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初めてのクリスマス*番外編『幸福のジングルベル』より~小笠原編~

2015/12/12 14:28
##IMGLU83##
「失礼します…」

ノックをし、声を掛けてからデータ室に入る。

小笠原さんは部屋の最奥で、一人パソコンの画面を見つめていた。


「小笠原さん」

小笠原さんが、顔をこちらに向けた。

##IMGU63##
「早かったね。誘ったのは僕なのに待たせて悪いけどもう少し待って。藤守さんから、提出するデータの確認を頼まれちゃって」


「やってあげてるんですね。優しいな」

小笠原
「僕は少しでも早く、君とふたりきりになりたいのに」


「小笠原さん……」

小笠原
「……よし、終了。さあ、行こう」


レストランでの夕食の後は、いつものように小笠原さんの部屋へ。

相変わらず綺麗に整頓されていて、モデルルームのよう。

小笠原
「コーヒー淹れてあげる。ネットショップで、貴重な豆が入荷してて、君にも飲んでほしくて」


「私の為に?」

小笠原
「美味しいものは、二人で味わいたいだろ。君が嬉しい時は、僕も嬉しいんだよ」


(私のこと、ちゃんと考えてくれてるんだ……嬉しいな)

小笠原さんの愛が伝わってきて、胸の奥が熱くなる。

小笠原さんがキッチンから戻ってくると、辺りは芳香に包まれた。

小笠原
「……君、イブの予定はあるの?」


「…え…」

私は少しためらいがちに、小笠原さんを見た。


「……諒くんと一緒がいいなって、思ってた」

小笠原
「……」

小笠原さんはコーヒーカップをテーブルの上に置いて、私を横から抱きしめた。

ちょうど彼の口元が、私の耳に当たる

小笠原
「僕も、君とイブを過ごしたかった」


(耳に、息が当たって……くすぐったい……)

小笠原
「顔が赤いよ」


「それは……」

答えに戸惑っていると、小笠原さんは私の耳にわざと息を吹きかけた。

全身が震え、一瞬で硬直してしまう。

小笠原
「可愛い……」

愛しそうな声を響かせる小笠原さん。


(胸が震えて、私の……好きって気持ちが溢れてくる……)

ときめきに息さえ出来ないでいると、小笠原さんは私の頭を優しく撫でた。

小笠原
「どこに行きたい?イブは、君の好きなところに行こう」


「私の好きなところでいいの?」

小笠原
「うん」


「……そう言えば、この前、何かの番組で、すごく落ち着いた雰囲気の、素敵なレストランを紹介していて」

小笠原
「へぇ、いいね。どこ?ネットで調べて、予約しておこう」


「それが、隠れ家的で、お客さんも数人しか入れないってお店だったんだけど…えっと……場所も、何の番組だったかも、ちょっと…」

小笠原
「思い出せない?」


「うん……」

小笠原
「そうか」


「ごめんなさい」

小笠原
「謝ることじゃないよ。その店はまた今度にしよう。じゃあ、他に、どこか…」


「……諒くんが行きたいところがいいな」

小笠原
「じゃあ、場所は、僕が探しておくけど、それでいい?」


「はい。お願いします」

小笠原
「うん」

小笠原さんは頷きながら、私をソファの上へ押し倒す。

そのまま深く口づけられ、私は小笠原さんの愛に溺れていった。


*****

映画館を出ると、小笠原さんは大きく背伸びをした。

小笠原
「楽しかったね、この映画」


「うん。すごく幸せな気分になれた」

小笠原
「安心したよ。せっかくのクリスマスイブなのに、いきなりつまらなかったら、プランの見直しをするつもりだった。…さあ、次に行こう。時間通りに進まないと、全部こなせない」


「え? 全部って……」

小笠原
「今日は夜まで、秒単位で予定を組んだ。次は喫茶店に入って、コーヒーを飲む。その後は博物館に行って……」


「ず、随分しっかり組んだんだね」

小笠原
「移動距離も計算したからね」


「すごい……」

小笠原
「……変?」


「え?」

小笠原
「……こういうの、初めてだから。どうすれば君が喜ぶか分からないから、スケジュールを組む作業なら得意だから…」


「…諒くん、私は、諒くんと一緒にいるだけでも、すごく楽しいよ。そのうえ、頑張って考えてくれたんだもの。嬉しいよ」

小笠原
「……本当に?」


「うん!」

その後も楽しく諒くんのスケジュールをこなしてゆくうちに、すっかり日が暮れて、辺りも暗くなってきた。


「諒くん、次はどこ?」

小笠原
「次は、ディナー」

そうして、小笠原さんが案内してくれたのは…


「あっ、ここは……」

テレビで見たままの風景に、私は言葉を失った。


「こ、ここ!ここが、来てみたかったレストランだよ!」

小笠原
「そう。よかった」


「でも、どうやって……?!」

小笠原
「君が話してくれた、隠れ家、テレビに出た、レストラン……それらから、総合的に答えを導きだしてみた」


「……大変だったんじゃない?」

小笠原
「君が喜んでくれてくれただけで、僕は十分だよ。さあ、座ろう」

そのレストランは予想通り、ううん、思った以上に素敵だったけれど、それはきっと、私の為に、小笠原さんが見つけ出してくれたお店だったから。

小笠原
「乾杯」


「乾杯」

グラスの合わさる甲高いグラスの音が、レストラン内に響く。

小笠原
「明日の予定は?」


「何もないよ。夜に友だちと、クリスマスパーティという名の女子会をするくらい」

小笠原
「じゃあ、その時間までは、君は僕のものだな」


「え?」

何のことかと目を丸くする私に、小笠原さんはキーを見せた。

小笠原
「この近くのホテルを予約したんだ」


「それって……」

小笠原
「イブからクリスマスまで、君と一緒に過ごしたい」

その笑顔に、その言葉に、身体中の体温が上がっていく。


(諒くんの家に泊まったことは、何度かあるのに……)

クリスマスという特別な日の魔法がかかったみたいに、すごく照れくさくなってしまう。

小笠原
「来てくれるよね?…だめ?」


「だめじゃ…ないよ。だって私、諒くんの彼女だもの。諒くんが喜んでくれるなら、私も嬉しい」

小笠原さんは私の手を掴み、そっと引き寄せて指にそっとキスを落とした。

小笠原
「勇気出して、誘ってよかった。……年末に、最高のプレゼントをもらった気分だよ」

向かいで微笑む小笠原さんの笑顔は、私にとっても、最高のクリスマスプレゼントになった。


~終わり~
追記
名前:ジュン
本文:
小笠原さん、こんばんは。

小笠原さんがデートの計画をたてたんですね。

彼女のことを一生懸命考えながら作ったのがよくわかります。

ディナーは行きたがってたお店を見つけてなんて流石ですね。

なんか、上手く言えなくてごめんなさい。

名前:Twitterこたつ部屋
本文:
穂積
「分かるわジュン、他人のノロケ話に気のきいたコメントなんか出来ないわ、勝手におやんなさいってのよね」

ジュン
「いえあの、そこまでは……」
 
穂積
「それはともかく小笠原、素晴らしい対恋人スキルのアップだわ。さすが、ワタシの弟子ね」

ジュン
「(……弟子?)」

名前:澪
本文:こんばんは。

小笠原さん、さすがのスケジューリングですね!

しかも少ないキーワードからお店を探して連れていってくれるなんて…

恋人が自分のためを思って色々と考えてくれるって本当に素敵。

人混みが苦手な小笠原さんがクリスマスデートを考えてくれたと思うと感動です(/ _ ; )

名前:冬子
本文:
キャー小笠原さんったら決めるときは決めますね

こんな素敵なクリスマスデート、冬子嬉し泣きです

今日はキャーキャー言いながら、転がって悶絶しました

小笠原さんが誰かのために一生懸命になるなんて、そしてその相手が冬子だなんて←脳内変換

ツイッター部屋万歳ですね

さ、また読み直そうっと

名前:Twitterこたつ部屋
本文:
穂積
「情報って大事ね」


「小笠原さんが頑張ってくれると、褒めてあげたくなります」

穂積
「母性本能?」

冬子
「真面目に一生懸命考えてくれてる不器用さがたまらないんですよ」

穂積
「計算が得意なのにそろばんずくでないギャップに萌えるのかしら」


「そろばんずくって何ですか?」

穂積
「えっ?もしかして死語?」

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