今日もコンビニに着いた月島は、到着を知らせるメッセージを送ろうとして、見覚えのある車が駐車場にあることに気が付いた。
以前、名前が若い男達に押し込められそうになった車と同じだ。
特に珍しい車でもない。よくある乗用車だ。同じ車種なだけかもしれない。
月島は駐車場に出ると、偶然を装って乗用車の隣を歩き、こっそり中を確認する。
———アイツラらだ。
運転席に1人、助手席に1人、後部座席に1人。あの時と同じ3人の男が、コンビニの裏口を見ながら何かを喋っている。
まさか、わざわざ名前がバイトを終えて出てくるのを待っているのだろうか。
そこまで名前に執着しなければならない理由が、月島はにはどうしても分からなかった。
一度失敗してしまったことで、彼らも意地になっているのかもしれない。
月島は、スマホを取り出すと、今度こそメッセージを送った。
敢えて、いつも通りのメッセージを送った。わざわざ、あの時の三人組がいると伝えて、怯えさせる必要もない。
少し待つと、名前が裏口から出てきて、コンビニの前で待つ月島のところへやって来た。

「お待たせしました！」
「どうも。」

今日も元気な名前に適当な返事をしつつ、月島は問題の車の動向を気にしていた。
名前の姿が見えたからなのか、車から3人の男達が降りた。
そして、名前の隣に並ぶ月島を見て驚いた顔をする。面白いくらいに、3人とも全く同じ表情だ。
なんでお前が、またお前か————そんな声が聞こえてきそうだ。

「行きますよ。」

他の男がそばにいることで、彼らが近づかなくなったのを確認して、月島は歩き出した。
その隣を名前が並んで歩く。
自分達の近くを通ることが分かったのか、男達は慌てた様子で車に戻った。
結局、何がしたかったのかは分からないが、とりあえず、面倒だと思いつつも名前と一緒に帰るということが無駄にはなっていないことが分かって、月島は上機嫌だった。
だから、敢えて、車の隣を通った。
助手席から悔し気に自分を見上げる男の顔を視界にとらえる。
なかなか良い気分だ。
月島は、片方の口の端を上げて、勝ち誇った笑みを返してやった。
とりあえず、こうして月島が迎えに来ていることが彼らにも分かったはずだ。これで、変な真似をしようとしなくなればいいのだが。