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夏の始めの小野瀬葵~番外編『あぶない夏祭り』より~

2015/07/17 12:47
##IMGU65##

おはよう。

何見てるの?……ああ!

二人で行った、平塚の七夕祭りの写真だね。

これ、スターモールの七夕飾りだ。

こっちは千人パレードだね。

昔よりはこじんまりした祭りになったけど、結構賑やかだったでしょ。

『短冊の表と裏に願い事を書いて一緒につるすと、願いが叶うって言い伝えがある』って話、したよね?

『ずっと一緒にいられますように』って願をかけてこられて、きみと一緒に行けて、本当に、良かったよ。

明るくて華やかで、山梨の、青木が原樹海の一斉捜索なんかとは別世界だった。

磁石がきかない、携帯も通じないような場所で来る日も来る日も遺体を探して、発見された遺体に事件性がないかを確認するんだからね。

出発前の電話でも、

『本当ならきみと過ごすはずだったのに、リゾートはリゾートでも、富士の樹海で変死体とランデブーだなんて。仕方ないから、魅力的な死体たちと午後のお茶でも飲んでくるよ』

なんて愚痴っちゃったけど。

あ、ごめん。

きみ、こういう鑑識官ならではのブラックジョークに笑えないタイプだったよね……。

*****

それより、あの時は……なんか、ごめんね。

祭の会場に着いた途端に、いかつい見た目の連中が次々と挨拶に現れたら、驚くよね。

きみ、固まってたもんね。

俺が地元に帰って来た事に気付いた後輩がいて、そいつらが、電話で仲間に知らせたらしいんだ。

怖かった?ごめん……って、笑ってるの?


『小野瀬さん、マッポになったって本当ッスか!?』


……きみ、モノマネ上手いね。

『お元気そうで何よりですっ!先輩が残してくれた旗とハチマキは、今でも大切に受け継いでいますのでっ』

……あの坊主頭の子が言ったセリフじゃないか。よく覚えてるね。

 『……高校の時の体育祭で使ったやつかな……』

俺のモノマネはいいから。

『いえ、3代目総長からのものです』

 『え……と、応援団の団長のことを、当時はふざけて総長なんて呼んでたんだ』

『先輩、もしよかったら今夜の集会に顔を出していただけませんか?』

 『きっと秋の競技大会か体育祭の打ち合わせ……じゃないかな。今日は彼女が一緒だから無理だよ』

お願いだから、もう勘弁して。

我ながら、苦しい言い訳だったと思ってるんだ。

昔ヤンチャだった事を、あの場できみに説明するのも、何だか……

……え?

最後のパンチパーマの奴のマネも出来る……?

『馬鹿野郎、小野瀬さんはお忙しいんだ!』

『お休みのとこ、お邪魔してすみませんでしたっ!後輩たちには、これ以上付きまとわないように言って聞かせますので!』

……。

ああ、そうだね。

そうやって、直立不動で立って、全員で、ビシッと頭を下げて去って行ったよ。

もう、参ったなあ。

相変わらず本当に、凄い記憶力だね。


(来年からは諏訪野に連絡して、誰も近寄らせないように頼んでおこうかな……)
追記
名前:ジュン
本文:小野瀬さん、こんにちは。

お祭りに行ったら昔の後輩たちが集まってきちゃったんですか?

凄い光景だったでしょうね(笑)

忙しいときは愚痴ぐらい言ってくださいね。

愚痴を言ってもらえるのは特別な感じがしますから。

鑑識ジョークは反応に困るかもしれないですけど。

名前:小野瀬葵
本文:
ジュンさん、こんにちは。

まあ、幸い、たいした人数じゃなかったんだよ。

後輩だという青年A、リーゼント、坊主、パンチパーマ…集会があるって言ってたし、放っておけば際限なく集まってきたと思うけど、さいわい、パンチ君が気を利かせてくれたからね。

でも、女の子の目からしたら、怖かったんじゃないかな?

後輩が礼儀正しいのも、考えものだね。

それから、愚痴を聞くと言ってくれて、ありがとう。

そう言ってもらえるだけでも、癒されるよ。

名前:エミ
本文:
小野瀬さん、こんにちは。

諏訪野さんに連絡したら、後輩の皆さんは言いつけを守るでしょうけど、諏訪野&室長が「よぉ、小野瀬~、奇遇だな~」と、偶然を装って現れそうな気がします(笑)

名前:小野瀬葵
本文:
あっ。

そうか、その可能性を考えていなかった。

あの二人、相性がいいらしくて、最近時々会ってるようだからね。

有り得る。

しかも、あいつらに捕まったりしたら、現役のヤンキーに絡まれるよりタチ悪いよ。

「よぉ、小野瀬~、奇遇だな~」 って?

そんな奇遇があるわけないだろ!

きみも、二人に会えて嬉しそうな顔をしないでくれる?

名前:冬子
本文:
こんばんは

個人的に、夏はヤンキーの皆さんがはりきる季節って気がしますがどうなんでしょうか?

一年中元気?

まあ、素敵。

人生一回くらいは茶髪で、キティちゃんのジャージ着て、すっごい車で、イボイボサンダル履いて、コンビニ行ってみたいものです。

あ、でも、イボイボのついてるサンダルは無理です。私ったら青竹踏みも痛くて痛くて。イボイボサンダルは殺人的痛さです。

ヤンキーの方が身近にいなかったから染まらなかっただけで、湘南時代の小野瀬さんのお仲間と一緒にいたら冬子ヤンキーデビューしてしまうかもしれませんね。○2才になってデビューって遅すぎる気もしますが、超高齢化社会ですし、まあ、いいかもしれません。

あ、鑑識官式ブラックジョーク、どーんとこいですよ。

「連れて帰ってこないでくださいよー あ、連れて帰ってくるのが仕事か」

くらいの返しをお見せすることでしょう。

名前:小野瀬葵
本文:
冬子さん、こんばんは。

樹海でデートした彼女たちとは、山梨県警で別れてきたよ。

名前くらい知りたいと思ったけれど、まあ、お互い深入りしない方がよかったんだよね。

樹海だけに。

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