大きな声では言わないけど
36 創樹とリーマン
「あー!なっつ、どうしたの?スーツ!」
学食で広樹くんたちに会う。
創樹くんは3講目からなのでまだ会っていない。
「今日バイト先で社長との面談があって。一応ね、一応」
もしかすると就職にもつながるかもしれないからと準備してきたけれど、大学入学式以来のスーツは着慣れなくて落ち着かない。
「なんかちょっと…真面目なホストって感じ」
彰人くんに笑われる。
お昼ご飯はたらこクリームパスタにした。
「なっつそれおいしい?一口ちょうだい。あぁん!あっくん、ミートソース服にはねた!」
「しゃぶれば?吸い出せるんじゃね」
彰人くんは広樹くんを見もせずラーメンをすすっている。
「もう…えっち」
なぜか頬を染めて彰人くんにしなだれかかる広樹くん。
その光景に、思わず笑みがこぼれる。平和だ。
「…お前、どうしたの」
お昼を食べ終わってから、生協にいるという創樹くんを1人で迎えに行くと、創樹くんが絶句した後に呟いた。
さっき広樹くんにしたのと同じ説明をする。
「変かな」
グレーのスーツと青いストライプのネクタイを見直して、それからまた創樹くんに視線を戻す。創樹くんが全然こっちを見てくれない。教室へ向かおうとするのでついて行くと、お手洗いに入っていった。
「お前も来い」
外で待とうと壁にもたれたところを、腕を引かれて中へ連れ込まれる。
ずんずん歩いて行く創樹くんに続いて個室へ入った。
中で壁に押し付けられて、創樹くんが下から僕の顔を覗き込むようにして肩のすぐ横に手をついた。
わあ。壁ドンだ。
間近で見るかわいい目にドキドキしてしまう。
「ふざけてんのか」
「ふざけてないよ、どうしたの」
「なに着てんだ」
「何って、す、スーツだよ、どうしたの創樹くん」
「ギャップ狙ってんのか」
「ギャップ?」
「何コスだ」
「違います!僕の話聞いてた?!バイトで、」
言い終わらないうちに、創樹くんが勢いよく首に抱きついてきた。
「悔しい。かっこいい」
小さく押し殺したような声で言われて体が硬直する。
「ふざけんな」
「…ふざけてないです…」
「ふざけんな!性欲が高まるだろうが!」
「グフッオファッ」
腹パンを受けて咳込んだ。
すごく理不尽に怒られていることは置いておいて。
かっこいいって言われた!創樹くんにかっこいいって!
「創樹くんもう一回言ってほしいなーなんて…」
「あ?何をだよ。ちんこちょん切って窓から投げ捨てるぞって?」
「怖い!そんなこと言われたことないよ!多分だけど…」
「じゃあ何?」
にやりと笑う創樹くんは、きっと全部わかってる。僕の気持ちも、してほしいことも。
「とりあえず座れば?」
狭い個室の中で体を入れ替えて、ふたを閉めた便器に座らされる。
「前開けろ」
上着のボタンを1つ開けた。
「ちげえ!」
「痛い」
ほっぺたをつねられた。
「下のチャックの方だよバカたれが」
「すみません…」
チャックを全開にする。
…。
「…ってなんで?!開けちゃったけどなんで?!」
「ちんこ出せ」
「だめだめだめ、大学のトイレだよ創樹くん」
「うるせえ!お前が悪いんだろうが!ふざけんな!殺すぞマジで」
怖すぎる。
「出さねえなら出してやる」
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」
創樹くんが無理矢理手をつっこんでパンツから僕のを引っ張り出した。
「あれー、ふにゃちんじゃん。なんで?」
「さ、さぁ…」
「俺がお前のことかっこいいって言ってやったのに?せっかく褒めてやったのに勃起しねえの?」
唇をとがらせる創樹くんの手を思わず握る。かわいい。
「も、も、もう一回言って」
「えーどうしよっかなー」
「そしたら多分」
「勃つ?」
「多分」
というか絶対に勃ってしまう。ああ。大学のトイレなのに。
創樹くんは冷めた目で僕を見下ろした。そして、僕には触れずに耳元に顔を近づけてくる。
「誘ってんのかと思った。お兄さん、まじ好み」
そう言われた瞬間、僕の体がズクンと波打つ。
「あー、勃ってきた。オナニーして。撮るから」
創樹くんは若干抵抗する僕を無視して携帯を僕に向けた。
「撮らないで…」
「黙れ。大声出すぞ」
「めちゃくちゃだ…」
言いながら僕ははしたなく性器を扱く。
「創樹くん。創樹くんの言うこと全部、全部聞くから、僕、僕のこと、そばに置いててね」
「ちんこ触りながら言うな」
だってしてって言うから、という言葉はキスに遮られた。
「お兄さん、セックスしよ」
「うん…しよう…」
何プレイなのかが未だ不明だけど、なんだろう、「お兄さん」だから、サラリーマンと学生とかそんな感じだろうか。
このさぐりさぐりな感じは久しぶりだ。
「お兄さんいくつ?」
「に、24」
で大丈夫かな、と思っていると、創樹くんがにこりと笑った。
「へえ。4こ上」
「君は、その、かわ、かわいいね…」
「そう?うれしい」
甘えたような、人をくったような笑みを浮かべて、撮影をやめた創樹くんはジーンズを脱ぐ。
どうしよう。すごく興奮する。
跨られて向かい合い、キスをした。
ねっとり絡みつく創樹くんの舌にぼーっとしていたら、髪の毛をゆるく掴まれてぞくりとした。
この、創樹くんに操られてる感じ、好き。
「挿れて」
「うん…」
「あっ…ん」
「ああ、あ、すごい、すごいよ…きつい…」
締め付けられて声をあげたら、「お兄さん声おっきい」と言って創樹くんが笑った。
そうだった。トイレなんだった。
「ごめ、ん、忘れてた…」
「別にいいんだけどね。俺は聞かれても」
挑発的な顔をして創樹くんがゆっくり腰を回す。
「ああ…」
「俺ん中、どう?」
「いいよ…すっごく…いい…はぁ…っ君は、君はどうかな…」
「きもちい」
「そっか…よかった…」
創樹くんの腰を手でがっちり掴んで下から突き上げる。
「あんっ、あん、あ、ああ、あぁ」
「声、おっきいよ」
さっきのお返しに言ってみると、中がきゅんと締まった。
だめだ、なんか、変な衝動が。
「ちょっと、抱っこするよ」
「は?なに、ちょ、やめ、ああっ」
抱き上げてその体を壁に押し付け、浮いたままの創樹くんにずこずこと腰を打ちつける。
「や、やばいから、やめ、やめろ、あっ、ああ、あぁ、あぁ、」
「いいよ、すごい、んっ、」
「だめ、いっちゃ…う…」
「イっていいよ、かわいい…かわいいよ、う、っ」
「ああ!あ、ん、んっ、だめ、お兄さんのスーツに、かかっちゃう」
「いいです、かけて、かけてよ、いっぱい、汚して」
「あっあっあっあっ」
「は、んっ、く、はぁ、はぁっ」
「イく…っ」
「…僕も…」
唇に吸い付いて吐息も全部飲み込むと、創樹くんの体がびくびく跳ねた。
スーツにもネクタイにも白い飛沫が飛んでいる。ああ。やらしい。
「あーくそ、貴様、駅弁とか覚えとけよ」
「ごめんなさい」
終わった瞬間からもう創樹くんに戻る感じ。
濡れちゃったところを拭いて、ドギマギしながらトイレを出た。
結局スーツは使い物にならなくなって、面談はお店の制服で受けました。
-end-
2015.11.4
「あー!なっつ、どうしたの?スーツ!」
学食で広樹くんたちに会う。
創樹くんは3講目からなのでまだ会っていない。
「今日バイト先で社長との面談があって。一応ね、一応」
もしかすると就職にもつながるかもしれないからと準備してきたけれど、大学入学式以来のスーツは着慣れなくて落ち着かない。
「なんかちょっと…真面目なホストって感じ」
彰人くんに笑われる。
お昼ご飯はたらこクリームパスタにした。
「なっつそれおいしい?一口ちょうだい。あぁん!あっくん、ミートソース服にはねた!」
「しゃぶれば?吸い出せるんじゃね」
彰人くんは広樹くんを見もせずラーメンをすすっている。
「もう…えっち」
なぜか頬を染めて彰人くんにしなだれかかる広樹くん。
その光景に、思わず笑みがこぼれる。平和だ。
「…お前、どうしたの」
お昼を食べ終わってから、生協にいるという創樹くんを1人で迎えに行くと、創樹くんが絶句した後に呟いた。
さっき広樹くんにしたのと同じ説明をする。
「変かな」
グレーのスーツと青いストライプのネクタイを見直して、それからまた創樹くんに視線を戻す。創樹くんが全然こっちを見てくれない。教室へ向かおうとするのでついて行くと、お手洗いに入っていった。
「お前も来い」
外で待とうと壁にもたれたところを、腕を引かれて中へ連れ込まれる。
ずんずん歩いて行く創樹くんに続いて個室へ入った。
中で壁に押し付けられて、創樹くんが下から僕の顔を覗き込むようにして肩のすぐ横に手をついた。
わあ。壁ドンだ。
間近で見るかわいい目にドキドキしてしまう。
「ふざけてんのか」
「ふざけてないよ、どうしたの」
「なに着てんだ」
「何って、す、スーツだよ、どうしたの創樹くん」
「ギャップ狙ってんのか」
「ギャップ?」
「何コスだ」
「違います!僕の話聞いてた?!バイトで、」
言い終わらないうちに、創樹くんが勢いよく首に抱きついてきた。
「悔しい。かっこいい」
小さく押し殺したような声で言われて体が硬直する。
「ふざけんな」
「…ふざけてないです…」
「ふざけんな!性欲が高まるだろうが!」
「グフッオファッ」
腹パンを受けて咳込んだ。
すごく理不尽に怒られていることは置いておいて。
かっこいいって言われた!創樹くんにかっこいいって!
「創樹くんもう一回言ってほしいなーなんて…」
「あ?何をだよ。ちんこちょん切って窓から投げ捨てるぞって?」
「怖い!そんなこと言われたことないよ!多分だけど…」
「じゃあ何?」
にやりと笑う創樹くんは、きっと全部わかってる。僕の気持ちも、してほしいことも。
「とりあえず座れば?」
狭い個室の中で体を入れ替えて、ふたを閉めた便器に座らされる。
「前開けろ」
上着のボタンを1つ開けた。
「ちげえ!」
「痛い」
ほっぺたをつねられた。
「下のチャックの方だよバカたれが」
「すみません…」
チャックを全開にする。
…。
「…ってなんで?!開けちゃったけどなんで?!」
「ちんこ出せ」
「だめだめだめ、大学のトイレだよ創樹くん」
「うるせえ!お前が悪いんだろうが!ふざけんな!殺すぞマジで」
怖すぎる。
「出さねえなら出してやる」
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」
創樹くんが無理矢理手をつっこんでパンツから僕のを引っ張り出した。
「あれー、ふにゃちんじゃん。なんで?」
「さ、さぁ…」
「俺がお前のことかっこいいって言ってやったのに?せっかく褒めてやったのに勃起しねえの?」
唇をとがらせる創樹くんの手を思わず握る。かわいい。
「も、も、もう一回言って」
「えーどうしよっかなー」
「そしたら多分」
「勃つ?」
「多分」
というか絶対に勃ってしまう。ああ。大学のトイレなのに。
創樹くんは冷めた目で僕を見下ろした。そして、僕には触れずに耳元に顔を近づけてくる。
「誘ってんのかと思った。お兄さん、まじ好み」
そう言われた瞬間、僕の体がズクンと波打つ。
「あー、勃ってきた。オナニーして。撮るから」
創樹くんは若干抵抗する僕を無視して携帯を僕に向けた。
「撮らないで…」
「黙れ。大声出すぞ」
「めちゃくちゃだ…」
言いながら僕ははしたなく性器を扱く。
「創樹くん。創樹くんの言うこと全部、全部聞くから、僕、僕のこと、そばに置いててね」
「ちんこ触りながら言うな」
だってしてって言うから、という言葉はキスに遮られた。
「お兄さん、セックスしよ」
「うん…しよう…」
何プレイなのかが未だ不明だけど、なんだろう、「お兄さん」だから、サラリーマンと学生とかそんな感じだろうか。
このさぐりさぐりな感じは久しぶりだ。
「お兄さんいくつ?」
「に、24」
で大丈夫かな、と思っていると、創樹くんがにこりと笑った。
「へえ。4こ上」
「君は、その、かわ、かわいいね…」
「そう?うれしい」
甘えたような、人をくったような笑みを浮かべて、撮影をやめた創樹くんはジーンズを脱ぐ。
どうしよう。すごく興奮する。
跨られて向かい合い、キスをした。
ねっとり絡みつく創樹くんの舌にぼーっとしていたら、髪の毛をゆるく掴まれてぞくりとした。
この、創樹くんに操られてる感じ、好き。
「挿れて」
「うん…」
「あっ…ん」
「ああ、あ、すごい、すごいよ…きつい…」
締め付けられて声をあげたら、「お兄さん声おっきい」と言って創樹くんが笑った。
そうだった。トイレなんだった。
「ごめ、ん、忘れてた…」
「別にいいんだけどね。俺は聞かれても」
挑発的な顔をして創樹くんがゆっくり腰を回す。
「ああ…」
「俺ん中、どう?」
「いいよ…すっごく…いい…はぁ…っ君は、君はどうかな…」
「きもちい」
「そっか…よかった…」
創樹くんの腰を手でがっちり掴んで下から突き上げる。
「あんっ、あん、あ、ああ、あぁ」
「声、おっきいよ」
さっきのお返しに言ってみると、中がきゅんと締まった。
だめだ、なんか、変な衝動が。
「ちょっと、抱っこするよ」
「は?なに、ちょ、やめ、ああっ」
抱き上げてその体を壁に押し付け、浮いたままの創樹くんにずこずこと腰を打ちつける。
「や、やばいから、やめ、やめろ、あっ、ああ、あぁ、あぁ、」
「いいよ、すごい、んっ、」
「だめ、いっちゃ…う…」
「イっていいよ、かわいい…かわいいよ、う、っ」
「ああ!あ、ん、んっ、だめ、お兄さんのスーツに、かかっちゃう」
「いいです、かけて、かけてよ、いっぱい、汚して」
「あっあっあっあっ」
「は、んっ、く、はぁ、はぁっ」
「イく…っ」
「…僕も…」
唇に吸い付いて吐息も全部飲み込むと、創樹くんの体がびくびく跳ねた。
スーツにもネクタイにも白い飛沫が飛んでいる。ああ。やらしい。
「あーくそ、貴様、駅弁とか覚えとけよ」
「ごめんなさい」
終わった瞬間からもう創樹くんに戻る感じ。
濡れちゃったところを拭いて、ドギマギしながらトイレを出た。
結局スーツは使い物にならなくなって、面談はお店の制服で受けました。
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2015.11.4