大きな声では言わないけど

14 なつめの水際



「無理です」
「無理じゃない」
「絶対無理!」

もうこのやり取りに飽きた。かれこれ10分くらい、堂々巡りを繰り返している。
なつめの抵抗が思ったより酷くてむかつく。

「なんでだよ。ピンクだから?」
「そういう問題じゃなくて!こんな…だめやっぱり絶対着られない!」
「ふぅん」
「あ、許してくれるの?」
「…わかった。もういい」

俺はしょげてみることにした。途端になつめが慌てる気配がする。

「あ、あの、創樹くん?怒った?」
「いや。いいんだ。なんかごめんな。いっつもワガママ言って」
「え、いや全然、創樹くんがいろいろ僕に望んでくれるのは嬉しいんだよ?ただちょっと今日のはあの、ちょっとだけ恥ずかしすぎてちょっと」
「俺、お前の気持ちとか考えたことなかった。もうこういうのやめる。ほんと、悪かったな」
「創樹くん…」

ちらっと見たら、なつめが泣きそうな顔でこっちを見ていた。
やべぇ勃ちそう。泣かせてぇ。

「創樹くんごめん、僕そんなつもりじゃ、」
「無理すんなよ。俺に合わせてたんだろ?かわいそうなことしたな」
「違う!僕、好きでやってたよ?」

好きでコスプレやってんのかよ!と吹き出しそうになるのを全力で耐える。

「創樹くんが喜んでくれるのが嬉しくて」
「そうだな。俺ちょっと性癖おかしいから」
「いやそうじゃなくて、別に創樹くんは普通だけど」

普通ではないだろ。落ち着けなつめ。

「少し1人で考えるわ。今日、悪いけど帰って」
「…え…」

あー、もう少しで泣くぞこれは。早く泣け。チンコ爆発する。

「ほんと、ごめんな」

力無い顔で笑って、なつめを見つめると、なつめは目に涙を溜めた。
こぼれろ!あふれろ!弾けろ!

「創樹くん…」

なつめは顔を逸らして下を向いた。その弾みに、ついに涙が頬を伝う。
きた!

「あ、そうだ。ひとつだけ頼みがあるんだけど」
「なに?」

なつめが縋るような目で俺を見る。

「でもな…こんなこと頼んで、これが最後になったら…」
「最後になんてしない!創樹くん、僕、創樹くんのこと本当に…本当に好きで…」

なつめはぽろぽろと涙をこぼし始めた。
あー!泣いた泣いた!勃った!

「じゃあさ…」
「うん、なに?」
「これ着て?」

振り出しに戻っただけなのに、なつめは一拍遅れて返事をする。

「わかった」

こいつのこういうとこを俺はとても気に入っている。



「ひゃー!かわいいー!なつめー!大好きー!」
「えっ、あ、え?創樹くん…そんな…照れる…幸せ…」

嬉しそうに笑うなつめは、締まった体にピンクのかわいらしいビキニを着ている。
なんというかもう、俺が着せたけど哀れ。哀れだこいつは。

「勃ってんのバレバレだな」
「そ、そうだね」
「なんで勃つの?何に興奮すんの?まじで謎」
「さぁ…僕にもよく…」
「舐めたい」

両サイドにリボンのついたパンツからはみ出た先っぽを舌でつつく。

「はぁ…」

出てる部分だけ口に含んでゆっくりしゃぶると、もどかしいのかなつめが身じろぎした。

「そうき、くん」
「ん」
「最後なんて僕…嫌だよ」

なつめの声には悲しみが溢れていた。
こんなことされながらよくそんな声が出るな、と笑いそうになる。

「なにそれ。何の話」
「え、だってさっき」
「お前、本気で俺がお前のこと逃がすと思うの?」

にやっと笑って見せると、なつめは感極まったみたいな顔をした。
パンツをずらして本格的にしゃぶる。ピンクのリボンの脇にぺニスとか。卑猥。
哀れだから今日はちょっとサービスしてやることにした。
いつもは容赦なく追い上げるところを、ただ長く感じさせるためだけにゆっくり舌を使う。

「あっ…はぁ、ああ…そうきくん…なんか…すごい、きもちいよ…」

なつめが俺の耳を触る。先っぽを舌で繰り返し責めると、なつめの息が荒くなってきた。
イかせずに口を放すと、とろんとした目が俺を見ていた。

「あとは自分で扱け」
「ああっ、はあ、あ」

躊躇いがちに自分のぺニスに手を添えたなつめのぺったんこの胸には、ピンクの三角ビキニ。
それをずらして乳首を露出させる。ギリギリアウトみたいなずらし方したらすごい興奮した。
俺は携帯を取り出して、とろとろなつめの写真を撮った。

「あっやぁっ撮ったらだめ」
「待ち受けにしよう」
「だっだめだよ」
「この俺がなつめを待ち受けにしてやろうって言ってんだぞ」
「は、はい…嬉しいです…」

はみ出た乳首をふにふにと弄る。なつめはだめとか言いながら、自分がされてることに興奮している。やらしいヤツめ。

「なつめ、解して」

なるべくエロい声で言ったら、なつめがガバッと抱きついて俺を押し倒した。
脱がされて穴に舌を入れられ、俺は声を上げた。

「あっあんっなつめ、きもちい」

じゅっと音をたてながらそこを濡らされる。

「なつめ…」

堪らなくなって頭をわしわしと撫でたら、嬉しそうに目を細めた。犬みたい。
ぐじゅぐじゅに濡れたそこに指が挿れられ、丁寧に掻き回される。

「あっ、なつ、だめ、もう足りない」
「挿れていい?」
「っ、いいよ」

正常位でゆっくりなつめが入ってくる。
邪魔だったのか、上のビキニはいつの間にか脱いでいた。

「あぁ!いい…速く、速くして」
「んっ創樹くん、」

太ももまでずらしたピンクの水着がエロい。その上にぺニスが生えててそれが俺の中に入ってると思ったらすげえ締め付けちゃって更に感じた。

「あっ、ああ!」
「はぁっ創樹くん、好き」
「もっと!もっと奥突いて!ああっ、や、いい、いいよなつめ」
「もっと僕を」

なつめのピストンが速まって、2人とももうイきそうだ。

「僕を使って…なんでも、するから」
「うああっ!イく…!」

俺もなつめも俺の腹に精液を吐き出して、そこにぺニスを挟んでぬるぬるしながらなつめが俺を抱きしめる。

「もう、最後なんて言わないで。僕、創樹くんに望むことはそれだけだよ。何してもいいから、何でもするから、だからずっと僕といてよ」

なつめの腕の力が強すぎて、抱き返したり言葉を返したりする必要があるのかわからなかった。わー俺の大好きななつめの二の腕の筋肉、などと思ってテンションが上がりつつ、なつめを手放すなんて考えたこともなかった俺は言う。

「放してやらねえから、今の言葉覚えとけよ」

なつめは俺の耳元で、うん、と言った。また泣いてんのかな、と思うような声だった。



「釣り?彰人と?」
「うん」
「2人で?」
「僕はやったことないけど楽しい?って聞いたら誘ってくれて」
「広樹はそれ知ってんの?」
「わかんない。広樹くんを連れて行ったことないんだって」
「だろうな。彰人は広樹の喧騒から逃れるために釣りに行くんだろ」
「そうかな…でも確かに広樹くんはあんまり釣り好きじゃなさそうだよね」
「あいつすぐ飽きて帰ろうとかヤろうとか騒いで近くにいる魚逃がしそう」
「なんか、釣れなくても気持ちいいんだって、川辺が。楽しみだな。創樹くんも興味ない?」
「ないね。何が楽しいのか全然わかんねえ」

でも。なんかいい考えが浮かんだ。やべえ。勃ちそう。

「場所と時間決まったら教えろ」
「広樹くんも誘って創樹くんも行く?」
「いや行かない。楽しんで来いよ」
「そう…?」

すっごくいい初夏の思い出ができちゃいそう。うふふ。
広樹が乗ってくるかが問題だけど、まあ、彰人の名前を適当に使えば食いつくだろう。
俺は内心ほくそ笑んだ。






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