ep.21 君の後輩のひとりごと(谷地ver)
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
金縛りとはこういうことなのか————。
谷地仁花は、ほんの一ミリすらも動かなくなってしまった全身の筋肉に抗うことも忘れ、そんなことを考えていた。
呼吸困難を訴えたいけれど、声も出ない。
目の前に並ぶのは、美女と美女。
美女代表の清水が、隣にいる美女を紹介してくれたはずなのだけれど、烏野高校にまだ美女がいたのかと驚いているうちに名前を聞きそびれてしまった。
だから、今の自分の状況を理解できないままでいる。
なぜ、自分は今、美女と美女に見られているのだろうか。
今まで『普通』に『平凡』に生きてきた中では、起こるはずがなかったことだった。
平凡な生活が変わりだすきっかけになったのは、美女のひとり、清水だった。
清水に勧誘されるかたちで、バレー部のマネージャーとして仮入部することになった。ほとんど、ただのなりゆきだ。
そして、ようやく、覚悟を決めて正式にマネージャーになった。
でも、もう1人の美女に会ったのは、今日が初めてだ。
確か、清水は、自分以外はマネージャーはいなくて、今までずっと1人で業務をこなしていたと話していたはずだ。
では、彼女は何なのか。まさか、実は男の娘で、烏野高校男子バレー部の隠し玉とかーーー。
「———なの。よろしくね。」
「ひゃっ、ひゃい!!」
美女が何かを言ったから、反射的に返事をしてしまったおかげで、谷地から変な声が出た。
呆気にとられてしまっている表情すら、美しい。罪だ。
よく分からないけれど、今日は清水だけではなく、もうひとりの美女も一緒にマネージャー業務をすることになったらしい。
それだけは、辛うじて理解した。
「可愛い。」
「え…っ!?かっ、きゃわ…っ!めっ、めっそうも…!そちらこそ!」
驚き過ぎて、谷地はまた変なことを言ってしまった。
そんな谷地を美女がクスクスと笑う。
きっとからかわれたのだ。でも、嫌な感じはしない。
なんとなくだけど、彼女は悪い人じゃない。そんな気がした。
「谷地ちゃんって呼んでいいかな。」
「は、はい!!」
「私は、名前ちゃんって呼んでね。」
「え!!そんな…っ、めっそうも…!
名前…さんで…と呼ばせて頂きます!!」
谷地は早口でなんとか答える。
今日初めてそれなりの会話が出来た気がした。
名前にもその想いが届いたようで、また「よろしくね。」と微笑んでくれた。
美女だった。
谷地仁花は、ほんの一ミリすらも動かなくなってしまった全身の筋肉に抗うことも忘れ、そんなことを考えていた。
呼吸困難を訴えたいけれど、声も出ない。
目の前に並ぶのは、美女と美女。
美女代表の清水が、隣にいる美女を紹介してくれたはずなのだけれど、烏野高校にまだ美女がいたのかと驚いているうちに名前を聞きそびれてしまった。
だから、今の自分の状況を理解できないままでいる。
なぜ、自分は今、美女と美女に見られているのだろうか。
今まで『普通』に『平凡』に生きてきた中では、起こるはずがなかったことだった。
平凡な生活が変わりだすきっかけになったのは、美女のひとり、清水だった。
清水に勧誘されるかたちで、バレー部のマネージャーとして仮入部することになった。ほとんど、ただのなりゆきだ。
そして、ようやく、覚悟を決めて正式にマネージャーになった。
でも、もう1人の美女に会ったのは、今日が初めてだ。
確か、清水は、自分以外はマネージャーはいなくて、今までずっと1人で業務をこなしていたと話していたはずだ。
では、彼女は何なのか。まさか、実は男の娘で、烏野高校男子バレー部の隠し玉とかーーー。
「———なの。よろしくね。」
「ひゃっ、ひゃい!!」
美女が何かを言ったから、反射的に返事をしてしまったおかげで、谷地から変な声が出た。
呆気にとられてしまっている表情すら、美しい。罪だ。
よく分からないけれど、今日は清水だけではなく、もうひとりの美女も一緒にマネージャー業務をすることになったらしい。
それだけは、辛うじて理解した。
「可愛い。」
「え…っ!?かっ、きゃわ…っ!めっ、めっそうも…!そちらこそ!」
驚き過ぎて、谷地はまた変なことを言ってしまった。
そんな谷地を美女がクスクスと笑う。
きっとからかわれたのだ。でも、嫌な感じはしない。
なんとなくだけど、彼女は悪い人じゃない。そんな気がした。
「谷地ちゃんって呼んでいいかな。」
「は、はい!!」
「私は、名前ちゃんって呼んでね。」
「え!!そんな…っ、めっそうも…!
名前…さんで…と呼ばせて頂きます!!」
谷地は早口でなんとか答える。
今日初めてそれなりの会話が出来た気がした。
名前にもその想いが届いたようで、また「よろしくね。」と微笑んでくれた。
美女だった。