20 過去も含めてあなたが好きです

3.待ち合わせのファミレスにて

「ああ!あっくんだぁ!」

広樹が立ち上がって窓越しに手を振り、なつめもそれに従って創樹に笑顔を向けた。
入口から中へ入り、広樹たちのテーブルの横に立った彰人と、立ち上がったなつめは、自然に目を合わせて同時に言った。

「今日、ダブルデート中止したい」

最初に反応したのは広樹だった。

「えぇ?なんで?あっくん。俺楽しみにしてたのにぃ」
「後で説明する」

彰人の表情が優しくてどこか甘かったので、広樹は、くふんと鼻を鳴らして照れた。既にダブルデート中止に異議はなくなっている。
創樹はなつめに訝しげな視線を投げた。

「なんかあったの」
「な、っなにもない」
「なに」
「あとで、あとでね」

ははは、と乾いた笑い声をあげるなつめに、そもそもダブルデートにさほど興味のなかった創樹はそれ以上なにも言わなかった。

「とりあえずメシだけ食うか」

彰人が言うとなつめが立ち上がる。

「そうだね。創樹くん何飲む?」
「コーラ」
「あっくんのは俺が持ってきてあげる!なにがいい?」
「コーラ」
「あらら、創樹くんと彰人くんは気が合うね」

「どこが」

なつめの言葉に、今度は彰人と創樹の返事が重なった。



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