大きな声では言わないけど

29 なつめとリキュール(果肉入り)



「創樹くん、これは?おいしそうだよ、なんかいっぱい果肉が入ってる、イチゴの」

なつめが嬉しそうにビンを差し出す。

「ふーん。甘そう」
「そうだよね、甘すぎるのは嫌だよね…これは?マスカットの果肉」
「お前果肉入りがいいの?女子かよ」
「いや、ちょっといいなと思っただけなんだけど」

照れたように笑いながらリキュールの小瓶を棚に戻そうとするなつめにくっつきながら言う。

「いいよ、今日はお前に合わせるから」

創樹くん、と呟いて嬉しそうな顔をするなつめに、笑いそうになるのを堪える。

たまには2人でまったり家飲みするかと誘うと、なつめは素直に喜んだ。一緒にスーパーで酒やつまみを選びながら、どこまでも幸せそうな顔をする。

こいつ、いつになったら自分の酒癖に懲りるの!

と思いつつ、楽しいので放っておく。自覚と記憶がないから仕方がない。

「ビールはカートンで」
「すごいね、創樹くんは強いね」
「お前がおかしいだけ」
「えーそうかなあ。あ、おまけでお菓子ついてる」
「お前今日何着んの」
「あ、やっぱ、それはしなきゃダメ?」
「は?ふざけんな、お前が女装しないなら遊ぶ意味ねえだろ」
「わかりましたよ…」
「新しく買ったやつもある」
「また増やしたの……」
「あー楽しみ」

俺の部屋に着くと、なつめがテーブルの上に酒を並べた。俺はなつめ用のチェストを開ける。

「これとこれ」
「え!スク水!」
「チャイナもあるし」
「あはは…へえ…」
「婦警も買う予定」
「無駄遣い!」
「でもな、俺は思うわけ。清楚系でメイド服に勝てるものはないだろ?お前の場合」
「さ、さあ…」
「だから、次はぴっちり系でなんかやばいやつ探そうと思って」
「ぴっちり系というカテゴリーの意味がちょっと僕には…」
「スク水とチャイナと、婦警のはスカート超短けえタイトだから」
「…なるほど…」
「レオタードもあるんだった。新体操のとバレエのがあって迷ってんだけど。あと体操服。ブルマみたいなやつ。たまには自分で選ぶ?」
「いやいや!いいよ、僕は」
「だよな。俺のがセンスいいし。ただなー、お前そこそこでけえからサイズが」

やべえ。なつめの女装のこと考えるとつい多弁になる。

「飲むか」
「うんうん、そうしましょ。楽しいね」
「女装が?」
「創樹くんと飲むなんて久しぶり」
「おい無視すんな」

結局なつめはマスカット果肉入りのリキュールを買っていた。とりあえずビールを二口で一缶空ける。

「ええ!速い」
「ポテチ取って」
「はい、どうぞ」
「なっちゃん優しいね。お前も飲んでね」
「うん」

なつめがビールをちびちび飲む。

「おいふざけんなよ、そんなんで酔うのに何年かかるんだ」
「ちょっとポカポカしてきた」
「はやっ!」
「ああ、失敗。空きっ腹だったな」

むしろ何も食うなと思う。
酔ったなつめが自ら服を着替えて俺を襲うかと期待しながら俺は3本目を開ける。

「マスカットのやつ飲めば」
「しょうきくんも飲む?」
「誰それ」

もう呂律が怪しい!いいぞ!その調子!
力の入らない手でがんばってビンのふたを開けている。
自分で飲む前に俺に差し出してニコッと笑うその顔にはもう赤みがさしていた。

「飲ませて」
「ん?」
「口移し」
「え、え?」
「中のぶどう、食わせて?」

少し甘えた素振りを見せただけで、キラキラするなつめ。

「なっちゃん、はやく」
「うん、待ってね」

ビンを回して撹拌し、口に含むと、なつめはビンを置いて両手を俺の背中に回す。ゆっくり口づける。

「…ん…」

甘い声を出してやると、なつめの鼻息が少し荒くなる。少しぬるくなった酒と果肉が俺の口に移された。

「甘いな」
「うん」

返事をする声も、酔いで揺れている。

「好きよ、なつめ」

なんだかわからんけど、気づいたら無意識でしゃべってた。

「そーきくん!」

なつめが目を真ん丸くして叫んだ。

「は?何」
「なんてかわいいの!てんしなの!」
「どしたの。なんかいつもとモードが」
「なめたい」
「違うような」
「あますところなくなめたい」
「いいけど、まずお着替えは?」
「なにきる?」

お、おう。乗り気じゃねえか。
ニコニコしてるし。

「チャイナ!チャイナにしましょう!」

なつめは自ら赤いチャイナドレスを手にした。

「いいけど。着たいの?」
「きたい!ぼくこれきるよー」
「なんだお前は。どうぞ」
「そーきくんハサミかしてね」
「ハサミ?その前に、ぶどうの酒飲みなさい?お前まだビールしか飲んでないからね?」
「はいぃ」

はいはい、と言いながらこぷこぷとビンを傾ける。

「吐く時はトイレ行けよ」
「だいじょうぶです。このへんをチョキチョキして」
「ぶはっ!やべえ!なっちゃんがなんか最高なんですけど!」

誰かこいつを止めないで!
なつめはハサミで、チャイナのちょうどちんこの出そうな部分を丸く切り取った。

「これでっ!入れやすくなったよ!」
「あー。すげえな。すごいすごい。おめでとう」

そそくさと服を脱ぎ、何の躊躇もなく全裸になって、素肌にチャイナドレスを着た。
着たけど、出てる。ちんこ出てる。半勃ちのちんこ出てる。
こいつの酒癖まじで…!

「創樹くん。命令して。ね…えっちな命令して……」

急に落ち着いたなつめが俺を抱く。微かに、マスカットの匂い。

「なつ、ちゅーして」

鼻の頭をなつめの顎に軽くこすると、なつめが性急に唇を吸う。

「んっ、ぁ、んんっ」
「創樹くん、もう…ほら…」

キスをしながら、なつめが俺の手を自分のちんこに触らせる。

「痛いのして、創樹くん…」
「こう?」
「あっ、うう、あ……」

チャイナから飛び出たものをぎゅうと握って乱暴に振り回してみる。

「恥ずかしくねえの?」
「あ、もっと、もっとして、ああ、」
「きもいわ」
「はう…うう…あー、すごい…勃っちゃった」
「はやく。ほぐせ」
「うん」

下を脱いでなつめの膝に乗って、ローションを塗り込んでくるなつめの額にキスをする。

「あっ、ん、はやく」
「創樹くん、指、舐めさせて」

赤いチャイナの、彼氏が、口を軽く開けて、待っている。

口に指を2本突っ込んで、ぐちゃぐちゃとかき回す。なつめがそれに吸い付きながら、俺の穴に指を出し入れしている。

「あんっ、いい、もっと太くして」
「ん」

チャイナのど真ん中からニョキニョキしてるのを擦り付けてくるなつめ。

「お前、ほんとやべえな」
「好きだよ、創樹くん」
「ふん。キモ」
「いいよ、それでも」

優しそうな顔をしてえっろいキスをしかけてくる。こういうギャップ。

「あぅ、あ、あっ、入った…」
「ああ…気持ちいい」
「あっ、んあ、いいっ、すっごい、」
「創樹くんっ、あぁ…」

下から突き上げながら、なつめが俺の服の下に手を這わせる。

「すべすべ…きもちい」

俺は決める。
今度こいつにオムツを履かせてやろう。

「創樹くん、んっ…何考えてる?」
「んふふ…なっちゃんのこと」

次のコスのこと!
切なそうな顔でかわいいよとか言ってくるなつめ。うける。

なっちゃんはおもらしができるかしら。

「なつめがいてよかった、うっふん」
「創樹くん…!」
「あっん、激しい、おま、ちょっと、あっあっ」
「大好き。大好きだよ創樹くん」
「いっや、あっ、あ、あっ、あっ、」

ぐちゅぐちゅと音がする。ケツにチャイナの生地がこすれてスベスベして、こそばゆい。

「あーイきそう」
「ほんと…?気持ちいい?…あー僕も、」
「あーイくイく、まじで…」
「かわいい」
「イく…っ」

チャイナにぶっかけてちんこを扱いてたら、なつめも少し遅れてイった。

「っあー…出ちゃった…」

はあ、はあ、と息を整えるなつめにキスしてやる。

「お前どうせ明日になったら全部忘れてんのな」
「ん?」

思わずしてしまった愛の告白だけは絶対に忘れていろ。

ふにゃふにゃしだしたなつめの上からどいて、2人して寝転がる。眠そうななつめがそれでも俺に手を伸ばして笑うので、仕方がないから抱き合って眠った。








翌朝。

「そっそっ創樹くん!こっこれこのこれはチャイナの状況はっ!何事!」
「1人でやってろ」




-end-
2014.3.22
ひなたさまへ
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