翼

いいお湯でしたー……

あっ、泪さんったら、髪も乾かさずにスマホ見たりして。

まだ、小野瀬さんへのサプライズを考えてたの？

穂積

明日はいよいよ本番だからな、探してるんだよ。

小野瀬にはいつも世話になってるし、感謝を伝えつつも驚きと感動とを与えられるような、思い出に残るような……そして、出来る事なら多少の嫌がらせも含んでいるような……そういうのを……

翼

ふふっ。

素直に普通にお祝いしてあげたらいいと思うけど。

穂積

それじゃ面白くないだろ？

俺は、俺たちからのプレゼントに大笑いしたり、目を輝かせたり、感激して涙ぐんだり、驚いてうっかり元ヤン出ちゃったりする小野瀬が見たいんだ。

いつも澄ましてるあの顔を、誕生日ぐらいはくしゃくしゃにしてやりたいんだよ。

翼

確かに、鑑識って、冷たい部屋で冷たい物を相手に、現実的で冷たい結果を導き出すお仕事だもんね。

……泪さんは、小野瀬さんが人間味を失わないように、温かさでお祝いしてあげたいんだね。

穂積

……そんな、恥ずかしい事は考えてない。

翼

嘘だ。

だって、顔が赤いもん。

穂積

どーん！

翼

きゃあっ、照れ隠しでソファーに押し倒さないで！