『非公式Twitter』

地獄の?夏合宿・如月~番外編『そうだ、海へ行こう』より~

2015/08/12 11:04

警視庁から近い繁華街にある、オープンエアのビアホール。

テーブルの角をはさんだ、45度の席に、私と如月さんは座った。

恋人の角度だ、って聞いたことがある。

就業中に捜査室で聞いた、合宿の話を始めた途端、如月さんはなぜか、私の水着の事を気にしだした。


*****


##IMGU64##

翼ちゃん、合宿に、どんな水着を持っていくつもり?

##IMGLU83##

ええっと、今年新しく買ったのは、ボーダーのタンキニなんですけど…

##IMGU64##

タンキニ!?

それってつまりビキニだよね?

##IMGLU83##

でも上はキャミソールみたいな感じで、ボトムはショートパンツですよ?

わざわざ、街でも着られそうなデザインを選んだんですから。

##IMGU64##

でもビキニだよね?

##IMGLU83##

ええ、まあ……

##IMGU64##

じゃあダメ!

俺とふたりっきりの時以外、水着はダメだからね!

##IMGLU83##

じゃあ何を着れば……

##IMGU64##

いろいろあるじゃん。

パーカーとかジャージとか。

ショートパンツだと足が丸見えになるでしょ?

だからジャージ。

##IMGLU83##

砂浜でパーカーとジャージ……。

減量中のボクサーですか?

##IMGU64##

……だって、他のやつらに翼ちゃんの水着、見せたくないんだもん。

##IMGLU83##

……判りました。

さすがにパーカーは暑そうなんで、Tシャツと……レギンスでも履くようにします……

##IMGU64##

良かった!


*****


もう、如月さんたら。

でも、この会話なんかデジャヴ。

藤守さんとも、同じような会話をしたばかりのような気がするんだけど……

……気のせいだよね。


*****

##IMGU64##

合宿二日目の夜、近くで花火大会があるんだって!抜け出して、一緒に見ようね!

##IMGLU83##

遊びに行くんじゃないんですよ、もう。

*****

合宿二日目。

私は施設内の会議室で、動体視力検査の記録係をしていた。

スクリーンに一瞬だけ映る文字や記号を、次々と答えて行く検査だ。

捜査室からは室長が参加している。

会場の後方には、しっかりとスーツを着込んだ上層部の面々が陣取っていた。

順番が進み、室長の番。

穂積
「◎、△、テ……」

点滅するスクリーンに合わせて室長が答えて行く。

正解率は76%。平均よりかなり高い、合格点のポイントだった。

結果を記入するために手元のファイルを見ると、前回の成績は98%。


(室長、前よりずいぶん落ちてる。疲れてるのかな……)

すると突然、後方からヤジが飛んだ。

「なんだ、特命捜査室のトップとはいえ、実力はそんなもんか」

穂積
「どういう意味でしょうか」

着席しかけていた室長が、声を出した上層部のエリートを見据えながら、固い声で答えた。

エリート
「普段はいばりくさってるようだが、しょせん能力はその程度かと言ったんだ」

相手は室長より階級が上。

会場に集まった各部署の参加者たちがヒヤヒヤしながら成り行きを見守る中、エリートは、室長への攻撃をやめない。

ついに、捜査室の解散を賭けて、室長とエリートが対決する事になってしまった。


(どうしよう。相手が勝ったら解散だなんて。でも、室長……笑ってる?)


会議室の照明が落とされた。

電子音
『ソレデハ、スタートデス』

コンピュータの声が開始を告げて、スクリーンに文字が点滅する。

穂積
「4、&、+、京、R、$……」

しんと静まり返った会議室に、室長のクリアな声が響く。

全員が固唾を飲んで見守る中、スクリーンに正解率が表示された。

……99%。

エリート
「う……おまえ……」

薄暗い会場の中、うめくような声がした。

勝負の結果、相手の正解率は82%。穂積室長の圧勝だった。


「室長……。もしかして、相手を油断させるために最初はわざと外していたんじゃ……」

穂積
「さあ、どうかしら。気のせいじゃない?」


「でも前回のテストの成績も……」

慌ててファイルのページをめくる私の動作を、室長の声が止めた。

穂積
「ああ、アンタ、記録係だったわね。じゃあバレても仕方ない……か」


「じゃあやっぱり……!」

穂積
「うちみたいな部署は、いざという時の切り札をいくつも持っている方がいいでしょ」


「……切り札……そのために、あのエリートさんに貸しを作ったんですか……」

穂積
「でも、ああいうエリートでゴザイマス、みたいな顔してるのをぎゃふんと言わせるのって、それはそれで楽しいのよね。うふふ」

室長はそう言うと笑って肩をすくめ、さも楽しそうな様子で部屋を出て行った。


*****

私はその時思った。

前回98%、今回99%。

進化してる、ううん。


室長のデビルアイには、間違いなく、100%見えてる。


*****

室長と別れた後、抜け出した私が待ち合わせの場所に行くと、如月さんが、停車していた車の運転席から手を振った。

説明を聞けば、如月さんの早とちりで、花火大会の場所は下田じゃなくて伊東だったとか。

かなり離れているので、急遽レンタカーを借りてきたんだ……って、すごい行動力。

もうすぐ伊東という辺りで、花火が打ち上がった。

如月
「先に行くほど混むだろうし、この辺りでもいいよね」

如月さんが駐車場に車を停めると、花火が次々に打ち上がり始める。

花火に見とれていると、如月さんの手が私の手を握って、強く引き寄せた。

如月
「オレ…翼ちゃんのことすっごい好き」

熱い吐息にささやき声が混じる。

如月
「このまま朝まで一緒にいようね」

背中から抱きしめられて何度も口づけを交わす。

角度を変えてキスするたびに、その温度が上がって行く。

息遣いで、窓ガラスがうっすらと曇る。

……そして、ふたりは外界から遮断された……。

如月
「翼ちゃん、オレ……いつもふざけちゃって、ちゃんと言えないけど……翼ちゃんのこと、すっごい大事なんだ」

抱き寄せられた頬が驚くほど熱い。

耳元から熱い息遣いが伝わって来る。

花火が弾ける音が遠くに聞こえ、ゆっくりとシートが倒される。

如月さんの匂いと体温に包まれた暗がりの中、熱い唇でむさぼるようなキスをされた。

全ての音がふっと遠のいて、何も聞こえなくなる。

その時……。

コンコン!

誰かが窓を叩く音がした。


(……え!?)

ハッとして体を起こす。

如月さんもギョッとした顔で顔を上げた。

その視線の先には、駐車場のおじさんがもっと前に進めと、困ったような顔で指差していた……。


*****


公平さん。

たくさん大好きって言ってくれて、疲れてるのに車で遠出までしてくれて。

ありがとう、私も大好き。

でも私たちが抜け出した事、室長にはバレバレだったみたいですね。

「室長、砂浜に埋めちゃおうか」って言った時の目が本気で、ちょっと怖かったですよ。
追記
名前:エミ
本文:
おはよーございます。

一回目の夏合宿。
サブで登場する捜査室メンバーの活躍がどれもカッコイイんですよねー。

室長の場合は悪魔降臨ってカンジでしたけど(笑)

悪魔→魔王→大魔王へと進化していく様を見守りたいと思います。


コメしそびれましたが、この番外編を初めて読んだ時、小野瀬さんの紺の剣道着姿が新鮮でした。上半身だけでしたけどね。全身の絵、小春さん描いてくれないかなぁ~←


如月さん、こっそり車でイチャコラしているつもりでも、案外見られているもんですよ。気をつけてくださいね。

名前:如月公平
本文:
エミさん、こんにちは!

車の中でも油断は禁物ですよねハイ。

警察官なのに、危うく捕まるところだったよ((((;゜Д゜)))

小野瀬さんの剣道着、カッコ良かったよね!って俺は?

俺の柔道着姿も褒めてよ、ねえ!!

名前:澪
本文:こんにちは*\(^o^)/*

読みながら室長、こっわー…と呟きました(笑)
恐るべし室長。捜査室の中でいえば、室長と如月さんが案外似た者同士なんでしょうか?
小悪魔と悪魔…いや魔王?って感じですが。
そして翼ちゃんの「室長のデビルアイ」に笑いました(笑)
デビルアイと地獄耳に驚異の身体能力と恐ろしいほどキレる頭脳…正義の味方・警察官になってもこの恐ろしさなんですから、犯罪者とかになってたら誰にも捕まえられない気がしますね((((;゚Д゚)))))))

そして、如月さん、さすがの行動力。
…はともかく、危ないところでしたね!警察官が公然わいせつ罪はさすがにマズイ(^^;
ただ、室長を砂浜に埋めようとか…逆に埋められるどころか海に沈められるような……

そして、小野瀬さんの道着立ち絵、私も見たかったです。
いつか小春さんの素晴らしい画力でぜひお願いします(((o(*゚▽゚*)o)))

名前:ジュン
本文:こーちゃん、こんにちは。

急遽レンタカーを借りてくるなんて本当にすごい行動力。

でも、それだけ翼ちゃんに花火を見せてあげたかったんでしょうね。

しかし、室長にケンカを売るなんてそのエリートの人は馬鹿なことしましたねぇ。

名前:如月公平
本文:
澪さん、こんにちは!

澪さんも「小野瀬さんの剣道着」……orz知ってたけど。

それより、澪さんよく分かったね。

ここだけの話だけど、最終日の浜辺でみんなが自由行動の時、室長はビーチパラソルの下にレジャーシートを敷いて寝ていたから、俺、脱いであった靴だけでもそーっと砂に埋めようとしたら、見つかって、海に向かってぶん投げられた。

室長の動体視力、99%だって?!

部屋は散らかしてるけど、靴だけは大事に扱ってるんだって?

翼ちゃん、そういう事は先に言ってよ!!

名前:如月公平
本文:
ジュンちゃん、こんにちは。

その人、捜査室の存続をどうこう出来るくらいだから、結構本当に上層部の人らしいんだよ。

でもほら、室長ってキャリアじゃん?

悪魔だけど優秀じゃん?

だから、その人、いずれは室長に追い越されるかもしれないって思ってて、威圧的な態度に出たんじゃないかな。

でも、残念ながら、結果としては室長の株を上げただけなんだから、やっぱり、人類は悪魔に喧嘩を売っちゃいけないっていう教訓だよね。

名前:冬子
本文:
こんばんは

夏の合宿は色々あるんだね

こーちゃんは下田と伊東間違えちゃったの?

でも、花火が見えてすいてるんだったら、その方がいいよね。

「すっごい好きですっごい大事」なの?

いいねー、夏だねー、ひゅーひゅー。

柔道は強いし、要領いいし、年は若いし(笑)、こーちゃんいいところがいっぱいあるよね。

いちゃこらしすぎて、警察につかまって、前科一犯にならないでねっ

名前:如月公平
本文:
冬子ちゃん、こんばんは。

厳密に言うと、花火大会の会場は下田の合宿の近くだと思っていたら、実は伊東で。

意外と遠くて、慌てて車を借りたんだ。

でも、結果として、失敗だったな。

だって……レンタカーじゃ、イチャコラしたくても汚すわけにいかないからね。

いつもよりお行儀よくしたよ!

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