姫は王子のもの。
机に伏せて寝てたら、学校が終わってた。
起きて周りを見回したら、もう本城が来てて、あと、土屋が掃除当番の中川にちょっかいをかけてた。
本城は「姫野」と言ってニコッと笑った。
本城はいつも、姫にすげえ優しい。いいな。俺にもなんでもやってくれる友達ができないかな。
姫はぷんっとしてる。ほんとはうれしいのに。素直じゃない。それがかわいいんだけど。
土屋は中川の髪をひっぱったり足をかけたりしてる。
中川はすげえ迷惑そう。
野島、どうしたのかな。
「本城、野島は?」
「他のやつと話してたけど、多分もう来ると思うよ」
土屋が、俺迎えに行くわ、と言ったら、中川が、お前しつこいと嫌われるぞ、と言った。
そしたら土屋が、噛んでたガムをペッとして、それがなんと中川の髪の毛についた!
汚い!最低!
「お……お前土屋このやろ!」
「わーかわいい、中川ガム似合う」
「そんなわけあるか!」
中川は土屋から逃げながら本城に泣きついた。
「本城本城、取れる?」
「ちょっと待って……」
半泣きの中川の髪を本城がいじってて、姫がそれをちらちら見てる。ああ、やきもち。
土屋は机に座ってにやにやしてる。悪い顔。でも土屋は嫌われない。かっこいいから?なんでだ?
「土屋っていいよなー」
「なに。阿部。俺と付き合う?」
「俺にもモテるわざおしえて」
「技って?女とのヤり方?テク?腰づかい?」
「うーん、男だったら、付き合うなら姫がいいけどヤるなら土屋がいいよな」
「阿部、頭おかしいの?」
中川に真顔で言われた。
「だって上手そうじゃない?すげえ何回もイかされそう」
「は?土屋なんか変態なだけだって」
中川は土屋と仲いいのに。
「中川だって土屋がいいくせに」
「そうだぞお前俺のこと好きなくせに」
「絶対イヤだ。俺痛いのイヤだもん」
中川は土屋をにらみながら言った。土屋はぐいっと中川に近づいて、両手を中川の肩に置いて、顔を覗きこんだ。
「優しくするって。中川」
「寄るな!それ以上寄るな!」
「仕方ねえな、抱く?」
「おぞましいからやめろ」
逃げようとする中川。逃がさない土屋。
「男とヤるならバックがいいんだけど」
「知らねえよ!」
「つか俺、お前で勃つかな。心配だけどまあ、努力してやってもいい」
「いいですいいです。阿部を抱いてあげたらいいんじゃないですか」
「やきもち?」
「おいやきもちか?」
「ちげえし!」
「中川、動いちゃダメ」
本城は律儀に、きれいにガムを取ってやってる。
「こうやって見ると、本城と中川もお似合いかも」
俺はただ思ったことを言ったのに、中川に肩パンされた。
「滅多なこと言うなよ」
中川に目配せされて見たら、姫がふくれっ面をしていた。やばい。
「俺は姫野がいいなあ」
すかさず本城がフォローして姫に笑いかけたら、姫がふくれっ面のまま赤くなった。
かわいい。
「姫、かわいいなあ」
「ほんと」
「なんかもう神聖ななにかに見えてくる」
「ごめん、お待たせ」
あ。野島が来た。
「野島。遅いし」
土屋の顔がキモい。
「あれ、中川くんどうしたの」
「土屋が悪魔の所業を」
中川が言いかけたら、土屋がすかさず遮る。
「今日、野島も行けんの?」
「うん。一緒に行っていい?」
野島もかわいい。なんなんだ。土屋がキモいほど優しい顔をしてる。なにあの顔。なに。
「いいに決まってんじゃん」
「ありがとう」
「じゃあ行きますか」
「待てよ、俺まだガム取れてないんだけど!」
「知るか。お前帰れば」
ひどい!土屋すごい!中川いじめ徹底してる!
「取れたよ」
「本城…ありがとね……じゃ、俺帰るわ……」
中川死亡説。
「中川くんも行こう?」
野島は優しいからこういう時お姉ちゃんみたいだ。
「野島…お前ほんといいやつだな……どうしても男を抱かなきゃならなくなったら、俺、野島にするよ……」
「譲らんぞ」
「土屋くんはドMの女でも抱いてたらいいんじゃないですか」
始まった。
「中川って土屋相手の時だけ子どもみたい」
「わかる」
本城が俺の言葉にうなずく。
「なあ、野島だってこんな性格ひんまがった土屋なんかより俺の方がいいよな?」
「野島。言っとくけど中川は短小だ」
「そんなことない!断じてない!」
「中川のじゃ野島を満足させてあげられない」
「うっせバカ!土屋のバカ!」
野島は顔を赤くして笑ってる。
「野島は好きな人いるんだから、いじめないで」
なぜか姫が土屋と中川にガツンと言い放つ。
野島は「ちょっと、姫野くん」と言ってもっと真っ赤になった。
土屋はちょっと黙ったけど、いきなり隣の中川のケツを思いっきり蹴った。
「ってえ!」
「うっせえ。帰れハゲ」
「ハゲてないし!」
「はー。やけ食いしよ」
「お前バスケに差し支えるぞ」
「いいのぉ。食わねえとやってらんないぃ。中川くん、パフェおごってぇ」
土屋はなんだかんだで中川の肩を抱いて教室を出て行った。
「俺たちも行く?」
本城が言って、姫野と野島と俺も続く。
今日はこれから6人でファミレスに行くのだ。あー楽しみ。毎日この6人で遊んで暮らせたらいいのに!
永遠に勉強したくない。
-end-
2013.10.18
起きて周りを見回したら、もう本城が来てて、あと、土屋が掃除当番の中川にちょっかいをかけてた。
本城は「姫野」と言ってニコッと笑った。
本城はいつも、姫にすげえ優しい。いいな。俺にもなんでもやってくれる友達ができないかな。
姫はぷんっとしてる。ほんとはうれしいのに。素直じゃない。それがかわいいんだけど。
土屋は中川の髪をひっぱったり足をかけたりしてる。
中川はすげえ迷惑そう。
野島、どうしたのかな。
「本城、野島は?」
「他のやつと話してたけど、多分もう来ると思うよ」
土屋が、俺迎えに行くわ、と言ったら、中川が、お前しつこいと嫌われるぞ、と言った。
そしたら土屋が、噛んでたガムをペッとして、それがなんと中川の髪の毛についた!
汚い!最低!
「お……お前土屋このやろ!」
「わーかわいい、中川ガム似合う」
「そんなわけあるか!」
中川は土屋から逃げながら本城に泣きついた。
「本城本城、取れる?」
「ちょっと待って……」
半泣きの中川の髪を本城がいじってて、姫がそれをちらちら見てる。ああ、やきもち。
土屋は机に座ってにやにやしてる。悪い顔。でも土屋は嫌われない。かっこいいから?なんでだ?
「土屋っていいよなー」
「なに。阿部。俺と付き合う?」
「俺にもモテるわざおしえて」
「技って?女とのヤり方?テク?腰づかい?」
「うーん、男だったら、付き合うなら姫がいいけどヤるなら土屋がいいよな」
「阿部、頭おかしいの?」
中川に真顔で言われた。
「だって上手そうじゃない?すげえ何回もイかされそう」
「は?土屋なんか変態なだけだって」
中川は土屋と仲いいのに。
「中川だって土屋がいいくせに」
「そうだぞお前俺のこと好きなくせに」
「絶対イヤだ。俺痛いのイヤだもん」
中川は土屋をにらみながら言った。土屋はぐいっと中川に近づいて、両手を中川の肩に置いて、顔を覗きこんだ。
「優しくするって。中川」
「寄るな!それ以上寄るな!」
「仕方ねえな、抱く?」
「おぞましいからやめろ」
逃げようとする中川。逃がさない土屋。
「男とヤるならバックがいいんだけど」
「知らねえよ!」
「つか俺、お前で勃つかな。心配だけどまあ、努力してやってもいい」
「いいですいいです。阿部を抱いてあげたらいいんじゃないですか」
「やきもち?」
「おいやきもちか?」
「ちげえし!」
「中川、動いちゃダメ」
本城は律儀に、きれいにガムを取ってやってる。
「こうやって見ると、本城と中川もお似合いかも」
俺はただ思ったことを言ったのに、中川に肩パンされた。
「滅多なこと言うなよ」
中川に目配せされて見たら、姫がふくれっ面をしていた。やばい。
「俺は姫野がいいなあ」
すかさず本城がフォローして姫に笑いかけたら、姫がふくれっ面のまま赤くなった。
かわいい。
「姫、かわいいなあ」
「ほんと」
「なんかもう神聖ななにかに見えてくる」
「ごめん、お待たせ」
あ。野島が来た。
「野島。遅いし」
土屋の顔がキモい。
「あれ、中川くんどうしたの」
「土屋が悪魔の所業を」
中川が言いかけたら、土屋がすかさず遮る。
「今日、野島も行けんの?」
「うん。一緒に行っていい?」
野島もかわいい。なんなんだ。土屋がキモいほど優しい顔をしてる。なにあの顔。なに。
「いいに決まってんじゃん」
「ありがとう」
「じゃあ行きますか」
「待てよ、俺まだガム取れてないんだけど!」
「知るか。お前帰れば」
ひどい!土屋すごい!中川いじめ徹底してる!
「取れたよ」
「本城…ありがとね……じゃ、俺帰るわ……」
中川死亡説。
「中川くんも行こう?」
野島は優しいからこういう時お姉ちゃんみたいだ。
「野島…お前ほんといいやつだな……どうしても男を抱かなきゃならなくなったら、俺、野島にするよ……」
「譲らんぞ」
「土屋くんはドMの女でも抱いてたらいいんじゃないですか」
始まった。
「中川って土屋相手の時だけ子どもみたい」
「わかる」
本城が俺の言葉にうなずく。
「なあ、野島だってこんな性格ひんまがった土屋なんかより俺の方がいいよな?」
「野島。言っとくけど中川は短小だ」
「そんなことない!断じてない!」
「中川のじゃ野島を満足させてあげられない」
「うっせバカ!土屋のバカ!」
野島は顔を赤くして笑ってる。
「野島は好きな人いるんだから、いじめないで」
なぜか姫が土屋と中川にガツンと言い放つ。
野島は「ちょっと、姫野くん」と言ってもっと真っ赤になった。
土屋はちょっと黙ったけど、いきなり隣の中川のケツを思いっきり蹴った。
「ってえ!」
「うっせえ。帰れハゲ」
「ハゲてないし!」
「はー。やけ食いしよ」
「お前バスケに差し支えるぞ」
「いいのぉ。食わねえとやってらんないぃ。中川くん、パフェおごってぇ」
土屋はなんだかんだで中川の肩を抱いて教室を出て行った。
「俺たちも行く?」
本城が言って、姫野と野島と俺も続く。
今日はこれから6人でファミレスに行くのだ。あー楽しみ。毎日この6人で遊んで暮らせたらいいのに!
永遠に勉強したくない。
-end-
2013.10.18