大きな声では言わないけど
番外 森田と岡崎24 同じ匂い
TシャツTシャツ。
最近気に入って買ったTシャツが見当たらない。
「えー?どこー」
森田さんちの、和室の方の窓を全開にしてたら寒くて速攻閉めた。
もう秋。すげー秋です。
そんなことよりTシャツ。寒いっつってんのにTシャツが見つからないから半裸だ。
「えーまじ寒いから勘弁しろー、おーいTシャツどこ」
あの日、確かに先週自分の家から持って来て、森田さんちで着て。
「洗濯した…よねー…」
あの日は休みで、次の日仕事で。
昼ごろに起きて洗濯して、干して、仕事に行って。
「取り込んだのだれ?俺?」
洗濯カゴにはなかった。自分の荷物を置かせてもらってるとこにもない。
森田さんは几帳面だから、物を無くすってことがまずない。
俺もそんな無くす方じゃないけど、森田さんじゃないとしたら犯人は俺しかいない。
「まじか…」
昨日自分ちに寄った時に服を置いてきたから、あれがないと、いや待てよ。
これ、森田さんの服借りるっていうなんかそういうちょっとやってみたいあれじゃない?
帰って来た森田さんが俺を見て固まるところを想像して楽しくなった。
森田さんのタンスを漁りたい。
和室の押し入れを開けて、森田さんが服をしまってるプラケースを引き出した。
「うわー森田さんが着てる服ばっかり」
当たり前の事実にちょっと興奮する。
森田さんはいつも自分で服をしまうから、開けて見るのは初めてだった。
綺麗に畳まれて大人しく整列してる。
全部森田さんみたい。
ちょっと衝動に負けて、服の中にそっと顔を埋めた。森田さんちの匂い。ああ。好きな人の匂い。
「はー変態じゃね、ふつーに引くよね自分に」
ちょっとニヤけた顔を必死で取り繕いながら引き出しを閉めようとしたその時、見覚えのある柄が目に入って手を止めた。
探してたTシャツがそこにいた。
何をお前は。「自分、森田さんのものです」みたいな顔をして。
森田さんが間違えてしまいこんだらしい。珍しいこともある。
引っ張り出してすぐにそれを着た。
途端に、そばに森田さんがいるような気になって安心する。
今日は出かけようと思ってたけど、やめよう。
森田さんが帰るまで、創樹に借りた漫画でも読もう。
この匂いを嗅ぎながら。
会いたい。
朝会った。つーか、深夜俺の仕事が終わってから日の出の頃までずっとヤってた。
そんでちょっとだけ寝て、森田さんは仕事に行った。
お互いにどこからあんなスタミナが出てくるのかわからない。
途中で、森田さん朝から仕事なのにって言うと、岡崎さんはこんなに細いのに、って腰をそっと撫でられた。
俺の体はそうされただけで簡単に再燃してしまう。
森田さんは元々結構体力があるっぽい。
「してもしても、足りない、って、思う時が、ある」
3回目か4回目でもう声が掠れかけてた俺の首に優しくキスをしながら、森田さんは言った。
「今も、そう」
思い出すとちょっと、やばい。
会いたい。早く、帰って来て。
俺をただいまって抱きしめて、そしたら森田さんは、俺から自分の匂いがすることに気づくだろうか。
今度から、同じ場所に服をしまわせてもらおう。
今日も、俺の写真にはスポドリが供えられている。
-end-
2016.6.28
TシャツTシャツ。
最近気に入って買ったTシャツが見当たらない。
「えー?どこー」
森田さんちの、和室の方の窓を全開にしてたら寒くて速攻閉めた。
もう秋。すげー秋です。
そんなことよりTシャツ。寒いっつってんのにTシャツが見つからないから半裸だ。
「えーまじ寒いから勘弁しろー、おーいTシャツどこ」
あの日、確かに先週自分の家から持って来て、森田さんちで着て。
「洗濯した…よねー…」
あの日は休みで、次の日仕事で。
昼ごろに起きて洗濯して、干して、仕事に行って。
「取り込んだのだれ?俺?」
洗濯カゴにはなかった。自分の荷物を置かせてもらってるとこにもない。
森田さんは几帳面だから、物を無くすってことがまずない。
俺もそんな無くす方じゃないけど、森田さんじゃないとしたら犯人は俺しかいない。
「まじか…」
昨日自分ちに寄った時に服を置いてきたから、あれがないと、いや待てよ。
これ、森田さんの服借りるっていうなんかそういうちょっとやってみたいあれじゃない?
帰って来た森田さんが俺を見て固まるところを想像して楽しくなった。
森田さんのタンスを漁りたい。
和室の押し入れを開けて、森田さんが服をしまってるプラケースを引き出した。
「うわー森田さんが着てる服ばっかり」
当たり前の事実にちょっと興奮する。
森田さんはいつも自分で服をしまうから、開けて見るのは初めてだった。
綺麗に畳まれて大人しく整列してる。
全部森田さんみたい。
ちょっと衝動に負けて、服の中にそっと顔を埋めた。森田さんちの匂い。ああ。好きな人の匂い。
「はー変態じゃね、ふつーに引くよね自分に」
ちょっとニヤけた顔を必死で取り繕いながら引き出しを閉めようとしたその時、見覚えのある柄が目に入って手を止めた。
探してたTシャツがそこにいた。
何をお前は。「自分、森田さんのものです」みたいな顔をして。
森田さんが間違えてしまいこんだらしい。珍しいこともある。
引っ張り出してすぐにそれを着た。
途端に、そばに森田さんがいるような気になって安心する。
今日は出かけようと思ってたけど、やめよう。
森田さんが帰るまで、創樹に借りた漫画でも読もう。
この匂いを嗅ぎながら。
会いたい。
朝会った。つーか、深夜俺の仕事が終わってから日の出の頃までずっとヤってた。
そんでちょっとだけ寝て、森田さんは仕事に行った。
お互いにどこからあんなスタミナが出てくるのかわからない。
途中で、森田さん朝から仕事なのにって言うと、岡崎さんはこんなに細いのに、って腰をそっと撫でられた。
俺の体はそうされただけで簡単に再燃してしまう。
森田さんは元々結構体力があるっぽい。
「してもしても、足りない、って、思う時が、ある」
3回目か4回目でもう声が掠れかけてた俺の首に優しくキスをしながら、森田さんは言った。
「今も、そう」
思い出すとちょっと、やばい。
会いたい。早く、帰って来て。
俺をただいまって抱きしめて、そしたら森田さんは、俺から自分の匂いがすることに気づくだろうか。
今度から、同じ場所に服をしまわせてもらおう。
今日も、俺の写真にはスポドリが供えられている。
-end-
2016.6.28