大きな声では言わないけど
彰人と広樹と素股
機嫌が悪い。そこらじゅうのものに八つ当たりしそうになる。
手始めに玉ねぎのみじん切りをしてみると、いつもよりえらく細かくなった。ほぼピューレだ。
それでもおさまらないので、輪切りにしてドレッシングで食べようと思っていたきゅうりを丸かじりした。
「パキッじゃねーんだよ」
もごもご呟きながら、イライラの原因について考える。
全ては広樹が原因だ。
広樹がかわいいのが悪いのだ。
あいつのあの生まれつきの、小動物の赤ちゃんみたいな顔と、小柄でちょっとなで肩な庇護欲をかきたてる体つきが悪い。
感情豊かですぐ笑うし、その笑顔が子どもみたいで、基本的に優しいから困ってるやつをほっとけないようなお節介なところもあって、あの顔で「どうしたの?」などと聞かれれば誰でも少し安心してしまうに違いない。
「腹立つ…」
窓の外は暗い気持ちを更に重くするような曇天だ。
きゅうりはみずみずしくてうまい。
広樹の太ももが好きだ、俺は。白くてふわふわぷにぷにしててすべすべで。
手も俺よりずっと小さくて。
かわいい。あいつは全体的にとにかくかわいい。それが悪い。
「腹立つ!」
きゅうりはうまい。
玄関のドアが開く音がする。
「あっくーん!来たよぉ」
当の本人がやって来た。
「急に『とにかくうちに来い』だなんて珍しいからうれしくてすぐ家出て来たぁ」
にこにこと俺に近づいてくる広樹を、食いかけのきゅうりを置いてから抱きしめる。
「お昼ごはん?きゅうり?丸かじり?」
楽しそうに言い、ふんわりと抱き返してくる広樹にムラムラが止まらない。
「オムライス作ろうと思ってたけどやめた」
「やめたの?俺おなかすいた。コンビニ行く?」
「そんな暇はねえ」
「時間ないの?」
「ねえよ」
誰のせいでこんなことになってると思ってる。
完全に嫉妬からのやつあたりなのは自覚しているけれど本人に会っても苛立ちは治らない。
「お前、誰のものだか自覚あんの?」
「ん?」
「ちょっと来いよ」
料理してる場合では全然ない。メシもいらない。広樹を抱きたい。
ベッドの脇の壁に広樹の小さな体を押し付けて上から睨みつける。
「怒ってるの?」
小さい声で聞く広樹はとても不安そうな顔をしていて、途端に愛しさがこみ上げて来たので非常に優しくキスをしてしまった。
「んん…」
「怒ってるよ俺は」
「なんで…?」
なんでだと。
「お前のせいだからな」
お前がかわいいのが悪いんだ。
広樹の体をすくってベッドの上に投げつけるようにおろす。
「おわっ」
「お前男の部屋に泊まったんだって?2人で一晩過ごしたのかよ。どういうつもりだ?言い訳は聞かねえからな。創樹から聞いた」
「違う、何もしてない、遊んだだけ」
一瞬広樹の瞳が揺れた。それを見て怒りが強まる。
「は?じゃあお前は俺が女の家に泊まってなんもしてねえっつったらはいそうですかって納得すんのか?しねえだろ?ふざけんなよ殴るぞ」
いかん。怖がらせている。でも止まらなかった。上から手を押さえつけて脚の間に膝を入れる。広樹は内股になって少し抵抗した。
「やぁん…」
「お前は、俺のもんだ」
腹の底から声が出た。広樹がぎゅっと目を瞑り、俺はほとんど噛みつくようにしてキスをした。
正常位と、バックと、立ちバックで3回出した。広樹が何回イったかは知らん。
怒りのせいなのか何なのか、まだいける気がしたのでうつ伏せにした広樹に覆い被さって4回目だ。
汗だくだし、ベッドはどっちのなんだかわからない体液だらけだ。
「あっ、んんっ、いいよぉ、イくっ、また出る、ああっ」
広樹がかすれ気味の声を出した。
こいつもこいつで限界が無いのか。今に始まったことではないけれど恋人の性欲の強さが怖い。耳元で笑ってしまった。
「なんで笑うの…?」
「ふ、いや……」
抱く腕に力がこもる。
「…かわいいなと思って」
「あぁんっ」
「なあ。俺んだろ?」
「あっくんの…あっくんのだよ……」
「ふざけんなよ…」
肩口をやわやわと噛む。
「まじでいらつくからもう二度とすんな」
「ごめんなさい」
後ろから手を回して広樹のを握る。
「あっ、きゃぁんっ」
「お前元気だな」
「だって、あっくんだもん…っんん」
「俺に抱かれて嬉しい?」
「うれしい」
ずっとこうしててほしい、と言ってうっとりと目を閉じるので、自分がイく前に丁寧に扱いてちゃんと出してやった。
ほんとに。かわいい。
重い体を起こすと、もう部屋が真っ暗になっていた。
手探りで携帯を探す。20時過ぎだ。
腕の中で広樹が身じろぎする。体がべたべたした。シャワー。の前に。
枕元の明かりをつけてから、広樹の体を仰向けにしてその上にのしかかり、乳首に舌を這わせた。
「あっくん……?」
「やらせろ」
「あ、あっく、待って」
「うるせえ」
「あっくん、あの、」
「何だよ」
「あのね……おしりがちょっと……」
ちょっとひりひりして、と言いづらそうにする広樹を見て若干冷静さを取り戻す。
「あー……悪い」
「いいの、すごく嬉しいよ、俺愛されてるって感じ…えへへ…だからね、ここ、使う?」
広樹は自分の太ももの間に手を挟んだ。
「あっくんのおちんちん、ここにはさみたいの……うふふ」
上目遣いの恋人が、白い太ももが、俺を呼んでいる。
息荒く抱きつくと、広樹は「あぁんっ」と高い声で喘ぎながら体をくねらせた。
耳から首筋、肩にめちゃくちゃに吸い付いて、そのふわっとした髪の毛を鷲掴みにする。
いつもの、シャンプーかなにかの匂いがする。一度だけ深く深呼吸した。
「あっ、あん、あっくん…」
「好き?」
「好き…大好き…っ」
「うしろ向けよ」
うん、と呟いて素直に体勢を入れ替えた広樹をうしろからまた抱きしめて、腰を押し付けた。
なんだって今日はこんなに元気なのだろう。おかしい。
閉じられたすべすべの太ももの間に手を入れ、ローションを塗りたくる。
「あぁっ、や、濡れちゃうぅ、んん!」
広樹が甘えた声を出す。
「濡らしてやってんだろうが…じっとしろよ」
「やあぁん」
「…勃ってんじゃねえか」
太ももから前に手を回すと、勃ち上がったものに触れた。そこにもローションを塗り込み、クチュクチュと扱く。
「あっ、あんっあっくんっ、きもちぃ」
「えろ…」
「あっくんも、ねぇ、おちんちんはさんでぇ」
うつ伏せの広樹に跨り、きゅっと締まったケツの割れ目に先っぽを擦り付ける。
「ああっん、んっ」
ヤりすぎて違和感があるからか、広樹はちょっと本気で心配そうにももをこすりあわせた。
そのまま太ももの間に挿入していくと、ぬるぬる滑って気持ちがいい。
「っ、」
「ああっ!はいってくるぅ、あっくんの、やぁっ、かたいぃ」
腹を広樹の背中に密着させて腰だけを上下させる。
「すげえ…挿れてるみてえ」
「あぅっ、んんっ、あっくんのえっちぃ」
んふ、と満足そうな顔をする広樹に、何か忘れていたような気がして腰が止まった。
「あっくん?」
そうだ。
元はと言えばこいつが他の男と。
「ちょっと立てよ」
姿見の正面に立たせ、至近距離で自分の顔と向き合わせる。
その体勢で後ろから太ももに挟み込んだ。
「あっ、や、」
「素股ごときでどんな恥ずかしい顔して喘いでるか、自分で見てみろ」
やだ、と言う広樹が本当に少し嫌そうで、屈折した欲が少し満たされる。
「恥ずかしいの?」
「んっ、ん…あっくんの顔、見たい…っあ」
「鏡見ろって」
「や、いやぁっ、あっくんのおちんちん、先っぽ、見える、あっ」
自分の股から俺のが見えるのに興奮しているらしい。
「やらしい、っ、えっち!」
壁に手をつき、思いきり背をそらせたその首を支えてキスをする。広樹の口からはくぐもった高い喘ぎ声が漏れた。唾液を飲ませるように上を向かせ、舌で口内を蹂躙しながら腰をぶつける。下からもぬちぬちと音がしていた。
「あっくんっ!きゃあっ、あっ!」
「っん、…まじで…イきそ」
「やぁん!」
広樹の体を鏡に押し付けてめちゃくちゃに腰を振ると、鏡がガタガタと大きな音を立てた。
腰を支えていた手を乳首に回し、強めになぶる。
「やっ!いっ、あっあっ、おっぱい、あっ、だめ、あっくんイ、イっちゃうぅ!」
「出るっ」
「やあああっ!」
出す瞬間に少し腰が引けて、俺の精液は広樹のタマの裏やももの内側にかかった。
興奮がおさまらず、広樹をこっちに向かせて鏡に押しつけ、跪き、広樹のを口に含む。
「あっく!んんっ!あっ、イく、でちゃ、うっ!」
思いきり吸った。
「んやぁぁん!」
やばい。強く吸いすぎた。多分ちょっと痛かっただろうと思うが、広樹は無事に俺の口に精を吐き出した。
「はぁっ、あっくん…ああ、ん…」
倒れこむように床に腰を落とした広樹はぐったりしていて、下半身を俺の精液で汚している。
さすがにもうかわいそうな気がしたが、それも一瞬だった。
床に押し倒して両手を押さえ、唇を塞ぎ、口内に残る広樹の体液を注ぎ込む。
「んぐっ」
「飲んで…」
「む、んっ」
苦しそうに、それでも懸命に飲み込もうとする広樹がかわいくてまた昂ぶる。
「脚閉じて」
「ん、やぁ…」
やぁ、と言いながら素直に閉じられた股に跨って突っ込んだ。
「はぁ、っ、広樹…」
自分の体液で濡れて冷えたそこが、また熱くなるのを感じる。
「あっくん…あぁ……抱いて…」
こんなにめちゃくちゃに抱かれた後に。
広樹の頭の下に腕を回してやり、「あと一回だけ」と囁くと、「うん」と笑う。
誰にも、絶対に渡さない。
*
「約束のブツだ」
「ほう。いいものだな」
「手に入れるのに苦労した…大事にしてよね…」
ほくそ笑む創樹の手には、お嬢様学校として有名な女子校の制服が一揃い。
「ほんとに大事にしてよね!そこそこおっきい男でも入るサイズの女子用制服とか!自分の彼氏の体格考えて!」
「うるせーよ、彰人のヤキモチ誘うために俺が友人を駆使してやったんだ、感謝しろ。これくらい当然の報酬だ」
「ぐぬぬぅ」
「友達の家で一晩中ゲームしてただけのくせに。しかもそいつの彼女と3人で和気あいあいと。彰人が知ったらどうなるだろうな。ハー、心底どうでもいいけど」
あっはっは、と高らかに笑いながら、創樹は自分の部屋に戻って行った。
「あっくんに知られるわけにはいかないもんね…仕方ない…必要経費だ…」
それに、あの日のあっくんは最高だった。
ありがたい。ありがたすぎる。
いつもあのくらい抱いてくれてもいいのになぁ。
それを思うと、なっつ用の制服だって安いものだったと思えなくもない。
弟カップルの趣味は別として。
-end-
2017.10.11
機嫌が悪い。そこらじゅうのものに八つ当たりしそうになる。
手始めに玉ねぎのみじん切りをしてみると、いつもよりえらく細かくなった。ほぼピューレだ。
それでもおさまらないので、輪切りにしてドレッシングで食べようと思っていたきゅうりを丸かじりした。
「パキッじゃねーんだよ」
もごもご呟きながら、イライラの原因について考える。
全ては広樹が原因だ。
広樹がかわいいのが悪いのだ。
あいつのあの生まれつきの、小動物の赤ちゃんみたいな顔と、小柄でちょっとなで肩な庇護欲をかきたてる体つきが悪い。
感情豊かですぐ笑うし、その笑顔が子どもみたいで、基本的に優しいから困ってるやつをほっとけないようなお節介なところもあって、あの顔で「どうしたの?」などと聞かれれば誰でも少し安心してしまうに違いない。
「腹立つ…」
窓の外は暗い気持ちを更に重くするような曇天だ。
きゅうりはみずみずしくてうまい。
広樹の太ももが好きだ、俺は。白くてふわふわぷにぷにしててすべすべで。
手も俺よりずっと小さくて。
かわいい。あいつは全体的にとにかくかわいい。それが悪い。
「腹立つ!」
きゅうりはうまい。
玄関のドアが開く音がする。
「あっくーん!来たよぉ」
当の本人がやって来た。
「急に『とにかくうちに来い』だなんて珍しいからうれしくてすぐ家出て来たぁ」
にこにこと俺に近づいてくる広樹を、食いかけのきゅうりを置いてから抱きしめる。
「お昼ごはん?きゅうり?丸かじり?」
楽しそうに言い、ふんわりと抱き返してくる広樹にムラムラが止まらない。
「オムライス作ろうと思ってたけどやめた」
「やめたの?俺おなかすいた。コンビニ行く?」
「そんな暇はねえ」
「時間ないの?」
「ねえよ」
誰のせいでこんなことになってると思ってる。
完全に嫉妬からのやつあたりなのは自覚しているけれど本人に会っても苛立ちは治らない。
「お前、誰のものだか自覚あんの?」
「ん?」
「ちょっと来いよ」
料理してる場合では全然ない。メシもいらない。広樹を抱きたい。
ベッドの脇の壁に広樹の小さな体を押し付けて上から睨みつける。
「怒ってるの?」
小さい声で聞く広樹はとても不安そうな顔をしていて、途端に愛しさがこみ上げて来たので非常に優しくキスをしてしまった。
「んん…」
「怒ってるよ俺は」
「なんで…?」
なんでだと。
「お前のせいだからな」
お前がかわいいのが悪いんだ。
広樹の体をすくってベッドの上に投げつけるようにおろす。
「おわっ」
「お前男の部屋に泊まったんだって?2人で一晩過ごしたのかよ。どういうつもりだ?言い訳は聞かねえからな。創樹から聞いた」
「違う、何もしてない、遊んだだけ」
一瞬広樹の瞳が揺れた。それを見て怒りが強まる。
「は?じゃあお前は俺が女の家に泊まってなんもしてねえっつったらはいそうですかって納得すんのか?しねえだろ?ふざけんなよ殴るぞ」
いかん。怖がらせている。でも止まらなかった。上から手を押さえつけて脚の間に膝を入れる。広樹は内股になって少し抵抗した。
「やぁん…」
「お前は、俺のもんだ」
腹の底から声が出た。広樹がぎゅっと目を瞑り、俺はほとんど噛みつくようにしてキスをした。
正常位と、バックと、立ちバックで3回出した。広樹が何回イったかは知らん。
怒りのせいなのか何なのか、まだいける気がしたのでうつ伏せにした広樹に覆い被さって4回目だ。
汗だくだし、ベッドはどっちのなんだかわからない体液だらけだ。
「あっ、んんっ、いいよぉ、イくっ、また出る、ああっ」
広樹がかすれ気味の声を出した。
こいつもこいつで限界が無いのか。今に始まったことではないけれど恋人の性欲の強さが怖い。耳元で笑ってしまった。
「なんで笑うの…?」
「ふ、いや……」
抱く腕に力がこもる。
「…かわいいなと思って」
「あぁんっ」
「なあ。俺んだろ?」
「あっくんの…あっくんのだよ……」
「ふざけんなよ…」
肩口をやわやわと噛む。
「まじでいらつくからもう二度とすんな」
「ごめんなさい」
後ろから手を回して広樹のを握る。
「あっ、きゃぁんっ」
「お前元気だな」
「だって、あっくんだもん…っんん」
「俺に抱かれて嬉しい?」
「うれしい」
ずっとこうしててほしい、と言ってうっとりと目を閉じるので、自分がイく前に丁寧に扱いてちゃんと出してやった。
ほんとに。かわいい。
重い体を起こすと、もう部屋が真っ暗になっていた。
手探りで携帯を探す。20時過ぎだ。
腕の中で広樹が身じろぎする。体がべたべたした。シャワー。の前に。
枕元の明かりをつけてから、広樹の体を仰向けにしてその上にのしかかり、乳首に舌を這わせた。
「あっくん……?」
「やらせろ」
「あ、あっく、待って」
「うるせえ」
「あっくん、あの、」
「何だよ」
「あのね……おしりがちょっと……」
ちょっとひりひりして、と言いづらそうにする広樹を見て若干冷静さを取り戻す。
「あー……悪い」
「いいの、すごく嬉しいよ、俺愛されてるって感じ…えへへ…だからね、ここ、使う?」
広樹は自分の太ももの間に手を挟んだ。
「あっくんのおちんちん、ここにはさみたいの……うふふ」
上目遣いの恋人が、白い太ももが、俺を呼んでいる。
息荒く抱きつくと、広樹は「あぁんっ」と高い声で喘ぎながら体をくねらせた。
耳から首筋、肩にめちゃくちゃに吸い付いて、そのふわっとした髪の毛を鷲掴みにする。
いつもの、シャンプーかなにかの匂いがする。一度だけ深く深呼吸した。
「あっ、あん、あっくん…」
「好き?」
「好き…大好き…っ」
「うしろ向けよ」
うん、と呟いて素直に体勢を入れ替えた広樹をうしろからまた抱きしめて、腰を押し付けた。
なんだって今日はこんなに元気なのだろう。おかしい。
閉じられたすべすべの太ももの間に手を入れ、ローションを塗りたくる。
「あぁっ、や、濡れちゃうぅ、んん!」
広樹が甘えた声を出す。
「濡らしてやってんだろうが…じっとしろよ」
「やあぁん」
「…勃ってんじゃねえか」
太ももから前に手を回すと、勃ち上がったものに触れた。そこにもローションを塗り込み、クチュクチュと扱く。
「あっ、あんっあっくんっ、きもちぃ」
「えろ…」
「あっくんも、ねぇ、おちんちんはさんでぇ」
うつ伏せの広樹に跨り、きゅっと締まったケツの割れ目に先っぽを擦り付ける。
「ああっん、んっ」
ヤりすぎて違和感があるからか、広樹はちょっと本気で心配そうにももをこすりあわせた。
そのまま太ももの間に挿入していくと、ぬるぬる滑って気持ちがいい。
「っ、」
「ああっ!はいってくるぅ、あっくんの、やぁっ、かたいぃ」
腹を広樹の背中に密着させて腰だけを上下させる。
「すげえ…挿れてるみてえ」
「あぅっ、んんっ、あっくんのえっちぃ」
んふ、と満足そうな顔をする広樹に、何か忘れていたような気がして腰が止まった。
「あっくん?」
そうだ。
元はと言えばこいつが他の男と。
「ちょっと立てよ」
姿見の正面に立たせ、至近距離で自分の顔と向き合わせる。
その体勢で後ろから太ももに挟み込んだ。
「あっ、や、」
「素股ごときでどんな恥ずかしい顔して喘いでるか、自分で見てみろ」
やだ、と言う広樹が本当に少し嫌そうで、屈折した欲が少し満たされる。
「恥ずかしいの?」
「んっ、ん…あっくんの顔、見たい…っあ」
「鏡見ろって」
「や、いやぁっ、あっくんのおちんちん、先っぽ、見える、あっ」
自分の股から俺のが見えるのに興奮しているらしい。
「やらしい、っ、えっち!」
壁に手をつき、思いきり背をそらせたその首を支えてキスをする。広樹の口からはくぐもった高い喘ぎ声が漏れた。唾液を飲ませるように上を向かせ、舌で口内を蹂躙しながら腰をぶつける。下からもぬちぬちと音がしていた。
「あっくんっ!きゃあっ、あっ!」
「っん、…まじで…イきそ」
「やぁん!」
広樹の体を鏡に押し付けてめちゃくちゃに腰を振ると、鏡がガタガタと大きな音を立てた。
腰を支えていた手を乳首に回し、強めになぶる。
「やっ!いっ、あっあっ、おっぱい、あっ、だめ、あっくんイ、イっちゃうぅ!」
「出るっ」
「やあああっ!」
出す瞬間に少し腰が引けて、俺の精液は広樹のタマの裏やももの内側にかかった。
興奮がおさまらず、広樹をこっちに向かせて鏡に押しつけ、跪き、広樹のを口に含む。
「あっく!んんっ!あっ、イく、でちゃ、うっ!」
思いきり吸った。
「んやぁぁん!」
やばい。強く吸いすぎた。多分ちょっと痛かっただろうと思うが、広樹は無事に俺の口に精を吐き出した。
「はぁっ、あっくん…ああ、ん…」
倒れこむように床に腰を落とした広樹はぐったりしていて、下半身を俺の精液で汚している。
さすがにもうかわいそうな気がしたが、それも一瞬だった。
床に押し倒して両手を押さえ、唇を塞ぎ、口内に残る広樹の体液を注ぎ込む。
「んぐっ」
「飲んで…」
「む、んっ」
苦しそうに、それでも懸命に飲み込もうとする広樹がかわいくてまた昂ぶる。
「脚閉じて」
「ん、やぁ…」
やぁ、と言いながら素直に閉じられた股に跨って突っ込んだ。
「はぁ、っ、広樹…」
自分の体液で濡れて冷えたそこが、また熱くなるのを感じる。
「あっくん…あぁ……抱いて…」
こんなにめちゃくちゃに抱かれた後に。
広樹の頭の下に腕を回してやり、「あと一回だけ」と囁くと、「うん」と笑う。
誰にも、絶対に渡さない。
*
「約束のブツだ」
「ほう。いいものだな」
「手に入れるのに苦労した…大事にしてよね…」
ほくそ笑む創樹の手には、お嬢様学校として有名な女子校の制服が一揃い。
「ほんとに大事にしてよね!そこそこおっきい男でも入るサイズの女子用制服とか!自分の彼氏の体格考えて!」
「うるせーよ、彰人のヤキモチ誘うために俺が友人を駆使してやったんだ、感謝しろ。これくらい当然の報酬だ」
「ぐぬぬぅ」
「友達の家で一晩中ゲームしてただけのくせに。しかもそいつの彼女と3人で和気あいあいと。彰人が知ったらどうなるだろうな。ハー、心底どうでもいいけど」
あっはっは、と高らかに笑いながら、創樹は自分の部屋に戻って行った。
「あっくんに知られるわけにはいかないもんね…仕方ない…必要経費だ…」
それに、あの日のあっくんは最高だった。
ありがたい。ありがたすぎる。
いつもあのくらい抱いてくれてもいいのになぁ。
それを思うと、なっつ用の制服だって安いものだったと思えなくもない。
弟カップルの趣味は別として。
-end-
2017.10.11