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アブナイ☆恋の元ヤン剣士青春編(飛び入り歓迎)

2019/11/28 15:53

「白、面あり!そこまで!」

剣道場に、審判の声が響き渡った。


##IMGU65##小野瀬
「……」

負けた。

三本勝負の一本目は、速攻に賭けた。

裂帛の気合いを込めて打ち込んだ一撃だったが、読まれていた。

面を狙った小野瀬の竹刀よりも、諏訪野が放った相面が一閃する方が、速かった。

「白、面あり!」

仕切り直した二本目。

どうしても真っ向から打ち込みたかった小野瀬は、もう一度、面を狙った。

諏訪野は小野瀬の竹刀を正面で受け止め、鍔迫り合いになった。

双方、渾身の擦り合いから、力ずくで相手の竹刀をかち上げる。

竹刀が離れ、出来た一瞬の間隙を突いて、小野瀬は諏訪野の胴を抜こうとした。

が、その時にはもう、遅かった。

小野瀬は、離れ際に諏訪野が振り下ろした引き面の竹刀で、したたかに面を割られていたのだった。

##IMGLU83##翼
「小野瀬さん!」

翼が思わず声を出す。

##IMGU65##小野瀬
「……」

刹那の衝撃に揺れる頭を支えながら、小野瀬は、試合後の作法に従って蹲踞し、諏訪野と向かい合った。

三本のうち、二本を取れば勝ちという試合だ。

諏訪野
「勝敗は決まったけど……もう一本、相手をしようか?」

息も乱れていない諏訪野に尋ねられ、小野瀬は、一拍おいて、いや、と、悔しそうに笑った。

##IMGU65##小野瀬
「もういい。お前の勝ちだ」

立ち上がった二人は互いに一礼して別れ、それぞれ場外に正座して防具を外す。

##IMGU65##小野瀬
「強くなったつもりだったんだけどな」

諏訪野
「俺以外の相手だったら、勝てていたさ」

諏訪野の軽口に笑いながら、頭の手拭いを外して汗を拭く小野瀬の元に、翼は走った。

##IMGLU83##翼
「小野瀬さん」

##IMGU65##小野瀬
「櫻井さん、駆け寄る相手が違うよ」

小野瀬に促されてそちらを見れば、白い袴姿の諏訪野が、防具を置いて立ち上がるところだ。

##IMGU65##小野瀬
「行くといい。大丈夫、諏訪野はいい奴だ」

##IMGLU83##翼
「それは……知ってます。けど……」

翼に対して、小野瀬は本当に、特別な感情を持っていないらしい。

穂積の事では、あれほどむきになったのに。

分かっていた事だけれど、翼の胸に、一抹の寂しさが募る。

諏訪野
「その事なんだけどね」

翼の逡巡を遮ったのは、穂積を伴って歩み寄ってきた、諏訪野だった。

諏訪野
「櫻井さんには悪いけど、交際の件は、無かったことにしてもらえるかな?」

##IMGLU83##翼
「えっ?」

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