら僕をベッドへ連れて行くなり自ら服を脱ぎ始めました。
恥ずかしくてどこを見て良いかわかりません。
「みっちゃん。さあ見て。私を」
「なっ、なんて、変態のようなことを…」
「見たまえ。ほら」
恐る恐る見てみると、安達さんは素っ裸になって、両手を腰にあてて僕をまっすぐな目で見ます。
「さっき射精したのに、君が見ていると思えばもうこれだ」
安達さんは自分の勃起したペニスを自慢げに振り回します。
「むむ!安達さん、聞き捨てなりませんよ!射精したとは一体どこで!」
「みっちゃん。君の家にいて私が興奮しないと思うのか」
「すみません…」
「わかればよろしい」
やけに偉そうに言う安達さんが堂々としていて、僕は不覚にも、そんな安達さんにキュンとしてしまいます。
「みっちゃん。さあ、隅から隅まで舐めさせてごらん」
「あ、安達さん、いけませんっ、あ、だめ」
安達さんは僕のシャツに手をかけて、ボタンを一つずつ外して行くと思ったらいきなりぶちぶちっと破き開けました。
「安達さん!また!ボタン付けの仕事を増やして!」
「みっちゃん。君、これはどういうことだ」
安達さんの冷静な声にその視線を辿ると、それは僕の首のあたりを射抜くようです。
「みっちゃん。私というフィアンセがありながら、君はここを誰かに吸わせたのかい?」
僕はハッとしました。
「あの、これは、これには訳が」
「そうだろうとも。何か訳がないとこんなことにはならないだろうね。そうあって欲しいものだ。ほうほうなるほど、この感情を人は嫉妬と呼ぶのだろうね」
「これはっ、はぐっ」
安達さんが微かに怒っているようだったので、僕は慌てて理由を説明しようとして舌を噛みました。
「あらまあ、みっちゃん、少し落ち着きなさいね」
安達さんは優しい顔をしました。それに安心して、僕は少し泣いてしまいました。すると安達さんは、よしよしと背中を撫でてくれました。
「すまない。少し動揺しただけだ。私は何があっても君の味方なのだから。泣くことはないよ」
「いえ、ごめんなさい…僕がこんな…あの、これは、友達が」
「ふむ」
「皆で少しばかりお酒を飲んだんです。それで酔っ払って、トランプで負けた者が皆にお仕置きをされるというゲームがエスカレートして、それで、僕が負けた時の罰ゲームが、首筋にキスマークを付けることになってしまって…」
「ほう」
安達さんは、そっと、僕の首筋を撫でました。なんだかゾクゾクします。
「それで?君のここを、皆で吸った?」
「はい…」
「随分と破廉恥な集まりだね」
安達さんの声は優しく、囁くようです。
「みっちゃん。私が君を心配している間、君は友人の唇や舌で感じていたの?」
「そんなこと、ありません…」
「嘘をついてはいけないよ。だって、君はこんなに」
そして安達さんは、僕の首筋を吸いました。
「あんっ」
「…ほら、こんなに、感じやすいんだから」
安達さんはもう、僕の耳にくっつきそうなところで言います。鳥肌が立って震えてしまいました。
「違います…僕、感じていません…」
「気持ち良くないかい?」
僕の手を柔らかく握って、安達さんはそれだけで僕を動けなくしてしまいます。
「ここは?」
耳をぺろりと舐められます。
「あっ…安達さん…」
「感じるんだろう?ああみっちゃん。君のその愛らしい顔も声も体も、私だけのものじゃないなんて。君は可愛い顔をしてなんと残酷なんだろう」
安達さんの声は、言葉に反して穏やかで、じっと見上げてみると、やはり彼の顔は大変にうつくしいのです。
「僕は、あの、その」
「さあさあ。その安っぽいお洋服を早く脱ごうね」
言い方が多少引っかかりましたが、僕は動揺していたのかすぐに服を脱いでしまいました。
「そしてこれだ」
安達さんは、僕のベッドの下から何やら箱を取り出しました。何かお菓子の箱のようですが、中でゴロンと重そうな音がしました。
「それは?」
「これでとりあえず、みっちゃんがいなくても私は寂しくなくなるんじゃないかと思ってね」
安達さんが得意げに取り出したのは、ビデオカメラでした。
「安達さん、僕、ちょっと意味が」
「ぽかん、と音がしそうな顔をしているね。はは、君のそういう勘の働かない鈍い阿呆なところも愛しているよ」
さっきから、安達さんの言い方にトゲがあるような気がしますが気のせいでしょうか。
「みっちゃん、さあ、挿れますよ」
「あっ、安達さん、ひやっ!冷たい!」
安達さんは僕の脚を思い切り開いて、ビデオを片手に、何か冷たくて硬いものを僕のお尻に入れたのです。
「ああそうだね、少し温めておいてあげるべきだった。まあ、仕方ないね、我慢なさい」
「やっ!安達さん、何を」
「さあさあもっと声を出したまえ。君の声も姿も、計16台のキャメラがしっかりと記憶しておいてくれるよ」
「16台?カメラ?」
そして安達さんは、何かのスイッチをカチッとしました。
「やあぁん!」
僕は思わず声をあげました。だって、お尻の中で何かがぶいーっと震え出したのです。
「ああ、どうしたものか。もう射精をしそうだよ私は。我ながら全く、みっちゃんのこととなると我慢のきかない体だ」
「やあぁ!抜いて、取ってぇ、安達さん!」
「おほほ、涙目だねみっちゃん。ああ、はぁ、はぁ、いいね、最高です」
気持ちいいのかくすぐったいのかわからないような感覚の中で目を開けると、安達さんは自分のペニスをこすりながらカメラで僕を撮っています。
「やっ、恥ずかしい…やぁ…あだちさん、止めてください…」
「はあ、そう、それそれ、もっと嫌がって。恥ずかしい顔を見せてご覧、はぁはぁはぁ、みっちゃん、いいよ」
「取ってぇ…」
僕が自分の穴に手を伸ばすと、安達さんに手の甲をぺちんと叩かれました。
「こら。お行儀がなっていないね」
「お行儀?」
こんな脚をおっ広げたような体勢をさせている人の言葉ではありません。
「私の許しがあるまで取ってはいけません」
「撮らないでください…」
「そう。取らない」
「違う、あの、カメラをっ、ぁんっ」
「ああ、キャメラかい?これが嫌なの?」
「だって…恥ずかしいです…っくぅ」
お尻がむずむずして、なんだかもう我慢が出来なくなりそうで、股を閉じてクネクネしてしまいました。
安達さんはそんな僕をうつくしい顔で見つめています。
「これをやめる…うーん、それはなかなか難しい相談だが…他のを3台止めるから、ハンディは残してもいいだろうか?」
「他の?3台?」
「あらあらみっちゃん、君、人の話はちゃんと聞きなさいね。さっき言っただろう。部屋中に15台のキャメラを隠してあるんだ」
「あっあっあっ安達さんのばかぁ!何してるんですか!人の家で!」
部屋に入った時の違和感はそれだったのかと合点がいきました。安達さんは眉をしかめています。
「随分な言い様だこと。フィアンセですよ私は」
「知りませんっ!」
「知らないとは穏やかでないね」
「知らないったら知らないっ!」
「怒ったの?みっちゃん。ああ、その顔もかわいいよ。ペニスを舐めてあげよう」
「あああ!いやぁっ!きちゃう、ああ!出ちゃう!」
僕は安達さんに舐められてすぐに射精してしまいました。
「うんっ…ふう…ご馳走さま」
「はあ…お粗末さま…です…」
「みっちゃんの精液は蜜の味だ。みっちゃんのミは、お蜜のミ~」
安達さんはうつくしい顔で歌いました。
「さて、名曲が生まれたところでいよいよ挿入だ」
「ああ!ダメですよぅ!」
「あ、そうだね、まだアレが入っているのだったね。みっちゃん、うーんってしてご覧」
「うーん?」
「お手洗いで力む時の様にだよ」
「うーん…」
「もっと力を入れて」
「う、うーん」
「あっ、頭が見えたぞ!頑張れみっちゃん!」
安達さんは僕の手を握ってカメラでそこを狙っています。
「さあ!頑張れ!もう少しで生まれる!」
「うーんっ」
「みっちゃん、ああ、頑張って、さあ、もう少し!私たちの愛の結晶が!」
「うーんうーん」
「頑張れ頑張れみっちゃん!そうだ、名前はどうする?!」
「うーん!うーん!」
「頭を見る限り色白だからシロたんにしよう!さあシロたんがもうすぐ出てくる!頑張れ!シロたんも『ママ頑張って』って言ってるぞ!」
「うーん!うーん!」
「いい!いいよ!どうしようもなく卑猥だ!」
「うーんうーん!うーん!」
「ひやあ!あっ!あ!出る、出る!」
「うーっん!」
「ああっ…」
何かと思えば、なぜか安達さんが射精していました。そして僕のお尻から出て来たものを見ると。
「これが…シロたん…」
「はあ、シロたんの出産、最高に卑猥な映像が16通り撮れたよみっちゃん、いや、シロたんママ」
シロたんは、コードがついたうずらの卵のようなものでした。
「シロたんは、ローターというんだよ」
「ローター」
「そう。コードの先のこのスイッチを入れると、このように」
「あっ、シロたんが動いた!」
「可愛いだろう、君が産んだんだよ、みっちゃん。よく頑張ったね。ありがとう」
「安達さん…」
僕はなんだか照れてしまいましたが、よく考えると僕たちは何をしているのだろうと少し暗くなりかけました。
「みっちゃん、愛しているよ」
でも、安達さんがうつくしい顔で僕に微笑むので、なんだかもう、他のことなどどうでも良くなってしまうのです。
でも今日は、ちょっとどうでも良くないことも幾つかあったような気がしました。
「安達さん」
「はい」
「カメラの画像は一体」
「私のコレクションが一気に増えたよ。ありがとう。これでもう、君が他の誰かとアバンチュールしていても、ぎりぎりのところで我慢ができるだろう」
「あの、そのことなんですけど、僕は、その…僕は、安達さんだけのものですから!」
恥ずかしくなってしまったので、安達さんの方を見ないようにして服を着ようとしました。
「みっちゃん。これをどうしてくれるのかな」
「はっ!それは!まさか!」
「みっちゃんがいじらしいことを言うものだから、もりもりと」
安達さんのペニスはまた勃起していたのです。
「みっちゃん。四つん這いになって」
「いやっ…ダメです…」
僕はなぜか、否定しながらそそくさと四つん這いになってしまったのでした。
「ああ。流石に疲れたね。みっちゃん、大丈夫かな」
「…はい……」
僕は少し眠くなって、安達さんの胸に頭をスリスリしました。
「おやすみ、みっちゃん。愛しいひと」
安達さんのうつくしい顔を間近で見ながら、僕は眠りについたのでした。
が、安達さんがなにか、飴玉のようなものを口の中でコロコロと転がしているような気がしました。
夕方、起きてから、安達さんが口に含んでいたのがコードを取ったシロたんだったと知って、僕は顔から火を吹いたのでした。
-end-
2014.5.1
英恵さまへ
「ふう。まさかあんな事になるなんて」
朝の清々しい空気の中、僕は寝不足の目をこすりながら自宅アパートへ戻ります。
今日は日曜日で大学はお休み。アルバイトは夕方からなので、帰ったら洗濯物を片付けて、少し眠るつもりでした。
自分の部屋の鍵を開けようとポケットを探っていると、なんと自宅のドアが内側から開きました。
「みっちゃん、君、遅いじゃないか」
「あ、こら!安達さんたら!また僕の部屋に無断で」
「早くお入り。寒かっただろうに」
僕がポカポカと安達さんの胸を叩くのにも構わず、安達さんはうつくしい顔で微笑みます。
そして僕を部屋へ迎え入れてくれます。
「ありがとう安達さん…じゃなくて、僕の部屋なんですが」
「いやなに。構うことはないよ」
微妙に会話が噛み合いませんが、僕はそういったことに最近少し慣れました。
部屋の中はいつも通りですが、何か違っているような気もします。
「みっちゃん、君、どこにいたの。心配したんだよ。何か、けしからん奴にけしからんことをされていたらと思ったりね…」
「ごめんなさい安達さん」
「けしからんことをするのは私一人で十分だろう?」
「全くです」
安達さんは満足そうに頷きました。
「で、どこで何をしていたの」
「友人の家で…」
「大学の?」
「いいえ、バイト先のです。ご飯を食べたりしていて」
「なるほど。たまには君にもそういった息抜きが必要だろう」
安達さんはふんふんと頷きながら僕をベッドへ連れて行くなり自ら服を脱ぎ始めました。
恥ずかしくてどこを見て良いかわかりません。
「みっちゃん。さあ見て。私を」
「なっ、なんて、変態のようなことを…」
「見たまえ。ほら」
恐る恐る見てみると、安達さんは素っ裸になって、両手を腰にあてて僕をまっすぐな目で見ます。
「さっき射精したのに、君が見ていると思えばもうこれだ」
安達さんは自分の勃起したペニスを自慢げに振り回します。
「むむ!安達さん、聞き捨てなりませんよ!射精したとは一体どこで!」
「みっちゃん。君の家にいて私が興奮しないと思うのか」
「すみません…」
「わかればよろしい」
やけに偉そうに言う安達さんが堂々としていて、僕は不覚にも、そんな安達さんにキュンとしてしまいます。
「みっちゃん。さあ、隅から隅まで舐めさせてごらん」
「あ、安達さん、いけませんっ、あ、だめ」
安達さんは僕のシャツに手をかけて、ボタンを一つずつ外して行くと思ったらいきなりぶちぶちっと破き開けました。
「安達さん!また!ボタン付けの仕事を増やして!」
「みっちゃん。君、これはどういうことだ」
安達さんの冷静な声にその視線を辿ると、それは僕の首のあたりを射抜くようです。
「みっちゃん。私というフィアンセがありながら、君はここを誰かに吸わせたのかい?」
僕はハッとしました。
「あの、これは、これには訳が」
「そうだろうとも。何か訳がないとこんなことにはならないだろうね。そうあって欲しいものだ。ほうほうなるほど、この感情を人は嫉妬と呼ぶのだろうね」
「これはっ、はぐっ」
安達さんが微かに怒っているようだったので、僕は慌てて理由を説明しようとして舌を噛みました。
「あらまあ、みっちゃん、少し落ち着きなさいね」
安達さんは優しい顔をしました。それに安心して、僕は少し泣いてしまいました。すると安達さんは、よしよしと背中を撫でてくれました。
「すまない。少し動揺しただけだ。私は何があっても君の味方なのだから。泣くことはないよ」
「いえ、ごめんなさい…僕がこんな…あの、これは、友達が」
「ふむ」
「皆で少しばかりお酒を飲んだんです。それで酔っ払って、トランプで負けた者が皆にお仕置きをされるというゲームがエスカレートして、それで、僕が負けた時の罰ゲームが、首筋にキスマークを付けることになってしまって…」
「ほう」
安達さんは、そっと、僕の首筋を撫でました。なんだかゾクゾクします。
「それで?君のここを、皆で吸った?」
「はい…」
「随分と破廉恥な集まりだね」
安達さんの声は優しく、囁くようです。
「みっちゃん。私が君を心配している間、君は友人の唇や舌で感じていたの?」
「そんなこと、ありません…」
「嘘をついてはいけないよ。だって、君はこんなに」
そして安達さんは、僕の首筋を吸いました。
「あんっ」
「…ほら、こんなに、感じやすいんだから」
安達さんはもう、僕の耳にくっつきそうなところで言います。鳥肌が立って震えてしまいました。
「違います…僕、感じていません…」
「気持ち良くないかい?」
僕の手を柔らかく握って、安達さんはそれだけで僕を動けなくしてしまいます。
「ここは?」
耳をぺろりと舐められます。
「あっ…安達さん…」
「感じるんだろう?ああみっちゃん。君のその愛らしい顔も声も体も、私だけのものじゃないなんて。君は可愛い顔をしてなんと残酷なんだろう」
安達さんの声は、言葉に反して穏やかで、じっと見上げてみると、やはり彼の顔は大変にうつくしいのです。
「僕は、あの、その」
「さあさあ。その安っぽいお洋服を早く脱ごうね」
言い方が多少引っかかりましたが、僕は動揺していたのかすぐに服を脱いでしまいました。
「そしてこれだ」
安達さんは、僕のベッドの下から何やら箱を取り出しました。何かお菓子の箱のようですが、中でゴロンと重そうな音がしました。
「それは?」
「これでとりあえず、みっちゃんがいなくても私は寂しくなくなるんじゃないかと思ってね」
安達さんが得意げに取り出したのは、ビデオカメラでした。
「安達さん、僕、ちょっと意味が」
「ぽかん、と音がしそうな顔をしているね。はは、君のそういう勘の働かない鈍い阿呆なところも愛しているよ」
さっきから、安達さんの言い方にトゲがあるような気がしますが気のせいでしょうか。
「みっちゃん、さあ、挿れますよ」
「あっ、安達さん、ひやっ!冷たい!」
安達さんは僕の脚を思い切り開いて、ビデオを片手に、何か冷たくて硬いものを僕のお尻に入れたのです。
「ああそうだね、少し温めておいてあげるべきだった。まあ、仕方ないね、我慢なさい」
「やっ!安達さん、何を」
「さあさあもっと声を出したまえ。君の声も姿も、計16台のキャメラがしっかりと記憶しておいてくれるよ」
「16台?カメラ?」
そして安達さんは、何かのスイッチをカチッとしました。
「やあぁん!」
僕は思わず声をあげました。だって、お尻の中で何かがぶいーっと震え出したのです。
「ああ、どうしたものか。もう射精をしそうだよ私は。我ながら全く、みっちゃんのこととなると我慢のきかない体だ」
「やあぁ!抜いて、取ってぇ、安達さん!」
「おほほ、涙目だねみっちゃん。ああ、はぁ、はぁ、いいね、最高です」
気持ちいいのかくすぐったいのかわからないような感覚の中で目を開けると、安達さんは自分のペニスをこすりながらカメラで僕を撮っています。
「やっ、恥ずかしい…やぁ…あだちさん、止めてください…」
「はあ、そう、それそれ、もっと嫌がって。恥ずかしい顔を見せてご覧、はぁはぁはぁ、みっちゃん、いいよ」
「取ってぇ…」
僕が自分の穴に手を伸ばすと、安達さんに手の甲をぺちんと叩かれました。
「こら。お行儀がなっていないね」
「お行儀?」
こんな脚をおっ広げたような体勢をさせている人の言葉ではありません。
「私の許しがあるまで取ってはいけません」
「撮らないでください…」
「そう。取らない」
「違う、あの、カメラをっ、ぁんっ」
「ああ、キャメラかい?これが嫌なの?」
「だって…恥ずかしいです…っくぅ」
お尻がむずむずして、なんだかもう我慢が出来なくなりそうで、股を閉じてクネクネしてしまいました。
安達さんはそんな僕をうつくしい顔で見つめています。
「これをやめる…うーん、それはなかなか難しい相談だが…他のを3台止めるから、ハンディは残してもいいだろうか?」
「他の?3台?」
「あらあらみっちゃん、君、人の話はちゃんと聞きなさいね。さっき言っただろう。部屋中に15台のキャメラを隠してあるんだ」
「あっあっあっ安達さんのばかぁ!何してるんですか!人の家で!」
部屋に入った時の違和感はそれだったのかと合点がいきました。安達さんは眉をしかめています。
「随分な言い様だこと。フィアンセですよ私は」
「知りませんっ!」
「知らないとは穏やかでないね」
「知らないったら知らないっ!」
「怒ったの?みっちゃん。ああ、その顔もかわいいよ。ペニスを舐めてあげよう」
「あああ!いやぁっ!きちゃう、ああ!出ちゃう!」
僕は安達さんに舐められてすぐに射精してしまいました。
「うんっ…ふう…ご馳走さま」
「はあ…お粗末さま…です…」
「みっちゃんの精液は蜜の味だ。みっちゃんのミは、お蜜のミ~」
安達さんはうつくしい顔で歌いました。
「さて、名曲が生まれたところでいよいよ挿入だ」
「ああ!ダメですよぅ!」
「あ、そうだね、まだアレが入っているのだったね。みっちゃん、うーんってしてご覧」
「うーん?」
「お手洗いで力む時の様にだよ」
「うーん…」
「もっと力を入れて」
「う、うーん」
「あっ、頭が見えたぞ!頑張れみっちゃん!」
安達さんは僕の手を握ってカメラでそこを狙っています。
「さあ!頑張れ!もう少しで生まれる!」
「うーんっ」
「みっちゃん、ああ、頑張って、さあ、もう少し!私たちの愛の結晶が!」
「うーんうーん」
「頑張れ頑張れみっちゃん!そうだ、名前はどうする?!」
「うーん!うーん!」
「頭を見る限り色白だからシロたんにしよう!さあシロたんがもうすぐ出てくる!頑張れ!シロたんも『ママ頑張って』って言ってるぞ!」
「うーん!うーん!」
「いい!いいよ!どうしようもなく卑猥だ!」
「うーんうーん!うーん!」
「ひやあ!あっ!あ!出る、出る!」
「うーっん!」
「ああっ…」
何かと思えば、なぜか安達さんが射精していました。そして僕のお尻から出て来たものを見ると。
「これが…シロたん…」
「はあ、シロたんの出産、最高に卑猥な映像が16通り撮れたよみっちゃん、いや、シロたんママ」
シロたんは、コードがついたうずらの卵のようなものでした。
「シロたんは、ローターというんだよ」
「ローター」
「そう。コードの先のこのスイッチを入れると、このように」
「あっ、シロたんが動いた!」
「可愛いだろう、君が産んだんだよ、みっちゃん。よく頑張ったね。ありがとう」
「安達さん…」
僕はなんだか照れてしまいましたが、よく考えると僕たちは何をしているのだろうと少し暗くなりかけました。
「みっちゃん、愛しているよ」
でも、安達さんがうつくしい顔で僕に微笑むので、なんだかもう、他のことなどどうでも良くなってしまうのです。
でも今日は、ちょっとどうでも良くないことも幾つかあったような気がしました。
「安達さん」
「はい」
「カメラの画像は一体」
「私のコレクションが一気に増えたよ。ありがとう。これでもう、君が他の誰かとアバンチュールしていても、ぎりぎりのところで我慢ができるだろう」
「あの、そのことなんですけど、僕は、その…僕は、安達さんだけのものですから!」
恥ずかしくなってしまったので、安達さんの方を見ないようにして服を着ようとしました。
「みっちゃん。これをどうしてくれるのかな」
「はっ!それは!まさか!」
「みっちゃんがいじらしいことを言うものだから、もりもりと」
安達さんのペニスはまた勃起していたのです。
「みっちゃん。四つん這いになって」
「いやっ…ダメです…」
僕はなぜか、否定しながらそそくさと四つん這いになってしまったのでした。
「ああ。流石に疲れたね。みっちゃん、大丈夫かな」
「…はい……」
僕は少し眠くなって、安達さんの胸に頭をスリスリしました。
「おやすみ、みっちゃん。愛しいひと」
安達さんのうつくしい顔を間近で見ながら、僕は眠りについたのでした。
が、安達さんがなにか、飴玉のようなものを口の中でコロコロと転がしているような気がしました。
夕方、起きてから、安達さんが口に含んでいたのがコードを取ったシロたんだったと知って、僕は顔から火を吹いたのでした。
-end-
2014.5.1
英恵さまへ