数日後、学生食堂。

昼食の時間、トレイに乗せた山菜うどんをテーブルの上に置いたまま、翼は溜め息をついていた。

##IMGLU83##翼

……はあ。


　すると。

##IMGU61##穂積

隣、いいかしら？


　やわらかな美声で話しかけられた。

それが誰の声かに気付き、返事をするよりも先に、翼のうどんのトレイの隣に、大盛りのカツ丼と味噌汁の乗ったトレイが置かれる。

見上げた先に微笑んでいたのは、生徒会長の穂積だった。

穂積は翼の隣のスツールに腰を下ろすと、翼の顔を覗きこむように確かめてから、軽く溜め息をつく。

##IMGU61##穂積

疲れてるみたいね。

##IMGLU83##翼

すみません、つい……

でも、会長さんこそ、溜め息が漏れてましたよ。

##IMGU61##穂積

あら、ごめんなさい。


　互いに苦笑いして謝ったものの、穂積と翼はそれぞれ正面を向いて座り直すと、今度は、二人揃って溜め息をついた。

##IMGLU83##翼

はあ……

覚悟はしてましたけど、剣道部の練習はきついです……

##IMGU61##穂積

でしょうね。

小野瀬が練習に出るようになったおかげで、今までサボっていた後輩たちも真面目に部活動に取り組むようになったわ。

生徒会長としては、喜ぶべき事なんだけどね……。

ワタシ個人としては、素直に喜べないところもあって。

##IMGLU83##翼

お察しします……。


　翼は穂積から、諏訪野と小野瀬との会話の内容を聞かされている。

いったいどこでどうなって、穂積が諏訪野を誘惑して、小野瀬と諏訪野が剣道で対決する羽目になったのか。

そして翼は、その小野瀬の手助けをしている。


##IMGLU83##翼

会長さんの溜め息の原因はそれですか？

##IMGU61##穂積

それだけではないわね。


　なかなか箸の進まない二人の席に、また、新しい男子生徒たちの声がどやどやと近付いてきた。


＊＊＊

おっと文字数が。

続きは明日に繋げます。