佐々木くんの日記
○月○日
今日は野球部が休みで、斉木の靴袋が教室に置いてあった。
チャンス到来!
こっそり靴袋を部活に持っていくところを、まゆたんと松谷くんと藤木田さんに見られた。
まゆたんは「ついにやるの」と言って笑っていた。
松谷くんは「一歩間違ったら変態だね」と言っていた。
藤木田さんも笑っていた。
どうかご内密に、と言って3人と別れた。
あの3人、一時は関係がどうなるか心配だったけど、最近は仲が良くてよかった。
部活に行くと、部長がミシン先輩と学校祭の作品について相談していて、僕はそれを聞きながら、斉木の靴袋に使えそうな当て布を探した。
ちょうど良さそうなのが前見た時にあったはずで。やっぱりあった。
先輩たちが、何してるのと聞いてきたので説明すると、部長は笑っていた。
ミシン先輩は、真面目な顔で「気持ちわかる」と言ってくれた。
無事、綺麗に直せた。
かわいい小花柄のポケットでもつけてやろうかとも思ったけど、流石に怒られそうなのでやめた。
教室にそっと戻しておいた。
部活に戻ってからは学校祭用のリングを作ってみた。
部長はミサンガを編んでいた。
ミシン先輩はヒラヒラしたショートパンツを作っていた。
服を売るとか!いいなあ、かわいいなあ、女の子のものは。
先輩たちは本当にすごい。
上手だ。
帰り、峯に会った。
コンビニに行った後に素振りをしていたらしい。
公園で少し話した。
峯が「好きな人がいるんだけど」と話し始めた。
「その人の好きな人が俺のこと好きって言ってきて、どうしていいかわからない」と言った。
それは大変だし、辛いだろう。
って、今、思ったけど、あ、なんか性別がおかしなことに。あれ?
聞き間違えたのか。
真剣に聞いていたつもりが、申し訳ない。
僕も、みどりさんとは平和に友達になれたことを峯に話した。
峯には告白されたことを話していたから、よかったねと言ってくれた。
家に帰ってから、さゆに、「昨日斉木にホモって言われた」と言ったら、
「何それたぎる!くわしく!」
と叫び出して閉口した。
滾る、とか、あいつは難しい言い回しを知っている。
まゆたんのことがかわいくてそれを斉木に言っただけだと言ったら、
「あの小柄な感じの照れ屋さんな感じのちょっと小動物的な人?」
と聞かれたので、リスっぽくてかわいくない?と聞いた。
さゆは少し考えてから、
「お兄ちゃんはその人をよしよししてあげたい派?それともされたい派?」
と聞いてきた。
実際なでなでしてあげたことがあると言ったら、さゆはなんとかかんとかって叫んだけど、聞き取れなかった。
まゆたんのことを考えると癒されるなぁ。
そろそろ本腰入れて期末対策もしなければ。
効率良くやって、学校祭の作業も進めないと。
ストール作りは、みどりさんの家でやることになりそうだ。
◯月◯日
教室に入った途端、斉木に首を絞められた。
「お前どういうつもりだ」
と言われたので何がと聞いたら、
「スパイクの袋いじっただろ馬鹿!」
と言われてぐいぐい絞められた。
なんでそんなに怒るんだろうと思ったら、峯が横から、マネージャーに直してもらおうと思ってたらしいよ、と言ってきた。
やってしまった……!
とりあえず謝って、直した部分は手縫いだし元通りにできるよと言ったけど、そこまで性格悪くねえよと言って許してくれた。
やっぱり斉木はいいやつだ。
そしたら峯が、でも佐々木の技術って本当すごいねと言って、そばにいた松谷くんも、どこが破れてたかぱっと見ではわかんないね、と言って褒めてくれた。
まゆたんは今日、風邪で休みだった。
部活で、ガーゼを使って立体マスクを作った。
使い捨てマスクが主流だけど、やっぱり布のマスクの方が、つけた時に苦しくない気がする。保湿効果も絶対に上だ。
松谷くんに聞いて、帰りにまゆたんの家に寄ってマスクを渡した。
まゆたんはスウェットで出てきた。
「わざわざよかったのに」と言われたけど、思いついて作ったと言ったら、作ったの!と驚かれた。
「佐々木ってほんと、どこに向かってんの」
と言われた。
玄関先で話していたら、まゆたんのお母さんが出てきた。
桃をもらった。
まゆたんは「そんなのいらねえって」と言って恥ずかしそうにしていた。
僕はありがたくもらったけど。
それにしてもまゆたんはお母さん似だ。
小さくてかわいい。
ニコニコしたお母さんだった。
僕はどっち似だろう。
◯月◯日
きゃあ。ストールかわいい!
量産する!
教室で、こういう風に作るというイメージを制作班へ伝えた。
僕以外はみんな女子だけど。
明日、みどりさんの家に集まるかも。
部活では、学校祭で売る予定のペアリングを作ってみた。
石は淡い色同士で、地はシルバーの。
男子の方には革紐もつけることにした。リングはなかなかつけづらいから、ネックレスにもできるように。
なんとなく納得がいかないので、もう少し練りたい。
まゆたんは今日もお休み。心配だ。
◯月◯日
今日は土曜で休みだったので、みどりさんの家に集まってストール作りに励んだ。
ガールズトークが楽しすぎて、自分の性別を忘れるところだった。
実際、佐々木くんは男子って感じがしないと、1人に言われた。
そしたら別の女子が、
「失礼だし!佐々木くんすごいモテるのに!」
と言って、僕がそんなことはないと否定したら、みどりさんが、
「佐々木くんは自覚がないらしいけど結構モテる。でも変わってるしちょっと変態も入ってる」
と爆弾発言を。
変態とは。
どこでそう感じたのかぜひ聞きたかったけど、今日思ったのが、女子が集まると、口を挟むのが結構大変だということ。
女子の方が頭の回転が早いのだろうか。
なにか、神経とか、構造の違いがあるのかな。
もしここにまゆたんがいたら、一言も話せずに終わるのではないかと思った。
それから話題はうちのクラスの男子のことへ。
斉木はうるさいけど運動神経がいいのが評価されているようだ。
でも下ネタが多いのが、かなりマイナスポイント。
峯は、優しいから、大人しい性格の女子に人気があるみたい。
相手によって態度が変わったりしないし、僕もそういうところ、尊敬する。
まゆたんは、驚くことに、女子にはあんまり意識されていないらしい。
みんなが口を揃えて「普通」と言っていた。
あんなにかわいいのに!驚く。
そもそも話したことがないと言っている女子もいて、確かにまゆたんは人見知りだから、そういう面では損をしているのかもしれない。
それから、やっぱり人気があるのは松谷くんだ。
背が高いし、勉強もできるし、授業中だけ眼鏡というのもいいみたい(これは僕にはよくわからなかった)。
藤木田さんと付き合っているから、あからさまに好きだという人はいないらしいけど。
藤木田さんが孤立していたことも、やっぱり松谷くんが解決したらしい。
松谷くん、素敵。
でも、今でもまだ藤木田さんを快く思わない人もいるらしくて、僕は少し心配になってしまった。
なんかツンツンしてて感じ悪い、と言った人もいた。
そうかなあ。僕はそう思わない。
いろんな人がいるんだから、仲良くしなくてもいいから適度な距離で付き合えたらいい。
せっかく同じクラスになったんだから。
僕に好きな人がいるかどうか、みんな聞きたがったけど、僕は正直にいないと言った。
そこで話が盛り下がってしまったので、お詫びに数学の先生の真似をした。
みんなすごく笑ってくれた。
先生ありがとう。
夜は期末の準備を始めた。
妥当大野くんで頑張ろう。
今日は野球部が休みで、斉木の靴袋が教室に置いてあった。
チャンス到来!
こっそり靴袋を部活に持っていくところを、まゆたんと松谷くんと藤木田さんに見られた。
まゆたんは「ついにやるの」と言って笑っていた。
松谷くんは「一歩間違ったら変態だね」と言っていた。
藤木田さんも笑っていた。
どうかご内密に、と言って3人と別れた。
あの3人、一時は関係がどうなるか心配だったけど、最近は仲が良くてよかった。
部活に行くと、部長がミシン先輩と学校祭の作品について相談していて、僕はそれを聞きながら、斉木の靴袋に使えそうな当て布を探した。
ちょうど良さそうなのが前見た時にあったはずで。やっぱりあった。
先輩たちが、何してるのと聞いてきたので説明すると、部長は笑っていた。
ミシン先輩は、真面目な顔で「気持ちわかる」と言ってくれた。
無事、綺麗に直せた。
かわいい小花柄のポケットでもつけてやろうかとも思ったけど、流石に怒られそうなのでやめた。
教室にそっと戻しておいた。
部活に戻ってからは学校祭用のリングを作ってみた。
部長はミサンガを編んでいた。
ミシン先輩はヒラヒラしたショートパンツを作っていた。
服を売るとか!いいなあ、かわいいなあ、女の子のものは。
先輩たちは本当にすごい。
上手だ。
帰り、峯に会った。
コンビニに行った後に素振りをしていたらしい。
公園で少し話した。
峯が「好きな人がいるんだけど」と話し始めた。
「その人の好きな人が俺のこと好きって言ってきて、どうしていいかわからない」と言った。
それは大変だし、辛いだろう。
って、今、思ったけど、あ、なんか性別がおかしなことに。あれ?
聞き間違えたのか。
真剣に聞いていたつもりが、申し訳ない。
僕も、みどりさんとは平和に友達になれたことを峯に話した。
峯には告白されたことを話していたから、よかったねと言ってくれた。
家に帰ってから、さゆに、「昨日斉木にホモって言われた」と言ったら、
「何それたぎる!くわしく!」
と叫び出して閉口した。
滾る、とか、あいつは難しい言い回しを知っている。
まゆたんのことがかわいくてそれを斉木に言っただけだと言ったら、
「あの小柄な感じの照れ屋さんな感じのちょっと小動物的な人?」
と聞かれたので、リスっぽくてかわいくない?と聞いた。
さゆは少し考えてから、
「お兄ちゃんはその人をよしよししてあげたい派?それともされたい派?」
と聞いてきた。
実際なでなでしてあげたことがあると言ったら、さゆはなんとかかんとかって叫んだけど、聞き取れなかった。
まゆたんのことを考えると癒されるなぁ。
そろそろ本腰入れて期末対策もしなければ。
効率良くやって、学校祭の作業も進めないと。
ストール作りは、みどりさんの家でやることになりそうだ。
◯月◯日
教室に入った途端、斉木に首を絞められた。
「お前どういうつもりだ」
と言われたので何がと聞いたら、
「スパイクの袋いじっただろ馬鹿!」
と言われてぐいぐい絞められた。
なんでそんなに怒るんだろうと思ったら、峯が横から、マネージャーに直してもらおうと思ってたらしいよ、と言ってきた。
やってしまった……!
とりあえず謝って、直した部分は手縫いだし元通りにできるよと言ったけど、そこまで性格悪くねえよと言って許してくれた。
やっぱり斉木はいいやつだ。
そしたら峯が、でも佐々木の技術って本当すごいねと言って、そばにいた松谷くんも、どこが破れてたかぱっと見ではわかんないね、と言って褒めてくれた。
まゆたんは今日、風邪で休みだった。
部活で、ガーゼを使って立体マスクを作った。
使い捨てマスクが主流だけど、やっぱり布のマスクの方が、つけた時に苦しくない気がする。保湿効果も絶対に上だ。
松谷くんに聞いて、帰りにまゆたんの家に寄ってマスクを渡した。
まゆたんはスウェットで出てきた。
「わざわざよかったのに」と言われたけど、思いついて作ったと言ったら、作ったの!と驚かれた。
「佐々木ってほんと、どこに向かってんの」
と言われた。
玄関先で話していたら、まゆたんのお母さんが出てきた。
桃をもらった。
まゆたんは「そんなのいらねえって」と言って恥ずかしそうにしていた。
僕はありがたくもらったけど。
それにしてもまゆたんはお母さん似だ。
小さくてかわいい。
ニコニコしたお母さんだった。
僕はどっち似だろう。
◯月◯日
きゃあ。ストールかわいい!
量産する!
教室で、こういう風に作るというイメージを制作班へ伝えた。
僕以外はみんな女子だけど。
明日、みどりさんの家に集まるかも。
部活では、学校祭で売る予定のペアリングを作ってみた。
石は淡い色同士で、地はシルバーの。
男子の方には革紐もつけることにした。リングはなかなかつけづらいから、ネックレスにもできるように。
なんとなく納得がいかないので、もう少し練りたい。
まゆたんは今日もお休み。心配だ。
◯月◯日
今日は土曜で休みだったので、みどりさんの家に集まってストール作りに励んだ。
ガールズトークが楽しすぎて、自分の性別を忘れるところだった。
実際、佐々木くんは男子って感じがしないと、1人に言われた。
そしたら別の女子が、
「失礼だし!佐々木くんすごいモテるのに!」
と言って、僕がそんなことはないと否定したら、みどりさんが、
「佐々木くんは自覚がないらしいけど結構モテる。でも変わってるしちょっと変態も入ってる」
と爆弾発言を。
変態とは。
どこでそう感じたのかぜひ聞きたかったけど、今日思ったのが、女子が集まると、口を挟むのが結構大変だということ。
女子の方が頭の回転が早いのだろうか。
なにか、神経とか、構造の違いがあるのかな。
もしここにまゆたんがいたら、一言も話せずに終わるのではないかと思った。
それから話題はうちのクラスの男子のことへ。
斉木はうるさいけど運動神経がいいのが評価されているようだ。
でも下ネタが多いのが、かなりマイナスポイント。
峯は、優しいから、大人しい性格の女子に人気があるみたい。
相手によって態度が変わったりしないし、僕もそういうところ、尊敬する。
まゆたんは、驚くことに、女子にはあんまり意識されていないらしい。
みんなが口を揃えて「普通」と言っていた。
あんなにかわいいのに!驚く。
そもそも話したことがないと言っている女子もいて、確かにまゆたんは人見知りだから、そういう面では損をしているのかもしれない。
それから、やっぱり人気があるのは松谷くんだ。
背が高いし、勉強もできるし、授業中だけ眼鏡というのもいいみたい(これは僕にはよくわからなかった)。
藤木田さんと付き合っているから、あからさまに好きだという人はいないらしいけど。
藤木田さんが孤立していたことも、やっぱり松谷くんが解決したらしい。
松谷くん、素敵。
でも、今でもまだ藤木田さんを快く思わない人もいるらしくて、僕は少し心配になってしまった。
なんかツンツンしてて感じ悪い、と言った人もいた。
そうかなあ。僕はそう思わない。
いろんな人がいるんだから、仲良くしなくてもいいから適度な距離で付き合えたらいい。
せっかく同じクラスになったんだから。
僕に好きな人がいるかどうか、みんな聞きたがったけど、僕は正直にいないと言った。
そこで話が盛り下がってしまったので、お詫びに数学の先生の真似をした。
みんなすごく笑ってくれた。
先生ありがとう。
夜は期末の準備を始めた。
妥当大野くんで頑張ろう。