ep23. 君には教えなかった東京合宿で
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4校の合宿に混ざるカタチで始まった練習は、ただひたすら全チームでグルグルとゲームを繰り返すものだった。
1セット毎に、負けた方はペナルティでフライングコート一周が科せられるというルール付きだ。
烏野高校は、その罰ゲームを1セット毎に行っている。
つまり、どのチームとゲームをしても、負け続けているというわけだ。
もう何回目かも分からないライングコート一周をなんとか終わらせて、もう体力が限界を越えてる部員達が、壁に背中を押し付けるようにしてずるずると座り込む。
昼時ということで、順次、ゲームやペナルティティが終わったタイミングで昼休憩に入ることになった。
飯だと聞いた途端に元気を出した田中と西谷が、食堂へと走っていくのを冷ややかな目で見送りながら、月島ものっそりと立ち上がる。
食堂へ続く廊下を山口と並んで歩いていると、後ろが騒がしくなってきた。
なんだろうーーーーーと振り返るよりも先に、すぐ横を猛スピードで誰かが駆け抜けていく。
「飯だーーー!」
ツンツン頭の背中が、まるで田中と西谷のような叫び声と共に遠ざかっていく。
梟谷のエース、木兎光太郎だった。
その後ろを、面倒くさそうにしながら、梟谷セッターの赤葦京治が追いかけていった。
梟谷もゲームが終わって、昼休憩に入ったようだ。ということは、生川高校が負けてペナルティを受けているのだろう。
エースと彼を支えるセッターが見えなくなっても追いかけるでもなく気にするでもなかった梟谷の他のメンバーは、のんびりと歩く月島と山口に、すぐに追いついた。
広くもなければ狭くもない廊下だけれど、バレー部に所属する長身の男達が並ぶと暑苦しい。
少しスピードを落として、彼らを先に行かせようとしたとき、梟谷メンバーの木葉達と一緒に歩いていた彼らのマネージャー2人が、チラチラと月島の方を見てきた。
音駒高校体育館に烏野高校バレー部がやってきたときもだった。
彼女達は、月島の顔を見ると少し驚いた顔をした後に、コソコソと何かを喋っていて、すごく気分が悪かったのを思い出す。
「何ですか。」
月島は、不機嫌を隠しもせずに、冷たい声色で訊ねた。
まさか声をかけられるとは思わなかったかのか、驚いた彼女達がビクッと肩を跳ねさせる。
マネージャーの様子がおかしいことに気づいたのは、木葉だった。
「どうした?」
「ほら、朝も言ったじゃん。月バリの話。」
「やっぱり、見たことあるんだって〜。絶対出てたって〜。」
訊ねる木葉に、マネージャーの2人がコソコソと何かを訴える。
小声で喋ってはいるのだけど、すぐ目の前のやりとりは月島や山口の耳にもしっかり聞こえていた。
「そうかぁ?俺は見たことねぇけど。」
木葉が、首を傾げながら月島の方を見た。
その隣にいた猿杙が訊ねる。
「月島って月バリに出たことある?
うちのマネージャーが、朝からずっと月島のことを月バリで見た気がするって言ってんだけど。」
月刊バリボー、通称月バリ。もちろん、月島も知っているし、愛読している。
少し前に白鳥沢学園の牛島若利が、注目の高校生エースとして特集されていた。牛島は、宮城だけではなく、全国トップクラスの実力者だ。
つまり、それくらいの実力がなければ、たかだか高校生が月バリに載るわけがない。
思いもよらぬ質問に驚いたのは、月島と一緒にいた山口も同じだった。
「あるわけないじゃないですか。」
月島は、ハッキリと否定した。
そうだよな、と木葉や猿杙たちは納得したものの、女子マネージャー2人は全く違う反応だった。
「えー…、絶対、見たと思うんだけどなー。」
「うん、見た。絶対、どこかで見たよ。」
彼女達はしきりにそう繰り返していた。
1セット毎に、負けた方はペナルティでフライングコート一周が科せられるというルール付きだ。
烏野高校は、その罰ゲームを1セット毎に行っている。
つまり、どのチームとゲームをしても、負け続けているというわけだ。
もう何回目かも分からないライングコート一周をなんとか終わらせて、もう体力が限界を越えてる部員達が、壁に背中を押し付けるようにしてずるずると座り込む。
昼時ということで、順次、ゲームやペナルティティが終わったタイミングで昼休憩に入ることになった。
飯だと聞いた途端に元気を出した田中と西谷が、食堂へと走っていくのを冷ややかな目で見送りながら、月島ものっそりと立ち上がる。
食堂へ続く廊下を山口と並んで歩いていると、後ろが騒がしくなってきた。
なんだろうーーーーーと振り返るよりも先に、すぐ横を猛スピードで誰かが駆け抜けていく。
「飯だーーー!」
ツンツン頭の背中が、まるで田中と西谷のような叫び声と共に遠ざかっていく。
梟谷のエース、木兎光太郎だった。
その後ろを、面倒くさそうにしながら、梟谷セッターの赤葦京治が追いかけていった。
梟谷もゲームが終わって、昼休憩に入ったようだ。ということは、生川高校が負けてペナルティを受けているのだろう。
エースと彼を支えるセッターが見えなくなっても追いかけるでもなく気にするでもなかった梟谷の他のメンバーは、のんびりと歩く月島と山口に、すぐに追いついた。
広くもなければ狭くもない廊下だけれど、バレー部に所属する長身の男達が並ぶと暑苦しい。
少しスピードを落として、彼らを先に行かせようとしたとき、梟谷メンバーの木葉達と一緒に歩いていた彼らのマネージャー2人が、チラチラと月島の方を見てきた。
音駒高校体育館に烏野高校バレー部がやってきたときもだった。
彼女達は、月島の顔を見ると少し驚いた顔をした後に、コソコソと何かを喋っていて、すごく気分が悪かったのを思い出す。
「何ですか。」
月島は、不機嫌を隠しもせずに、冷たい声色で訊ねた。
まさか声をかけられるとは思わなかったかのか、驚いた彼女達がビクッと肩を跳ねさせる。
マネージャーの様子がおかしいことに気づいたのは、木葉だった。
「どうした?」
「ほら、朝も言ったじゃん。月バリの話。」
「やっぱり、見たことあるんだって〜。絶対出てたって〜。」
訊ねる木葉に、マネージャーの2人がコソコソと何かを訴える。
小声で喋ってはいるのだけど、すぐ目の前のやりとりは月島や山口の耳にもしっかり聞こえていた。
「そうかぁ?俺は見たことねぇけど。」
木葉が、首を傾げながら月島の方を見た。
その隣にいた猿杙が訊ねる。
「月島って月バリに出たことある?
うちのマネージャーが、朝からずっと月島のことを月バリで見た気がするって言ってんだけど。」
月刊バリボー、通称月バリ。もちろん、月島も知っているし、愛読している。
少し前に白鳥沢学園の牛島若利が、注目の高校生エースとして特集されていた。牛島は、宮城だけではなく、全国トップクラスの実力者だ。
つまり、それくらいの実力がなければ、たかだか高校生が月バリに載るわけがない。
思いもよらぬ質問に驚いたのは、月島と一緒にいた山口も同じだった。
「あるわけないじゃないですか。」
月島は、ハッキリと否定した。
そうだよな、と木葉や猿杙たちは納得したものの、女子マネージャー2人は全く違う反応だった。
「えー…、絶対、見たと思うんだけどなー。」
「うん、見た。絶対、どこかで見たよ。」
彼女達はしきりにそう繰り返していた。