ゆる、ゆる
ご注意
このお話はBLです。
しかし、男2人がノンケのため、ナンパしたり女の子とセックスしたりするシーンが出てきます。
結構な感じで出てきます。
でもBLです。間違いなくBLです。なぜなら管理人はBLしか書けないからです。
よければ読んでみて下さい。
女の子の中は気持ちがいい。
だからセックスが好きだ。
「はぁ、すっげ…いいよ」
女の子の体はやわらかい。ふにふにしてて、いいにおいがする。切なそうな顔で、葉(よう)くんって呼ばれる。
「っ、気持ちいい?」
あれ。今日のこの子の名前はなんだっけ。ちっちゃくて髪がふわふわパーマで、さっきから、か細くイヤらしい声を出してるこの子の名前は。
考えながら腰を動かしていたら、星司(せいじ)くん、と呼ぶ声が隣から聞こえた。
「ゆいなちゃん、えっろ、その格好」
呼ばれて応えた星司はちょうど、そのゆいなちゃんに後ろからつっこむところだった。
星司、ニヤって笑ってる。悪どい笑顔だ。
星司は普段、こんな風に笑わない。もっと優しい。
「っは…」
挿れた瞬間、星司が息を吐いて、俺はそれを聞いたらいつも。
「あぁ……イく」
どうしてなんだろう。
星司の顔見ると、興奮する。
「葉、あれは?」
「うーん、と……」
「だめか」
「いや。いいよ」
「まじ?行く?」
「うん」
海で、ナンパをする。真っ青な空と海と、カラフルな砂浜。
タオルを敷いて寝転がる星司は、目だけ動かして女の子を探している。
声をかけるのはいつも星司。
俺は見た目が冷たそう、らしい。髪も茶色いし怖い感じ、と星司に言われた。
だから、黒髪の星司が声をかける。にこやかに。
星司は優しい顔をしてるから、女の子はすぐ油断する。それで、うしろに控えてる俺にも興味がわくらしい。
話すとぼんやりしたバカだとバレる俺は、見た目とのギャップが武器だって。だからナンパが高確率で成功しちゃうのは葉のお陰だって。
星司はそう言って俺をほめてくれる。
車は海沿いを走る。夕方だけど、まだまだ暑い。空がほんのりオレンジに染まっている。
今日の俺担当の女の子は、あきちゃん。
あきちゃんあきちゃんあきちゃん。
と、忘れないように何度も心の中で唱える。
「呼んだ?」
あきちゃんがこっちを見る。
あれ。口から出てたみたいだ。
「呼んだ。かわいいね、あきちゃん」
かわいい。あきちゃんはふんわり系だ。俺は多分ふんわり系が好きだ。
多分だけど。
後部座席で抱き寄せて首にキスをしたら、あきちゃんはうふふと笑った。
「ホテルに着くまで待てないの、葉」
運転してる星司が笑いながら言う。
「待てる」
「待てんのかよ」
星司はホテルで酒を飲む。だから行きの運転が星司。帰りが俺。いつも。
「葉くんって天然なの?」
助手席の女の子が言った。今日の、星司担当。
なんだっけ、名前。
「天然ってか、大ボケって感じ」
そのなんとかさんが言う。
「結構言うね、れなちゃん」
星司が笑う。ああ。れなちゃんか。
星司担当、れなちゃんは、くっきりお姉さん系。
星司はこういう、すらっと美人系が好き。間違いなく。
俺は自分の好みより、星司の好みにくわしいと思う。
今日はだから、星司も俺も、いい子と巡り合えたんだ。
ああ。すてきな日。
天気がいい。
「あきちゃん、脱ぐとこ見せて」
「えぇぇ。イヤだよ」
「葉くん邪魔」
お風呂に入るあきちゃんを追いかけてバスルームでイチャイチャしてたら、れなちゃんに怒られた。
女の子たちがどうしても自分たち2人でお風呂に入るってきかなくて、星司と俺はダブルベッドに転がって待ちぼうけだ。
シャワーの音に混じって2人の笑い声が聞こえる。
「葉、レズってどう?」
「レズ」
「うん」
「えーと、そうだね」
考える。
レズについて。
女の子同士。やわらかい同士。
「くっついてひとつになっちゃわないか心配だね、少し」
「何それ。葉って感性が変わってる」
すでにビールを1缶空けた星司が笑う。少し眠そうな顔だ。
優しくて、ナンパ大好きな星司。
「いっつも4人でホテル入るけど、レズいプレイはしてもらったことないなと思って」
「うん。ないね」
「今日の2人、ヤってくれそうじゃない?」
星司はコソコソと言った。
「星司、レズ好き?」
「嫌いじゃない。ちょっと見てみたい」
ふぅん。
「それを見てオナるの?近くにいるのに?」
「我慢できなくなったら引き剥がせばいいじゃん」
それは。
「なんかイヤだな」
「そう?なんで?」
「うーん、本来の任務と違う」
なんだか居心地が悪くて、枕を抱き寄せる。早くあがってきて。あきちゃん。
「任務って何、それ」
星司は笑って、いいよ、じゃあやめよう、と言った。
優しい星司。
「葉くん、甘えんぼさんだね」
あきちゃんの胸に顔を埋めていたら、笑われた。
「そうかも。どうかな。そうなのかな。わかんないけど、」
あきちゃんの後ろに回って、横向きで抱き締めたら、やわらかいおしりに俺のが当たる。
「挿れていい?」
耳を少し噛む。
やわらかい。やわらかいな、女の子。
片足を持ち上げて挿れて奥を突く。そのまま腰を動かして首に噛みついたりしていたら、後ろで星司とセックス中のれなちゃんの笑い声が聞こえた。
「葉くん、ちょっと喘いでるね。かわいい」
「ふは、確かに。いつもそうかも」
星司は俺の声をいつも聞いてるのか。そうか。
ごそごそと音がして、上半身にれなちゃんが乗り上げてキスをしてきた。
あきちゃんにつっこんで突き上げながら、れなちゃんと舌を絡ませる。
そしたら星司が近づく気配がした。
「葉、エロい。なにそれ。ズルいし」
少し悔しそうな声で星司が言った。
キスをしながら目を開けたら、星司がれなちゃんにつっこんだ。
れなちゃんを揺さぶる星司が、れなちゃん越しに見える。
これは。これは。どうしよう。すごい。興奮する。なんか、なんか、俺、星司に犯されてるみたいな、
「あぁっ、は、んっ」
どうしよう、喘いじゃった。
星司と目が合った。星司は悪どい顔で笑う。俺に向かって。
「はぁ、イく、イくよ、あきちゃん」
あきちゃんの背中に向き直って、腰を掴んでめちゃくちゃに擦り付けた。
れなちゃんは俺にしがみついたまま星司につっこまれて喘いでいる。星司が腰をぶつけるたびに、れなちゃんを通して振動が伝わってくる。
いつもより間近に聞こえる星司の吐息。
どうしよう、このままイったらなんか、星司にイかされるみたい。
と思いながらイった。
「なんで?」
助手席の星司が言う。これで3回目。
「わかんない」
俺も答える。3回目。
女の子を送った帰りの車の中。もうナンパをやめるって言った。そしたら星司は少し不機嫌になって、無口になった。
そして、なんで攻撃が始まった。
「じゃあ俺はこれから1人でナンパしなきゃなんねえの。成功率下がる」
そうじゃない。星司も辞めなよ、もう。
「今日の、れなちゃんに絡まれたの、イヤだった?」
違う。そんなんじゃない。
「じゃあ次からは、2人2人に別れてホテル入る?」
一瞬、俺と星司が、かと思って星司を見つめてしまった。運転中なのに。
「そうする?でも、4人がいいって言い出したの葉だよ」
「星司」
もうしゃべんないで。
「なんか俺、変なんだよね」
深刻な気持ちで言ったのに、星司は笑った。
「葉は変だよ、生まれつきだよ」
「うん」
そうだな。生まれつきなのかもな。
生まれつき、星司を見ながらイく体質なんだきっと。
変な俺。
「わかった。ごめん。もうやめよう」
星司が諦めたように言った。
「星司も?星司もやめる?」
なんか、必死みたいな言い方になってしまった。
「葉、車、止めて」
言われて脇に車を止めると、星司に手首を掴まれた。
「葉。なんでいっつも、俺の顔見てイくの?」
「なっ、なっ、」
あわあわしていると、星司は両手で俺の顔をはさんだ。
「なんで俺の顔見ながら喘ぐの?女の子とヤってんのに」
「……ごめん」
「俺に抱かれたいんだったりして」
「……ごめん」
星司は、え、と言って固まった。
「冗談だって。葉、なんで謝んの」
「星司のバカ」
「葉」
「星司のバカ!」
こんなにとっちらかったぐちゃぐちゃの気持ちなんて初めてだ。
「星司なんかナンパばっかりして変な病気になればいいんだ。俺の喘ぎ声いっつも聞いてたくせに」
自分が何を言ってるのかわかんない。
星司が真剣な顔をしているのにも気づかなかった。
「葉」
「何ですよ」
「俺、多分、葉を抱けるよ」
俺は息をのんだ。
「なんてこと言うの」
「抱いてほしい?」
「星司のバカ」
「葉……考えて。ちゃんと。それで、ちゃんと言って」
星司は俺の手を握った。少し汗ばんだ手。
考えるのは苦手だ。だから考えないで思ったことをそのまま言う。
「抱いてほしいと思ったことはない」
星司は目を逸らさない。優しい顔。
「でも星司の顔を見ながらじゃなきゃイけないんじゃないかって、さっき思った」
星司が首をかしげる。
「それって、俺に抱かれたかったってことじゃないの」
「そうかな」
「違うの?」
「そうかなぁ」
「葉」
葉、葉、って言いながら、星司が俺の頭を撫でる。その手がたまに耳を弄っていく。
「葉。ちょっとホテル戻ってみようか」
「俺、星司に抱かれるの?」
「なんかわかんないけど、ちょっと勃っちゃった」
ドキドキしながら星司の股間を見つめていたら、見すぎ、と言って星司は笑った。
「ダメか」
「ダメだねぇ」
「さっきは勃ってたのになぁ」
俺と星司はホテルのベッドの上。
パンいちだ。
星司は目の前で膝立ち。パンツをずり下げて下半身を晒している。
そこはフンニャリと下を向いたままだ。
「やっぱり」
やっぱり、俺のことなんか抱けないんじゃん。嘘つき星司。
「あ、待って。俺らバカだ」
星司は自分の下半身を見ていた顔をぱっと上げて俺を見た。
「そうそう。大バカだよ。星司は俺を抱けないんだよ、悲しいよ俺は。なんだか」
何を期待していたんだろう。本当に本当にバカだ。
「違うって。葉。あんなに女の子とヤったんだから勃つわけないし。俺酒飲んだし」
「あ」
「そうだよ、やっぱりな。俺は絶対、葉を抱けるはずだから」
「何の自信なの、それ」
「精力剤買おう」
「星司!」
どうしたの、なんで、何がなんでも今日俺を抱こうとしてるの?
星司は俺が止めるのも聞かずに壁に取り付けてあるタッチパネルで一番高い精力剤を頼んで、程なく届いたそれを、腰に手をあてて一気に飲み干した。
「あー。マズ」
「そういうの、飲むの初めて?」
「あ、葉も飲んでよ、葉の分も頼んだよ」
「いい、星司、俺いらないよ」
だって俺、
「俺、勃ってるから大丈夫だって」
「まじで!葉ヤバいね」
星司は笑って、それからそろそろと近づいてきた。
俺は同じだけ後ずさる。
「葉」
「ごめん」
「葉ちゃん」
「ごめん、星司」
どうして俺、こんなに興奮してしまってるんだろう。
「逃げないで。葉」
優しく言われて動きを止めると、星司が俺の太ももを撫でた。
「星司」
声がかすれた。
「星司、今、俺、星司に抱かれてみたいって思っちゃって、ちょっとなんか、苦しい」
星司は笑った。
「葉。楽にしてあげる」
どうしよう。
手を伸ばして来た星司を無視して、衝動のまま手を動かす。
「星司」
自分のパンツを下ろして、ビンビンになっているそれを握る。
四つん這いで俺の目の前にいてくれる優しい顔を見ながら、上下に手を動かした。
「っは……星司…」
「なに。オナニー見せてくれんの?」
星司は、優しい顔と悪どい顔の間みたいな顔で俺に聞く。
ああ。エロい顔。
「どうしよ、はぁ、星司っ、いい、すげぇ、星司、見てて」
「いいよ」
ああ。この顔を見ながら俺はいつも。
「ねえ、星司、イくとこ見て」
「見てるよ、葉」
「ああっ、やべ、まじで」
ヌルヌル滑るそこを強めに扱き、クチャクチャと音を鳴らす。
「あぁ、あぁ、あぁっ、あ、はぁ、あぁ」
「ほんと、葉、喘ぐのエロい」
星司の顔からどんどん優しさが抜けていく。代わりにどんどん意地悪な顔になる。
「やばい、星司、星司、」
「葉、イく?」
「イくっ、イく、星司、ああっ」
ぶちゅ、と飛んだ精液が胸にかかった。
力が抜けてそのまま後ろに倒れ込むと、星司が俺の顔を見下ろした。
「葉、女の子とヤってる時よりたくさん喘ぐね。いっつも?」
「……1人の時は無言」
「へえ」
「だと思うけど」
「ふぅん」
「わかんないな、どうなんだろ」
意識したことなんかない。自分の声。
星司は俺の顔を見て笑った。
「葉はなんでも真剣に考えるよね。結局答え出ないことの方が多いけど」
少し真面目な顔になって俺の頭を撫でる。
「そういうとこ、いいよね、お前は」
「いいって?」
「あと、喘ぎ声が意外にクる」
「くる?」
星司は俺の手を股間に導いてそれを触らせた。
うわ、うわうわうわうわうわ。
「星司、これは」
「バッキバキだぜ」
バッキバキ、だぜ、って。
あんなの飲むから、とか言いながら目をきょどきょどと動かしていたら、星司が俺の腰の下に枕を入れ、両膝を掴んで左右に開いた。
抱かれる。ついに俺は星司に抱かれてしまう。ああ。大変。
のしかかる星司の顔を見ていたら、気付いた星司が笑った。若干悪い顔で。
「ケツに入れるのはちょっといろいろ怖いからやめる」
え、なんだ、そうなのか。
心臓が全力疾走から駆け足くらいに落ち着く。
「ここ、貸して」
「あっ、星司」
お尻の割れ目に沿ってバッキバキのそれが滑って行く。戻る。行く。
女の子とのセックスみたいに俺に腰を使う星司を見て、俺のもバッキバキになってしまった。
ああ。もう。どうしたらいいんだ。星司の顔がエロい。いつも届きそうで届かない、さわれそうでさわれない、でもしっかり見つめていた星司のエロい顔。
「あぁ、あ、星司、」
「葉、こんなことされて興奮するんだ」
「だって、星司が、そんな顔するから、うぅっ」
「はぁっ、やべ、葉」
あまりにイヤらしい顔で俺を見るから、思わず両手で顔を覆ってしまった。星司は俺のおしりを微妙に開いたり閉じたり動かしながら調節している。
ああ。大変なことになった。ほんと。
星司の動きが激しくなって、息遣いも荒くなる。
俺はもうイきそうなのをがんばって耐えているだけだ。おしりの割れ目を使われてるだけなのに。
「葉、なぁ、見ろよ、俺のこと」
「いっ、いやだ、」
「なんで。見ろって」
セックスの時だけ少し言葉遣いが荒くなるのも、エロい。
ああもう。星司。
「せいじ、ね、やばいよ、俺、っ、イきそう」
「だから、見ろって、葉」
指の隙間から星司を見ようとしたら、乱暴に手首を掴まれて、目をのぞきこまれながら噛みつくみたいなキスをされた。
「葉」
「んっ、んは、あっ、んん…」
星司のキスってこんななのか。
星司にいろいろされる女の子の気持ち、こんな感じか。
星司は今まで何人とこんなことを。
星司にこんなことされちゃって。ああ。憎いわ。君たちが。
「んっ、星司、ヤベ、イく」
「俺も。葉」
星司と俺のおでこがくっつく。
「ああっ、あっ、あ」
もう終わっちゃう。星司と俺が。どうなるの、明日から。
そんな莫大な不安だって、今の星司の顔を見ていたら吹っ飛んでしまう。
「うぅ、は、んっ」
優しくてエロくて、女の子が好きな星司。
「イく、っ」
射精しながら思う。
星司。
手、繋いでて。
星司にも精液をかけられてしばらく呆然としていたら、星司がむくっと起き上がった。
「あーあ。葉はエロいなぁ」
「星司さん」
「なに」
「それはこっちのセリフですね」
「なんで急に敬語」
笑う星司に俺は笑顔を返せない。
「だってもう、これは友達じゃないじゃないですか」
「そうなの?」
そうなのって。いろんな意味でショックだよ俺は。
「星司、もうナンパやめよう?」
「やめるよ。だってそれさっき言ったろ?」
「まさか本当にやめるの?」
「どっちなんだよ」
星司はまた笑う。笑いながらお風呂に向かうので、俺は急いでパンツを履いて追いかけた。
「待って星司」
「ナンパやめたら、葉はどうすんの?」
「どうするって」
「彼女でも作るの?」
そんなわけがありますか。星司のアホ。
心の中で、敬語で罵る。
「星司のうしろをついていく」
お風呂に入ろうとしていた星司は、ぐりんと振り返った。
「葉、俺のあとをついて来るの?」
「うん」
「それって今までと変わんないよ」
星司は笑いながら俺の頭をぽんぽんした。
女の子が撫でられるのに弱いわけ、今わかった。
「だから星司も、彼女つくんないで」
星司は笑顔を引っ込めて、それでも優しい顔で俺を見た。
「星司と俺、とりあえず2人だけで良くない?」
恋人になりたいとか、好きなのかもとか、そんなことを思っているのかは自分でもよくわからなかったし、思っていたとしても怖くてとても言えない。
「いいよ、とりあえず、葉と2人だけで」
優しい星司。
「今日、葉とエロいことできなかったらもう一生そんな空気にならなそうだったから、なんか、精力剤とか飲んじゃって、無理矢理ヤってごめんな」
なんだか哀愁のあるような声で言ってから、お風呂場に消えたその背中が、くっきり目に焼きついてしまった。
何も変わらないってわけではないけど、星司と俺が今日で終わらなくて、よかった。
ベッドに戻って寝転がり、俺は今までナンパで知り合った女の子たちのメモリを、ひとつずつ消していった。
-end-
2013.8.28
このお話はBLです。
しかし、男2人がノンケのため、ナンパしたり女の子とセックスしたりするシーンが出てきます。
結構な感じで出てきます。
でもBLです。間違いなくBLです。なぜなら管理人はBLしか書けないからです。
よければ読んでみて下さい。
女の子の中は気持ちがいい。
だからセックスが好きだ。
「はぁ、すっげ…いいよ」
女の子の体はやわらかい。ふにふにしてて、いいにおいがする。切なそうな顔で、葉(よう)くんって呼ばれる。
「っ、気持ちいい?」
あれ。今日のこの子の名前はなんだっけ。ちっちゃくて髪がふわふわパーマで、さっきから、か細くイヤらしい声を出してるこの子の名前は。
考えながら腰を動かしていたら、星司(せいじ)くん、と呼ぶ声が隣から聞こえた。
「ゆいなちゃん、えっろ、その格好」
呼ばれて応えた星司はちょうど、そのゆいなちゃんに後ろからつっこむところだった。
星司、ニヤって笑ってる。悪どい笑顔だ。
星司は普段、こんな風に笑わない。もっと優しい。
「っは…」
挿れた瞬間、星司が息を吐いて、俺はそれを聞いたらいつも。
「あぁ……イく」
どうしてなんだろう。
星司の顔見ると、興奮する。
「葉、あれは?」
「うーん、と……」
「だめか」
「いや。いいよ」
「まじ?行く?」
「うん」
海で、ナンパをする。真っ青な空と海と、カラフルな砂浜。
タオルを敷いて寝転がる星司は、目だけ動かして女の子を探している。
声をかけるのはいつも星司。
俺は見た目が冷たそう、らしい。髪も茶色いし怖い感じ、と星司に言われた。
だから、黒髪の星司が声をかける。にこやかに。
星司は優しい顔をしてるから、女の子はすぐ油断する。それで、うしろに控えてる俺にも興味がわくらしい。
話すとぼんやりしたバカだとバレる俺は、見た目とのギャップが武器だって。だからナンパが高確率で成功しちゃうのは葉のお陰だって。
星司はそう言って俺をほめてくれる。
車は海沿いを走る。夕方だけど、まだまだ暑い。空がほんのりオレンジに染まっている。
今日の俺担当の女の子は、あきちゃん。
あきちゃんあきちゃんあきちゃん。
と、忘れないように何度も心の中で唱える。
「呼んだ?」
あきちゃんがこっちを見る。
あれ。口から出てたみたいだ。
「呼んだ。かわいいね、あきちゃん」
かわいい。あきちゃんはふんわり系だ。俺は多分ふんわり系が好きだ。
多分だけど。
後部座席で抱き寄せて首にキスをしたら、あきちゃんはうふふと笑った。
「ホテルに着くまで待てないの、葉」
運転してる星司が笑いながら言う。
「待てる」
「待てんのかよ」
星司はホテルで酒を飲む。だから行きの運転が星司。帰りが俺。いつも。
「葉くんって天然なの?」
助手席の女の子が言った。今日の、星司担当。
なんだっけ、名前。
「天然ってか、大ボケって感じ」
そのなんとかさんが言う。
「結構言うね、れなちゃん」
星司が笑う。ああ。れなちゃんか。
星司担当、れなちゃんは、くっきりお姉さん系。
星司はこういう、すらっと美人系が好き。間違いなく。
俺は自分の好みより、星司の好みにくわしいと思う。
今日はだから、星司も俺も、いい子と巡り合えたんだ。
ああ。すてきな日。
天気がいい。
「あきちゃん、脱ぐとこ見せて」
「えぇぇ。イヤだよ」
「葉くん邪魔」
お風呂に入るあきちゃんを追いかけてバスルームでイチャイチャしてたら、れなちゃんに怒られた。
女の子たちがどうしても自分たち2人でお風呂に入るってきかなくて、星司と俺はダブルベッドに転がって待ちぼうけだ。
シャワーの音に混じって2人の笑い声が聞こえる。
「葉、レズってどう?」
「レズ」
「うん」
「えーと、そうだね」
考える。
レズについて。
女の子同士。やわらかい同士。
「くっついてひとつになっちゃわないか心配だね、少し」
「何それ。葉って感性が変わってる」
すでにビールを1缶空けた星司が笑う。少し眠そうな顔だ。
優しくて、ナンパ大好きな星司。
「いっつも4人でホテル入るけど、レズいプレイはしてもらったことないなと思って」
「うん。ないね」
「今日の2人、ヤってくれそうじゃない?」
星司はコソコソと言った。
「星司、レズ好き?」
「嫌いじゃない。ちょっと見てみたい」
ふぅん。
「それを見てオナるの?近くにいるのに?」
「我慢できなくなったら引き剥がせばいいじゃん」
それは。
「なんかイヤだな」
「そう?なんで?」
「うーん、本来の任務と違う」
なんだか居心地が悪くて、枕を抱き寄せる。早くあがってきて。あきちゃん。
「任務って何、それ」
星司は笑って、いいよ、じゃあやめよう、と言った。
優しい星司。
「葉くん、甘えんぼさんだね」
あきちゃんの胸に顔を埋めていたら、笑われた。
「そうかも。どうかな。そうなのかな。わかんないけど、」
あきちゃんの後ろに回って、横向きで抱き締めたら、やわらかいおしりに俺のが当たる。
「挿れていい?」
耳を少し噛む。
やわらかい。やわらかいな、女の子。
片足を持ち上げて挿れて奥を突く。そのまま腰を動かして首に噛みついたりしていたら、後ろで星司とセックス中のれなちゃんの笑い声が聞こえた。
「葉くん、ちょっと喘いでるね。かわいい」
「ふは、確かに。いつもそうかも」
星司は俺の声をいつも聞いてるのか。そうか。
ごそごそと音がして、上半身にれなちゃんが乗り上げてキスをしてきた。
あきちゃんにつっこんで突き上げながら、れなちゃんと舌を絡ませる。
そしたら星司が近づく気配がした。
「葉、エロい。なにそれ。ズルいし」
少し悔しそうな声で星司が言った。
キスをしながら目を開けたら、星司がれなちゃんにつっこんだ。
れなちゃんを揺さぶる星司が、れなちゃん越しに見える。
これは。これは。どうしよう。すごい。興奮する。なんか、なんか、俺、星司に犯されてるみたいな、
「あぁっ、は、んっ」
どうしよう、喘いじゃった。
星司と目が合った。星司は悪どい顔で笑う。俺に向かって。
「はぁ、イく、イくよ、あきちゃん」
あきちゃんの背中に向き直って、腰を掴んでめちゃくちゃに擦り付けた。
れなちゃんは俺にしがみついたまま星司につっこまれて喘いでいる。星司が腰をぶつけるたびに、れなちゃんを通して振動が伝わってくる。
いつもより間近に聞こえる星司の吐息。
どうしよう、このままイったらなんか、星司にイかされるみたい。
と思いながらイった。
「なんで?」
助手席の星司が言う。これで3回目。
「わかんない」
俺も答える。3回目。
女の子を送った帰りの車の中。もうナンパをやめるって言った。そしたら星司は少し不機嫌になって、無口になった。
そして、なんで攻撃が始まった。
「じゃあ俺はこれから1人でナンパしなきゃなんねえの。成功率下がる」
そうじゃない。星司も辞めなよ、もう。
「今日の、れなちゃんに絡まれたの、イヤだった?」
違う。そんなんじゃない。
「じゃあ次からは、2人2人に別れてホテル入る?」
一瞬、俺と星司が、かと思って星司を見つめてしまった。運転中なのに。
「そうする?でも、4人がいいって言い出したの葉だよ」
「星司」
もうしゃべんないで。
「なんか俺、変なんだよね」
深刻な気持ちで言ったのに、星司は笑った。
「葉は変だよ、生まれつきだよ」
「うん」
そうだな。生まれつきなのかもな。
生まれつき、星司を見ながらイく体質なんだきっと。
変な俺。
「わかった。ごめん。もうやめよう」
星司が諦めたように言った。
「星司も?星司もやめる?」
なんか、必死みたいな言い方になってしまった。
「葉、車、止めて」
言われて脇に車を止めると、星司に手首を掴まれた。
「葉。なんでいっつも、俺の顔見てイくの?」
「なっ、なっ、」
あわあわしていると、星司は両手で俺の顔をはさんだ。
「なんで俺の顔見ながら喘ぐの?女の子とヤってんのに」
「……ごめん」
「俺に抱かれたいんだったりして」
「……ごめん」
星司は、え、と言って固まった。
「冗談だって。葉、なんで謝んの」
「星司のバカ」
「葉」
「星司のバカ!」
こんなにとっちらかったぐちゃぐちゃの気持ちなんて初めてだ。
「星司なんかナンパばっかりして変な病気になればいいんだ。俺の喘ぎ声いっつも聞いてたくせに」
自分が何を言ってるのかわかんない。
星司が真剣な顔をしているのにも気づかなかった。
「葉」
「何ですよ」
「俺、多分、葉を抱けるよ」
俺は息をのんだ。
「なんてこと言うの」
「抱いてほしい?」
「星司のバカ」
「葉……考えて。ちゃんと。それで、ちゃんと言って」
星司は俺の手を握った。少し汗ばんだ手。
考えるのは苦手だ。だから考えないで思ったことをそのまま言う。
「抱いてほしいと思ったことはない」
星司は目を逸らさない。優しい顔。
「でも星司の顔を見ながらじゃなきゃイけないんじゃないかって、さっき思った」
星司が首をかしげる。
「それって、俺に抱かれたかったってことじゃないの」
「そうかな」
「違うの?」
「そうかなぁ」
「葉」
葉、葉、って言いながら、星司が俺の頭を撫でる。その手がたまに耳を弄っていく。
「葉。ちょっとホテル戻ってみようか」
「俺、星司に抱かれるの?」
「なんかわかんないけど、ちょっと勃っちゃった」
ドキドキしながら星司の股間を見つめていたら、見すぎ、と言って星司は笑った。
「ダメか」
「ダメだねぇ」
「さっきは勃ってたのになぁ」
俺と星司はホテルのベッドの上。
パンいちだ。
星司は目の前で膝立ち。パンツをずり下げて下半身を晒している。
そこはフンニャリと下を向いたままだ。
「やっぱり」
やっぱり、俺のことなんか抱けないんじゃん。嘘つき星司。
「あ、待って。俺らバカだ」
星司は自分の下半身を見ていた顔をぱっと上げて俺を見た。
「そうそう。大バカだよ。星司は俺を抱けないんだよ、悲しいよ俺は。なんだか」
何を期待していたんだろう。本当に本当にバカだ。
「違うって。葉。あんなに女の子とヤったんだから勃つわけないし。俺酒飲んだし」
「あ」
「そうだよ、やっぱりな。俺は絶対、葉を抱けるはずだから」
「何の自信なの、それ」
「精力剤買おう」
「星司!」
どうしたの、なんで、何がなんでも今日俺を抱こうとしてるの?
星司は俺が止めるのも聞かずに壁に取り付けてあるタッチパネルで一番高い精力剤を頼んで、程なく届いたそれを、腰に手をあてて一気に飲み干した。
「あー。マズ」
「そういうの、飲むの初めて?」
「あ、葉も飲んでよ、葉の分も頼んだよ」
「いい、星司、俺いらないよ」
だって俺、
「俺、勃ってるから大丈夫だって」
「まじで!葉ヤバいね」
星司は笑って、それからそろそろと近づいてきた。
俺は同じだけ後ずさる。
「葉」
「ごめん」
「葉ちゃん」
「ごめん、星司」
どうして俺、こんなに興奮してしまってるんだろう。
「逃げないで。葉」
優しく言われて動きを止めると、星司が俺の太ももを撫でた。
「星司」
声がかすれた。
「星司、今、俺、星司に抱かれてみたいって思っちゃって、ちょっとなんか、苦しい」
星司は笑った。
「葉。楽にしてあげる」
どうしよう。
手を伸ばして来た星司を無視して、衝動のまま手を動かす。
「星司」
自分のパンツを下ろして、ビンビンになっているそれを握る。
四つん這いで俺の目の前にいてくれる優しい顔を見ながら、上下に手を動かした。
「っは……星司…」
「なに。オナニー見せてくれんの?」
星司は、優しい顔と悪どい顔の間みたいな顔で俺に聞く。
ああ。エロい顔。
「どうしよ、はぁ、星司っ、いい、すげぇ、星司、見てて」
「いいよ」
ああ。この顔を見ながら俺はいつも。
「ねえ、星司、イくとこ見て」
「見てるよ、葉」
「ああっ、やべ、まじで」
ヌルヌル滑るそこを強めに扱き、クチャクチャと音を鳴らす。
「あぁ、あぁ、あぁっ、あ、はぁ、あぁ」
「ほんと、葉、喘ぐのエロい」
星司の顔からどんどん優しさが抜けていく。代わりにどんどん意地悪な顔になる。
「やばい、星司、星司、」
「葉、イく?」
「イくっ、イく、星司、ああっ」
ぶちゅ、と飛んだ精液が胸にかかった。
力が抜けてそのまま後ろに倒れ込むと、星司が俺の顔を見下ろした。
「葉、女の子とヤってる時よりたくさん喘ぐね。いっつも?」
「……1人の時は無言」
「へえ」
「だと思うけど」
「ふぅん」
「わかんないな、どうなんだろ」
意識したことなんかない。自分の声。
星司は俺の顔を見て笑った。
「葉はなんでも真剣に考えるよね。結局答え出ないことの方が多いけど」
少し真面目な顔になって俺の頭を撫でる。
「そういうとこ、いいよね、お前は」
「いいって?」
「あと、喘ぎ声が意外にクる」
「くる?」
星司は俺の手を股間に導いてそれを触らせた。
うわ、うわうわうわうわうわ。
「星司、これは」
「バッキバキだぜ」
バッキバキ、だぜ、って。
あんなの飲むから、とか言いながら目をきょどきょどと動かしていたら、星司が俺の腰の下に枕を入れ、両膝を掴んで左右に開いた。
抱かれる。ついに俺は星司に抱かれてしまう。ああ。大変。
のしかかる星司の顔を見ていたら、気付いた星司が笑った。若干悪い顔で。
「ケツに入れるのはちょっといろいろ怖いからやめる」
え、なんだ、そうなのか。
心臓が全力疾走から駆け足くらいに落ち着く。
「ここ、貸して」
「あっ、星司」
お尻の割れ目に沿ってバッキバキのそれが滑って行く。戻る。行く。
女の子とのセックスみたいに俺に腰を使う星司を見て、俺のもバッキバキになってしまった。
ああ。もう。どうしたらいいんだ。星司の顔がエロい。いつも届きそうで届かない、さわれそうでさわれない、でもしっかり見つめていた星司のエロい顔。
「あぁ、あ、星司、」
「葉、こんなことされて興奮するんだ」
「だって、星司が、そんな顔するから、うぅっ」
「はぁっ、やべ、葉」
あまりにイヤらしい顔で俺を見るから、思わず両手で顔を覆ってしまった。星司は俺のおしりを微妙に開いたり閉じたり動かしながら調節している。
ああ。大変なことになった。ほんと。
星司の動きが激しくなって、息遣いも荒くなる。
俺はもうイきそうなのをがんばって耐えているだけだ。おしりの割れ目を使われてるだけなのに。
「葉、なぁ、見ろよ、俺のこと」
「いっ、いやだ、」
「なんで。見ろって」
セックスの時だけ少し言葉遣いが荒くなるのも、エロい。
ああもう。星司。
「せいじ、ね、やばいよ、俺、っ、イきそう」
「だから、見ろって、葉」
指の隙間から星司を見ようとしたら、乱暴に手首を掴まれて、目をのぞきこまれながら噛みつくみたいなキスをされた。
「葉」
「んっ、んは、あっ、んん…」
星司のキスってこんななのか。
星司にいろいろされる女の子の気持ち、こんな感じか。
星司は今まで何人とこんなことを。
星司にこんなことされちゃって。ああ。憎いわ。君たちが。
「んっ、星司、ヤベ、イく」
「俺も。葉」
星司と俺のおでこがくっつく。
「ああっ、あっ、あ」
もう終わっちゃう。星司と俺が。どうなるの、明日から。
そんな莫大な不安だって、今の星司の顔を見ていたら吹っ飛んでしまう。
「うぅ、は、んっ」
優しくてエロくて、女の子が好きな星司。
「イく、っ」
射精しながら思う。
星司。
手、繋いでて。
星司にも精液をかけられてしばらく呆然としていたら、星司がむくっと起き上がった。
「あーあ。葉はエロいなぁ」
「星司さん」
「なに」
「それはこっちのセリフですね」
「なんで急に敬語」
笑う星司に俺は笑顔を返せない。
「だってもう、これは友達じゃないじゃないですか」
「そうなの?」
そうなのって。いろんな意味でショックだよ俺は。
「星司、もうナンパやめよう?」
「やめるよ。だってそれさっき言ったろ?」
「まさか本当にやめるの?」
「どっちなんだよ」
星司はまた笑う。笑いながらお風呂に向かうので、俺は急いでパンツを履いて追いかけた。
「待って星司」
「ナンパやめたら、葉はどうすんの?」
「どうするって」
「彼女でも作るの?」
そんなわけがありますか。星司のアホ。
心の中で、敬語で罵る。
「星司のうしろをついていく」
お風呂に入ろうとしていた星司は、ぐりんと振り返った。
「葉、俺のあとをついて来るの?」
「うん」
「それって今までと変わんないよ」
星司は笑いながら俺の頭をぽんぽんした。
女の子が撫でられるのに弱いわけ、今わかった。
「だから星司も、彼女つくんないで」
星司は笑顔を引っ込めて、それでも優しい顔で俺を見た。
「星司と俺、とりあえず2人だけで良くない?」
恋人になりたいとか、好きなのかもとか、そんなことを思っているのかは自分でもよくわからなかったし、思っていたとしても怖くてとても言えない。
「いいよ、とりあえず、葉と2人だけで」
優しい星司。
「今日、葉とエロいことできなかったらもう一生そんな空気にならなそうだったから、なんか、精力剤とか飲んじゃって、無理矢理ヤってごめんな」
なんだか哀愁のあるような声で言ってから、お風呂場に消えたその背中が、くっきり目に焼きついてしまった。
何も変わらないってわけではないけど、星司と俺が今日で終わらなくて、よかった。
ベッドに戻って寝転がり、俺は今までナンパで知り合った女の子たちのメモリを、ひとつずつ消していった。
-end-
2013.8.28
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