『非公式Twitter』

二人でお月見・小笠原~番外編『満月にほえろ!』より~

2015/09/22 08:20

月見の話題が出た終業後、声をかけてきたのは小笠原さんだった。


##IMGU63##

翼ちゃん。

##IMGLU83##

お、小笠原さん、ここ、まだ署内ですよ。名前で呼んだりして、もしも誰かに聞かれたりしたら……

##IMGU63##

大丈夫、誰もいないし、誰も来ないのを見越して呼んだんだ。

それより、今日、このあと用事は?

##IMGLU83##

ええと、久し振りに早く帰れるので、買い物でもして帰ろうかなって思ってます。

##IMGU63##

ふうん。……ねえ俺も行っていい?

##IMGLU83##

えっ!小笠原さんが?!

(外に出るのはキライ、人混みはもっとキライ。買い物はいつもネットで済ませると公言している小笠原さんなのに……。

まさかお買い物に付き合ってくれるなんて……

どうしよう?

乗り換え駅のステーションビルでも見て帰ろうと思っていたんだけど。

せっかく小笠原さんが一緒に行ってくれるなら、行き先を急遽変更しようかな……※)

 (※小春注:翼ちゃん判断ミス。)

 電車を乗り継いで、私と小笠原さんは、夜のお台場に降り立った。

##IMGU63##

……電車も駅も街中も、人が多すぎて気持ち悪い……※

 (※小春注:↑ほら。)

##IMGLU83##

す、すみません。すぐに終わらせますから。

##IMGU63##

いいよ、買い物に付き合うって言ったの僕だし。

……それ、どっちを買うかで迷ってる?

僕は、そのフェミニンな方がきみに似合うと思うし好きだけど。

##IMGLU83##

じゃあこっちにします。

ごめんなさい小笠原さん、気分転換に観覧車乗りましょ?


##IMGU63##

……観覧車、いいね。

##IMGLU83##

さっきまで騒々しかったですからね。

満月じゃないけど、お月様も綺麗だし。

##IMGU63##

……今日、みんなが言ってた、夜回り週間中のお月見の話だけどさ。

僕、きみと二人だけがいいな。

他の人に用は無いし、それに、きみに見せたいものがあるんだ。

##IMGLU83##

何ですか?

##IMGU63##

内緒。


  小笠原さんはミステリアスな笑みを浮かべただけだった……。

*****

見回り週間最終日。

私は、藤守さんと如月さんと組んで、銀座を廻る事になった。

如月
『昨日なんか、見回り終わって家に帰ったら3時ですよ、3時!それからちょっと寝て、また今日っておかしくないですか?』

藤守
『そんなん言うたら俺だって今日で3夜連続やで?3夜連続って、スペシャル番組やないっちゅうの。大体、あの室長は人遣いが荒過ぎんねん』

如月
「っていうか、休み自体が少ないじゃないですか!ホント、ふざけんなって感じですよ」

車を降りた途端に始まったふたりの文句はとどまることを知らず。

いつしかその矛先は特命捜査室・室長、穂積泪その人に向けられていた。

如月
『まったく、あの室長は俺たちのプライベートをどう考えてるんですかね!?』

藤守
『そんなに働きたいなら自分だけ仕事しとけっての』

 その時。

 私は傍らのショーウィンドウの方角から、ぞくりとするような気配を感じた。

 振り向くのも憚られるような、不穏な気配。

 必死に目線だけを動かして確かめたそこには、今、最も会ってはいけない相手の影が……


「ひっ」

如月
「あれ翼ちゃん、どうしたの?」

藤守
『まあな、こんだけ働いてりゃどっかおかしくなるっちゅうもんや。ホンマ、あの室長に文句言ったった方がええで?』


「いえ……あの……」

如月
『給料上げろー!とかさ』

藤守
『休みよこせーとかな』

わっはっは~と、ふたりがまた声を上げて笑った。……その時。

『誰に文句を言うんですって?』

ハイタッチを決めたふたりの背後から悪魔のような声がした。振り向かなくても判る。その声は……。

穂積
『人遣いの荒いオカマで悪かったわねぇ?』

藤守
『い……いえ』

如月
『それはその……』

ぎくしゃくとロボットのように振り向いたふたりの前には、冷やかな笑みを張りつかせた穂積泪、その人が立っていた。

穂積
『やっぱり来てみて良かったわ。アンタたち、ちょっといらっしゃい』

どこかでチーンと仏壇の鐘が鳴った気がした。

突然現れた室長にふたりが連れ去られてしまい、結局お月見の話なども出ないまま、夜の見回り強化週間は終わってしまった……。

*****

結局、捜査室でのお月見は(藤守さんと如月さんがすっかり意気消沈して静かになってしまったせいもあって)お流れ。

小笠原
『今夜、仕事が終わったらうちの近くの公園で待ち合わせしよう』

小笠原さんからメールが来たのは、約束の日の夕方だった。

公園に行くと、小笠原さんは、この為にネットで購入したという望遠鏡を見せてくれた。

小笠原
「少し高台に登って、周りに明かりの少ない場所から見るのがベストなんだけど……」


「それを抱えての山登りは大変でしょう?小笠原さんのお部屋は高い階だから、そこからでもいいんじゃないですか?」

小笠原
「いいかな……」


「私はそれで」

 気持ちは嬉しいけれど、先日もお台場で私のわがままに付き合ってくれた小笠原さんに、私のために無理してほしくない。

小笠原さんが納得してくれたので、私たちは、小笠原さんの部屋の窓際に並んで、外に向けた望遠鏡を覗き込んだ。

小笠原
「どう?」


「わあ、クレーターまでよく見えます。でも…… うさぎは見当たりませんね……」

小笠原
「……きみ、月にうさぎがいると思ってるの?

そういうとこ、可愛いよね」


「……(恥ずかしい……)」

小笠原
「ほら、ここ見て。月の『海』って呼ばれる低地だよ。

地球から見ると暗く、黒い模様になる。

日本だと、それがうさぎに見えるんだ。

実際は、クレーターに融解したマグマの成分が流れ込んで出来たものだと言われてるけど。

……幸せの湖、とか、愛の入江、なんて名前の『海』もあるんだってさ」

顔を上げた私と目が合って、小笠原さんは照れくさそうに笑った。

見上げた空には見慣れたお月様が浮かんでいて、けれどレンズの向こうには見たこともない世界が広がっている。

遠くで見ているだけでは判らない、小笠原さんの優しさを近くで感じた気がした。

小笠原
『翼ちゃん……、今日はこのまま……いいでしょ?』

囁き声に包まれたまま、何度もキスをした。その口づけが次第に深くなって行く。

開け放した窓から涼やかな風が吹き込んでくる。その匂いはもう秋の気配だった。


~終わり~
追記
名前:ジュン
本文:
こんにちは!

二日間、実家に帰っていてここに来ることが出来ませんでした(涙)

でも、美味しい温泉ゆで卵食べてきましたよ~。

温泉で卵が茹でられるなんて知りませんでした(^^;

小笠原さんのお月見は望遠鏡を使ってなんですね。

博学な小笠原さんならではですね。

名前:小笠原&翼&小春
本文:

「温泉、ゆで卵……ジュンさんのご実家は魅力的ですね!」

小笠原
「小春ちゃんもたまに買ってくるよね。なんか真っ黒で不気味なやつ」

小春
「あれは、隣県神奈川は箱根の黒玉子といって、由緒正しい品なんですよ!

私はいいけど小野瀬さんやエミさんに失礼ですよ!」

名前:ジュン
本文:
箱根の黒卵は1個食べると寿命が7年延びるって言いますよね?

違う?

名前:小笠原&翼&小春
本文:
小春
「ジュンさん、それですそれ」

小笠原
「それ根拠あるの?」


「信じる気持ちは大事ですよ」

小春
「延びるんです!

あ、今思い出したけど伊豆の河津にも、温泉でゆで玉子を作れる公園がありますよ。

熱海なんて、道端で温泉たまごが作れます。

でも自分で茹でるからご利益は無いのかなあ」

小笠原
「基準が分からない…」


「小笠原さん、しーです。

逆らわない方がいいですよ」

名前:冬子
本文:
箱根の黒卵は寿命が七年のびるらしいですよ~

今年初めに行きました。黒卵は食べちゃってもうないけど、一緒についてきた塩はまだとってあります。

しばらく食べれないみたいだから、ゆで卵を作って黒く塗りましょうか~

冬子ゆで卵つくったら割れちゃうかもですが、小笠原さん、食べてくれるかなー

名前:小笠原&翼&小春
本文:
小春
「そうなんですよ、まだ大湧谷は火山活動のための規制が続いているから、現在は食べられないんですけど。黒玉子」


「心配ですね」

小春
「でもだからって黒く塗るとかはダメなのー」

小笠原
「まあそうだけど、冬子ちゃんも冗談で言ってるから。

小春ちゃん、どれだけご利益信じてるのさ……

ところで、いくら冬子ちゃんからでも、俺、割れたゆで玉子をそのまま出されるのは嫌だからね」


「刻んでタルタルやサンドイッチに使うとか?」

小春
「いっそ茹でないで月見そばとかうどんに使うとか(←お月見にかけたつもり)」


「月見バーガーとか」

小笠原
「(なんで玉子の話で盛り上がってるんだっけ……)」

名前:冬子
本文:
そうそう、どうして玉子の話になってるのかなーと思いましたよ♪

茹で玉子黒くするのはともかく、絵を描いたり、顔描いたりするとかわいいですよね~

メガネ描いて『小笠原さん』なーんて
(*´艸`*)

コメント

コメントを受け付けていません。