ep.19 ただなんとなく、君に教えたくない
Name change
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「ツッキーも言わないの?」
追いかけてきた山口が、隣に並ぶとすぐに、日向達のようなことを言う。
答えるのも面倒だった月島は、何の話だとわざと分からないフリをしたものの、名前のことだとキッパリと答えられてしまった。
今日の山口は、やけに名前のことを意識している気がする。
「言わないよ。」
「でも、ツッキーから言えば、
どうして音駒バレー部を嫌ってるのかとか教えてくれるかもしれないし。」
「教えてもらって、どうなるの?」
「それは…。」
責めるようなキツい言い方になってしまった。
山口が顔を伏せて黙り込む。
本当に、責めるつもりはなかったのだ。
ただ純粋に、名前と音駒バレー部の因縁を知ったからといって、どうなるのか疑問に思ったのだ。
実際、月島は、その因縁を知っている。
名前が教えてくれたのではなく、アクシデントで、月島曰く『自爆テロ』だった。
でも、知ってしまった。
音駒高校男子バレー部の黒尾鉄朗は、名前の初恋の人。そして多分、転校してくる前に、2人の間に何かがあった。それはきっと、名前を怒らせ、傷つけ、悲しませるものだったのだろう。だからあの日、名前は、烏野男子バレー部の練習風景を遠くから眺めながら『バレー馬鹿のクソ野郎!』と罵っていたのだと思う。
それでも、名前はきっとまだ黒尾のことが好きで、それが苦しくて、音駒男子バレー部というワードを聞いただけで、表情を歪めてしまう。
そこまで知っていても、月島の何かが変わるわけではない。
何か得があるわけでも、良いことがあるわけでもないのだ。
名前と黒尾の過去がなくなるわけでもないし、黒尾を想う気持ちが消えるわけでもない。名前の恋が成就するというわけでもない。
だから、月島は、『教えてもらって、どうなるの?』と聞いただけだった。
どうにもならないことを、知っているからーーーー。
「気になるなら、山口から聞いてみれば?」
「え、俺が!?」
「そう。まぁ、聞いたところで良いことなんて
何もないと思うけどね。」
月島は素っ気なく言う。
これだって真実だ。友人への忠告だ。
これ以上、名前とは親しくならない方がいい。
平穏で、楽しくもなければ、死にたくなるほどつまらないわけでもない。そんな平凡だけれど、それなりに満足してるこの生活が壊されてしまう。そんな気がするのだ。
追いかけてきた山口が、隣に並ぶとすぐに、日向達のようなことを言う。
答えるのも面倒だった月島は、何の話だとわざと分からないフリをしたものの、名前のことだとキッパリと答えられてしまった。
今日の山口は、やけに名前のことを意識している気がする。
「言わないよ。」
「でも、ツッキーから言えば、
どうして音駒バレー部を嫌ってるのかとか教えてくれるかもしれないし。」
「教えてもらって、どうなるの?」
「それは…。」
責めるようなキツい言い方になってしまった。
山口が顔を伏せて黙り込む。
本当に、責めるつもりはなかったのだ。
ただ純粋に、名前と音駒バレー部の因縁を知ったからといって、どうなるのか疑問に思ったのだ。
実際、月島は、その因縁を知っている。
名前が教えてくれたのではなく、アクシデントで、月島曰く『自爆テロ』だった。
でも、知ってしまった。
音駒高校男子バレー部の黒尾鉄朗は、名前の初恋の人。そして多分、転校してくる前に、2人の間に何かがあった。それはきっと、名前を怒らせ、傷つけ、悲しませるものだったのだろう。だからあの日、名前は、烏野男子バレー部の練習風景を遠くから眺めながら『バレー馬鹿のクソ野郎!』と罵っていたのだと思う。
それでも、名前はきっとまだ黒尾のことが好きで、それが苦しくて、音駒男子バレー部というワードを聞いただけで、表情を歪めてしまう。
そこまで知っていても、月島の何かが変わるわけではない。
何か得があるわけでも、良いことがあるわけでもないのだ。
名前と黒尾の過去がなくなるわけでもないし、黒尾を想う気持ちが消えるわけでもない。名前の恋が成就するというわけでもない。
だから、月島は、『教えてもらって、どうなるの?』と聞いただけだった。
どうにもならないことを、知っているからーーーー。
「気になるなら、山口から聞いてみれば?」
「え、俺が!?」
「そう。まぁ、聞いたところで良いことなんて
何もないと思うけどね。」
月島は素っ気なく言う。
これだって真実だ。友人への忠告だ。
これ以上、名前とは親しくならない方がいい。
平穏で、楽しくもなければ、死にたくなるほどつまらないわけでもない。そんな平凡だけれど、それなりに満足してるこの生活が壊されてしまう。そんな気がするのだ。