大きな声では言わないけど

7 なつめの忍耐



嫌な予感は完全に的中だ。

「…うぅ…」

でも僕には拒否権なんてないんだ。わかってた。

「いた…い…」

何だ、この状況は。

「あー、すっげえ絶景」
「創樹くん…痛い…もう、取って」
「だめだめ」
「なんで…?」
「このまま突っ込んで」
「無理!死んじゃう!」
「死なねぇよぉー気持ちいいって絶対。…俺が」
「鬼畜の極みだ!」



1時間前。

「なつめ、約束覚えてる?」
「約束?」
「ほらほら、俺の好きにしていいってやつ」
「あ、あぁ…」
「そんな怯えんなよ」
「…何したいの?」
「やーそれがさぁ、お前に似合いそうなリング見つけてさぁ」
「リング?」
「そうそう」
「創樹くんが僕に?プレゼント?」
「おう」
「誕生日でもないのに?嬉しい!指のサイズなんか知ってたの?僕ちょっと泣きそうだよ!」
「愛を感じるだろ?な、つけてやるから脱げよ」
「え?…リング……脱ぐ、って……はっ!!」
「逃げんなって!」
「逃げるでしょうよ」
「指のサイズは知らねえけどそこのサイズなら」
「怖い怖い怖い怖い」
「逃げたらへし折る」
「イヤァ!」

僕は創樹くんに睨まれると抵抗できなくなってしまう。それでも、あそこにリングなんかつけたことないし怖くて泣きそうになった。それを見て創樹くんは楽しそうに笑う。

「なつめ、ほら、怖くねぇよ?俺が居んだろ?」
「や!創樹くんが怖いって話だよ!」
「脱げよ」
「…やだよ…」
「脱げ」

だんだん声の凄味が増してくる。かわいい顔して本当に怖い。でもかわいい。
僕は渋々カーゴパンツを下ろした。

「上も」

シャツを捲る手も震える。僕はどうなるんだろう。痛いよね、絶対痛いよね。
というか。

「創樹くん、そんなの着けて…もし僕がその…不能になったらどうするの…創樹くんだって困るんじゃ」
「大丈夫、お前マゾだから。着けてもビンビンだって」

そうか。じゃあまあ大丈夫かな。

「でも、あんまり痛くしないでね?」

縋るような目で頼んではみたけど、返って来たのは、

「ふん」

嘲笑。
あぁだめだ。なんだか興奮してきてしまった。創樹くんの嘲笑は腰に来る。もうどうしようもないこの体。
プルっと震えながらパンツを下ろす。

「足開け」
「い、いや」
「あーん」

創樹くんは、パクっと僕のペニスを口に含んで、半勃ち状態のそこを丁寧に吸う。

「っ…ん…そ、きくん……口、きもち」
「むちゅ、くちゅ」
「はぁ…っ」

どうして創樹くんのフェラはこんなに気持ちいいんだろう、普段は見た目と真逆に粗野で荒っぽいのに、フェラの時だけはすごく繊細で優しくて丁寧で、ってぼやっとしてたら、あっという間に完勃ちしたその根元に激痛が。

「ぐあっ!」
「わあっ、着いたぁ、かぁわいい~」

創樹くんの話し方が少し広樹くんに似てたなんてことは僕にはわからなかった。だってすっごく痛い。どこが繊細で優しくて丁寧だ。撤回しろ自分。
恐る恐るそこに目をやると、可哀想なほど締め付けられる息子と、それを嬉しそうに見つめる創樹くん。

「い゛、痛いよ…」
「大丈夫大丈夫、萎えてねえじゃん」
「だって、それは、あぅ!」
「ほら、ツンツンしても元気」

創樹くんの指に弄ばれてそこがピクピク反応した。先走りを無理に吐き出そうとするように、口がパクパクしている。

「は、ああ…ちょ、っと、」
「あーなんかさっきより固くなってきてる」
「だって血流が、止まってるし」
「すげー、萎えないお前がすげー」

創樹くんがずっと嬉しそうだ。じゃあまあいいか、って思えるほどかわいい。が、しかし。

「ね、ねぇ、ほんとに痛いんだけど…」
「わかったわかった」
「外す?」
「だめ」
「なぜ!」
「痛みなんか忘れさせてやるから」
「やっちょっまっあ゛ぁ!」

創樹くんは僕のペニスをまた口に含んだ。

「なっなんか、いつもと、っ違う…」
「ひもひい?」
「あ゛っ待って!しゃべんないで!」
「らんれ?」
「創樹くん!」
「らんれらめらろ?」
「あぅ…なんかっ、び、敏感に、っはぅ」
「ひもひい?」
「…きもち、ぃ、いたい、けど…あ、あ」

刺激の感度があがっていて、舌で先っぽを少し触れられるだけで脊髄が痺れるみたい。声を出されると響いて一瞬視界がチカチカする。
搾り込まれるような痛みと相まって、いつもとは違う感覚に興奮した。

「あっ、…創樹くん、あんま、したら」

創樹くんは口を離して手で扱きながらニッと笑った。

「イけば?」
「…イけないよね?」
「イけるって」
「どうやって?」
「イけばわかる」
「怖い!」
「うるせぇヘタレが」
「いっ待って、ああっ!っは…あぅ、っ」

創樹くんが下の方を扱きながらくびれを唇で締め上げる。
信じられないくらい敏感になっているらしく、悲鳴を上げそうなほど感じるけど、それは苦痛も生み出した。

「っそ、きく、んっ、くるし、」
「すげぇ」
「ほんっ、とに…つらい…」
「でも気持ちいい?」
「…や、…う、もう、」
「じゃあこれは?」
「あ゛あ゛い゛ぁぁぁ!!!!」

創樹くんは、赤を通り越して紫がかってきた僕のペニスに歯を立てたのだ。
どんだけSなんだ…!
そこで、冒頭部分に戻るわけだけど。

「…うぅ…いた…い…」
「あー、すっげえ絶景」
「創樹くん…痛い…もう、取って」
「だめだめ」
「なんで…?」
「このまま突っ込んで」
「無理!死んじゃう!」
「死なねぇよぉー気持ちいいって絶対。…俺が」
「鬼畜の極みだ!」

でも興奮する。

「なぁなぁ、なんかいつもよりデカくね?」
「わかんない…」
「萎える気配もねぇなぁ」
「創樹くん…」
「んねっ、な、つ、め」
「何それ…あとで録音させてね…アラームにするから…」
「俺のぉ、中にぃ、挿れたい?」
「っは、創樹くん、無理、」
「挿れたらどうなるだろうな、な?」
「あっ…ああっ」

創樹くんはズボンを脱いで僕に覆い被さる。創樹くんの内股が少し触れただけで、腫れたペニスが過剰反応。

「なつめ。解して」
「じゃあ…取って」
「挿れる時取るから」
「なん…」
「いいから」

僕は指を口に含む。上から創樹くんが超絶エロい顔でそれを見ている。僕はなるべく息子のことを考えないように、指を濡らすことに集中した。
したのに。

「んぐっぐは!」
「マジですげぇ感度」
「なんでっ触るの!ぅ、ひど」
「だって嬉しいんだろ?つらいのが。どうなんだよ、あ?」
「あぅっ…こうふん、する…」
「変態」

創樹くんが、ベタベタになった僕の指を自分の後ろに誘導する。入り口に指を這わせると、そこに突っ込むことを想像してまた痛みが増した。

「はあっ」
「はやくー解してー」
「だっ、て」

僕は懸命に指を中に這わす。そこはそんなにキツくなくて、まぁそれはそうだ。昨日もしたから。

「もう、触っちゃうぞ」
「やっ!く」
「んはは」
「笑い事、じゃない」
「いいからさぁほら、もう素直になれば?もっと苛めてって」
「うっ、あぁ…」
「どうなんだよ」
「おかしく、なりそ」
「俺に、挿れたい?」

創樹くんは俺の指を抜いて、手のひらで僕のペニスを包んだ。

「ぁあっ!」
「なぁ、挿れたい、だろ?」

エロい。本当に、誘う時の創樹くんは世界一エロい。

「うっあ、…うん…」
「はぁ…なんか俺もヤバい。これ欲しい」
「…!エロいだめだエロい創樹くんエロい」
「大丈夫か?壊れた?」

体中の血が一気にペニスに集まろうとする。

「う゛…創樹くん、お願い。っもう、挿れたい、から…外して」
「ちょっと待ってぇ」
「あっ、あ、だめだっああっうあああ」
「あっあぁんっ!」

外さないで挿れられて一瞬目の前が真っ白になった。

「あっなつめの、ん、すごい、デカいよ」
「っく、う゛、」
「ああっはぁ、固いし、っ太い」
「んぐ…はっ」
「…なつめ…」

創樹くんは僕の頬を撫でた。すごく優しく。
外してくれるのかな、と期待をしたのに。

「ちょっと動かすよ、っ」
「あ゛!あ゛!が!っだめ!ひあぁぁ!」
「あっ、ん、すごい、はあっ」
「もう、助けて、あ゛うぅ」
「なつ、つらい?っ」
「う、つら、あ、ん゛」
「やべぇ、イきそ」
「え!」
「ああっ!んっ、は…」

創樹くんにしては驚異的な早さで、白濁を吐き出した。その弾みで締め付けられて、ほとんど意識を失いかける。

「…う…」
「はあっ、なつめ?起きて?」
「…創樹くん…1人で…先に…僕は痛いのに…」
「だってお前の苦しそうな顔見てたらさぁ。この苦痛を与えてるのは俺だと思ったらもう」
「明日からサド王と呼ぶよ…」
「なつめ、機嫌直せよ、ほら取ってやるから」

その瞬間は突然もたらされた。カチ、と音をたててリングが外され、一気に血が逆流するのがわかる。

「い゛あぁぁ!ひいっうぅ!」
「あーすげぇ、びくびくしてる」

何も考えられずにただ、創樹くんの中を犯すように突き上げた。

「んはあっ!」
「創樹、くん、っは、く」
「あっ、あっ、あっ、あぁっ、」
「は、きもちい、きもちいよ、創樹くん」
「や、あぅ、あっ、んっ、」
「止まんない」
「すご、いっ、なつ、」
「創樹くんの中も、すごいよ」
「俺の、も、扱いて」
「ん、」
「あん!う、ああっ、いぁっ」
「ダメだ、ごめ、もたない」
「なつ、出せよ、中に、俺に」

なんか今日は創樹くんが少し優しい。かわいい。エロすぎる。中に出してなんて初めて言われた。

「中に、いいの?」
「ん、今日、だけ、な」
「っく、あ、そ、きくっあ、はあっ!」
「ああっ!ん!やぁっ!出て、あ!…」
「ん、…んぅ、はあ」
「はぁんっ、ぁ、…あぁ」
「創樹くん、もっかいしよ」
「ちょっと待て」
「いやだ」
「は、待てってぅああ!」
「バックでしたい」
「ちょっと一回抜けよ!あ!ん!」
「お仕置きはまた今度受けるから」
「っ、言ったな?あ゛ぁ!」
「だって、だめ、今日はもう離さない、よっ」
「んはぁっ、うぅ」
「創樹くん…大好き…」



結局何回達したのかわからない。すべてを出し切って二人で床に倒れこんでしまった。

「…あー…」
「…はぁー…」
「疲れたー」
「ねー。創樹くん、寒くない?服着る?」
「んん、まだ。もうちょい」
「かわいいよ、創樹くんもう大好きだ」
「俺にかわいいなんて言って許されんのお前くらいだからな」
「うんうん、ふふ」
「お前キモいな」
「ちょっと!」
「次はどうやって苛めてほしい?」
「苛められるのは決定なんだね」
「お前がさっき『あうぅ、ご主人さまぁ、お仕置きして下さいぃっ』て言ったんだろ」
「そんなふうに言ったっけ…」
「バリタチでドMってどんな組み合わせなんだよお前のアイデンティティは」
「わかんないけど、もうなんでもいいんだよ。僕は創樹くんと一緒にいたいだけ」
「ふん」
「ああっ嘲笑」

なんだかわからないけど、とにかく幸せで、僕は笑顔になってしまった。



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