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初めてのクリスマス*番外編『幸福のジングルベル』より~明智編~

2015/12/10 14:32

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皆さんこんにちは、翼です。

クリスマスカラーに模様替えした街を歩くと、そこかしこから気の早いクリスマスソングが聴こえてきて、何だかそわそわしちゃいますね。

今日からしばらくは私が、番外編『幸福のジングル・ベル』をご紹介したいと思います。


*****


捜査室に入って初めてのクリスマスまで、あと2週間。

そしてそれは私にとって、彼と過ごす初めてのクリスマス、でもある。

私は明智さんの車の助手席で、運転してくれる横顔に見惚れながら、二人きりになると饒舌になる彼の話に相槌を打っていた。

明智さんがクリスマスに私を誘ってくれる事を、どこかで期待しながら…。

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「この時期になると、製菓コーナーが充実するから、楽しくなるな」

 料理上手な明智さんの話題は、もっぱらクリスマスディナーの献立について。

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「まーくんは毎年、お家でクリスマスケーキを作るの?」

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「姉たちにせがまれて、保身の為にな。酔っ払った姉たちに絡まれるのはいい迷惑だから」

 口では悪態をつくけど、明智さんの顔は笑っている。

 誰だって、自分が作るケーキを楽しみにして、美味しく食べてくれる人がいてくれるのは、嬉しい事のはずだもの。

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「お前は、毎年どんなクリスマスを過ごしてきたんだ?」

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「大体、友だちと女子会かな。ただ、お父さんが、早く帰って来い、ってうるさいから、最後は家族で過ごすんだけど」

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「家族思いだな」

 でも、私はケーキを作ったりしないし、明智さんの方がずっと家族思いだと思うけど。

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「お前のお父さんは、一緒に過ごせるだけで幸せだと思ってるさ」

 そうかなあ。

 私はいつもの父の仏頂面を思い浮かべて、苦笑した。

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「……すると、今年も、もう女子会の予定が入っているのか?」

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「ううん、まだ何も」

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「それなら、イブの日は、俺と家で過ごさないか?」

##IMGLU83##
「え、でも、ご家族の方は」

##IMGU60##
「実は、姉たちには、俺の金でレストランを予約してある」

 さっきまでの話の流れでは、お互い、自分の家族と過ごすクリスマスになるのかなと思っていたのに。

 でも、それだけに、余計に嬉しい。

 車が赤信号で停まると、明智さんの左手が私の手に触れた。

 心臓が、うるさいくらいに高鳴ってしまう。

 明智さんは指先を絡めるとそっと顔を近づけ、唇にキスをくれた。

 次にほっぺへ、その次は耳元へ、最後におでこへ。

##IMGU60##
「ごめん。お前が、あまりに嬉しそうに笑ってくれるから……我慢出来なくなった」

##IMGLU83##
「ま、まーくん……」

##IMGU60##
「でも……いいだろ」

 恥ずかしくて戸惑うばかりの私の耳元で、そっと囁いて……明智さんはもう一度、キスをくれた。


*****

クリスマスイブ当日。

昨日、警視庁の忘年会でみんな疲労困憊したせいか、今日は早目に仕事が終わった。

おかげさまで私たちは、まだ夕方のうちに、明智さんの家に着く事が出来た。

明智
「少し待っててくれ。すぐに食事を用意する」


「私も手伝う」

明智
「大丈夫。お前には、もっと別のことで手伝ってもらう」


「別のこと?」

首を傾げる私に、明智さんはイタズラを思いついた子どものような笑みを浮かべた。

明智
「ワイングラスと、ワインを運んでくれるか?」


「ワイン……確か、ワインセラーに入ってるんだよね」

明智
「ああ。上から3段目の、1番左端にある」

言われるままの場所からワインを取り出すと、そこに書かれてあるラベルには、見慣れた数字が。


「これって、私の生まれた年と同じ……」

明智
「せっかくのクリスマスだから、お前の誕生年のワインを買っておいたんだ。

クリスマスなのに遊びにも連れていってやれない、せめてもの代わりだ」


「…ありがとう、まーくん!」

ワインもグラスに注ぎ、さっそく明智さん特製ディナーに舌鼓を打つ。

何日も前から仕込んだローストビーフ、一から手作りしたソース。


「やっぱりまーくんの料理は、すごいな。私には、プロの料理よりも美味しく感じる」

明智
「それは……」


「それは?」

明智
「……笑わないか?」


「うん」

明智さんは咳払いしてから、真剣な顔で私を見た。

明智
「この料理が美味しく感じるのは……俺の……愛情が入ってるからだ」


「……」

明智
「だから嫌だったんだ! 絶対に引いただろ!」


「引いてないよ!」

慌てて首を振り、私も真剣な顔で明智さんを見つめた。


「すごく、嬉しかったの。まーくんの愛が入ってるなんて、すごく嬉しい」

明智
「……よかった」

本当に、ひとつひとつの事を私の為に考えてしてくれる明智さんの想いを知り、笑顔を見ているだけで、胸が温かくなる。

明智
「さて、そろそろ、ケーキにするか。手伝いを頼む」


「何するの?」

明智さんの後ろをついていくと、そこには大きなケーキ。

すごく大きい、けど、凝り性の明智さんにしては、飾りつけがあっさりしてるような……

首をかしげていると、明智さんが私に差し出したのは、生クリーム。

明智
「一緒に飾りつけ、してくれないか?」


「いいの?」

明智
「ああ。一緒に作ろう」

クリームを絞り、フルーツを並べる。

すると、明智さんは余ったイチゴを指でつまんで、私に差し出した。

明智
「ほら」

指からイチゴを取って口に入れると、明智さんは私を抱き締め、それを押し込めるように口づけしてきた。

イチゴの味が身体中に染み込んでくるようなキスに、うっとりしてしまう。

明智
「そんなに物欲しそうな顔されると、困るな」

明智さんは耳元で囁きながら、首筋や耳にもキスをしてきた。

(身体の奥まで、火照っちゃう……)

キスでぼんやりする私の唇を、明智さんの指先がつつく。

明智
「……ケーキは後でいいよな」

先にお前を……と匂わせる言葉に小さく頷くと、明智さんは、嬉しそうに微笑んだ。


~終わり~
追記
名前:ジュン
本文:
明智さん、こんばんは。

とっても明智さんらしいクリスマスですね。

お料理おいしそう。ケーキも食べたい。

でも、前もってお姉さんたちをレストランに行かせるなんて策士ですね。

名前:澪
本文:こんばんは。

番外編難民救済週間が始まるんですね*\(^o^)/*

とっても嬉しいですありがとうございます!

誕生年のワインを片手に、

明智さんの愛情込もった美味しいお料理をいただいて、

一緒にケーキの飾り付けなんて贅沢~(≧∇≦)

明智さんならケーキの飾り付けまで完璧なんでしょうね。

クリームを均一に絞るのが苦手な私なら、仕上がりにムラが出て申し訳ないことになりそう…σ(^_^;)

名前:冬子
本文:
クリスマスに明智さんの美味しい手料理なんて、むひょひょ~ですぅ

冬子がお手伝いしたら食卓に並ぶ前につまみぐいしちゃうから、きっと台所から追い出されちゃうんだろうな

それにしても、お姉さま方はまーくん今日は家に彼女を呼ぶなって気づいてそう

なんだかんだいって優しいお姉さま方だからきっとゆっくーり帰ってきてくれますよ

名前:Twitterこたつ部屋
本文:
穂積
「イチゴにそんな使い方があるとは、明智、やるわね。

今度真似しようかしら」

ジュン
「あはは…手作りケーキはともかく、料理の出来る男性ってポイント高いですよ」

穂積
「なんかラジオでもそんな事言ってたわ」


「そのうえ、誕生年のワインとか!そういうちょっとした気遣いが嬉しいんですよ」

穂積
「飲むのは得意なんだけどなー」

冬子
「私も得意です」

穂積
「あと、つまみ食いも」

冬子
「私もー」

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